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不思議とみんな冷たい

 俺が迷協、迷宮協力組合のドアを押し開いて中へと入ると、一瞬で視線が集まった。

 昼過ぎのこんな時間にもかかわらず探索者が七人、そのうち受付に四人いるのだが三人はパーティで一緒に受付と対応しており、残りひとりは離れたところで待っている三人の仲間らしい。

 すぐに目をそらした奴らが会話を続ける中で、俺は三人組の後ろへと並んだ。

 迷宮から戻ってきたばかりなのだろう服装は薄汚れているが、元気は有り余っているようだ。

「だからさぁ、今夜一緒にどうよ?」

 腰に剣を下げたやつが受付の女に話しかけているが、受付はそいつへの返事はせずに弓を背負っているほうへと顔を向けた。

「初級石が34個、一級石が5個、二級石が16個、三級石が8個ですね、細計算はされますか?」

「いいよ別に、いつも通りの魔物だったから」

「かしこまりました、それではこちら、理力石の買取価格の6800ルクです」

「なぁなぁ、おいしい店知ってるんだって~」

 銀貨の乗った盆を差し出された弓男はそれを小さな袋へと流し込んでから、一向に相手にされていない剣男へと声をかける。

「おい、行くぞ!あんまりキティちゃんにしつこくすると迷惑だろ」

 そうして振り返った三人は足早に受付から遠ざかっていった。

「お待たせいたしました、ご用件をどうぞ」

「パーティの人員を募集したい」

 受付の女に向かい、俺は要求を告げた。


 それから三日後、迷協からの帰り道で俺は首をひねっていた。

『えぇっと、おそらく人は集まらないかと思いますよ?』

 俺が提出した人員募集の書類を見て、動きがぎこちなくなった受付はこちらを下から見上げるようにしてそう言った。

 その言葉通り、いまだ一人も希望者はいないらしい。

 おかしい、俺が勇者の資格を得てパーティを作ろうとしたときは掃いて捨てるほど人が集まったというのにどういうことだろうか。

 それに加えてなぜか人の目を集めている気がする。

 もともと勇者である俺に集まる注目は多かったから気にするものでもなかったが、今までとはどこか違う気がするのだ。

 さらには、

「一泊3000ルクでございます」

 宿屋が連泊をさせてくれなくなった。

 従業員に尋ねたところ『長期的に安定したご収入を見込めない方に対しては、一泊ずつのお泊りを推奨しておりますので』と言われた。

 泊まるための金がなくなって踏み倒されるのを避けたいらしい。

 その割にはまとまった金額を渡してその分の宿泊を頼もうとしても断られてしまったが。

 毎日部屋から荷物を持って出て、受付で手続きを行うのも面倒になってきたので、宿を変えてもいいかもしれない。

 宿に付属している食堂で出されたスープを匙でかき回しながら考える。

 前より具が少なくなってないか?これ。

 かごに盛られたパンだって、ほかの客の分と比べていくぶんはし切れの率が多くなっている気がする。

 そういえば、と今日の昼食にと屋台で購入した肉団子のシチューを思い出す。

 肉団子が一つしか入っておらずあの店は外れだったと気分を悪くしていたのだが、このスープと通じるものがあるな。

「くそっ!」

 夕食後、部屋のベッドに腰かけて悪態をつく。

 迷協の募集に集まらないならと直接声を掛けようとしても皆用事があると去って行ったり、研ぎに出していた剣がまだ仕上がってなかったり、不愉快なことが多すぎる。

「ちっ!明日は迷宮に行って魔物でも……ああもう!剣が戻ってこないんじゃ深層まで行けねぇ!!」

 俺はひとしきり頭を掻きむしってからベッドへと倒れこんだ。

勇者パーティ

勇者 ハッシュ=ダナン ステータス異常 人望低下

所持金 749500ルク

装備 町民の服 武器 装備していません


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