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畑が趣味の同僚からの頂き物

作者: きつねあるき

 このお話は、1996年(平成8年)の夏が終わる頃になります。


 前の前の会社での出来事です。


 同僚(どうりょう)のうち1人が元靴屋(くつや)相馬(そうま)さんでした。


 前職の靴屋が倒産(とうさん)したので、捨てるのも勿体(もったい)ないからと、ブルーワーカーの方に声を掛けては在庫(ざいこ)の靴を配っていました。


 職場で使う運動靴はけっこう(よご)れるし、洗うのが面倒(めんどう)だから、他の同僚の方も3ヶ月に1回は靴を()き替えていました。


 何年も置いてあった在庫品だったので、箱は日焼けしていましたが、軽くて履きやすい靴はありがたかったです。


 さて、本題に移りますが、元靴屋の相馬さんが休日に趣味(しゅみ)無農薬(むのうやく)の畑をやっていました。


収穫(しゅうかく)したら分け前を持ってくるから、遅番(おそばん)の夕食の時にでも食べてよ」


 って事になり、何を持って来てくれるのかと思っていました。


 相馬さんがその話をした1週間後に、()でたトウモロコシを2本持って来て下さいました。


 自分は(つと)めたばかりであまりお金もなく、


「よし!一食()いたぞ~」


 なんて、思っていました。


 そしてお腹が空いた19時位に、(おもむ)にトウモロコシが入れられた袋を開けたら、


「んっ!これは新種のトウモロコシかな?」


 なんて思いました。


 トウモロコシには、黄色い(つぶ)の所々に白色の粒が()ざった「味来(みらい)」とかあるじゃないですか。


 それが白色の粒でなく赤色の粒なのです。


 そう、ここでもうお気付きの方もおられるのではと思いますが、その赤い粒はトウモロコシではなく、先っぽが赤くて丸い見た目が気持ち悪い芋虫(いもむし)だったのです。


「ゲゲッ~、マジかよ!」


 それも、お顔を出して「こんにちは」だけでも5匹はいるじゃん…。


 とは思ったものの、折角(せっかく)頂いたので、芋虫の赤い頭に爪楊枝(つまようじ)をぶっ差して取り出し、机に一匹ずつ並べ始めました。


 茹でた為なのか、芋虫はまっすぐな物が多かったです。


 ここまでは誰でもやる?と思いますが、トウモロコシの虫食い穴がけっこう深い事に気付きました。


 そこでまさか!と思い、トウモロコシを半分に「パキっ」と()ってみたところ、芋虫が「ボロボロボロッ」と、(はじ)けるように9匹も出てきました。


「何だ、(しん)の部分も芋虫だらけじゃないか!」


 ここまでくると、芋虫が全部で何匹いるのか気になりました。


 2本目のトウモロコシも、1本目と同じ様に芋虫を穿(ほじく)り出すと、全部で24匹もいました。


 机の上には、芋虫がズラッと並びました。


 数だけ確認したところで、すぐに芋虫は捨てましたが、しかしまあ、そのトウモロコシ食べる気になりますか?


 答えはノーでした。


 茹で上がった芋虫を何匹も見たお(かげ)で、残念ながら全く食べる気にはなりませんでした。


 仕方がないから、実の部分だけカッターで()ぎ落として、(はと)にあげたらすぐに完売でしたよ。


 そのトウモロコシなんですが、もしかしたら相当(そうとう)甘いのかなと思い、(ため)しに一粒だけ食べたのですが、味はいたって普通でしたよ。


 この一件から、相馬さんの畑で()れるトウモロコシは、丁重(ていちょう)にお断りしましたよ。


 トウモロコシは、虫に食われやすくて(むずか)しいとのこと。


 今では品種改良も進んでいるでしょうけど、虫に食われないよう作るには、それなりに技術がいるということが言えそうですね。


 それならばと思ったのか、後日相馬さんは畑の近くの(くり)の木から栗を(ひろ)ってきて、それを茹でて持って来て下さいました。


 今度は大丈夫か?と思いましたが、それよりも栗の皮を()くのはどうするかと考えました。


 よく見ると、栗の中心部に横に切り込みが入っていたので、容易(ようい)に剥けました。


 試しに1個食べてみたら、これは美味(おい)しい!


 それを2個迄はご機嫌(きげん)で食べていましたが、3個目を食べた時になんか固いなって思って()き出したらたら、それは芋虫の頭でした。


「ゲゲッ~、またかよ!」


 先日のトウモロコシの一件が、また頭を()ぎりました。


 栗の場合は、とりあえず半分に切ってから、食べるのがいいかもしれません。


 ですが、芋虫に食われた栗は、(ほとん)ど食べる所がないので、(そく)捨てた方が無難(ぶなん)でしょう。


 この当時は、まだ写メール機能がある携帯電話が出ていなかったので、上記の芋虫を画像(がぞう)に収める事は出来ませんでしたが、もし()っていても送り付けられたくはないでしょうね。


 以上でこのお話は、終わりになります。


 最後までご拝読頂きまして、誠にありがとうございました。


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