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若い本

作者: 黒川 魁

初めまして。え……、初めてじゃない?うわぁ、いつから僕のこと見てたの?


まあそんな事はどうでもいいか。

冒頭からはっきり言わせてもらうと、僕は“物語”ではないんだ。

読み物として開いたのならすぐ閉じてくれ。

閉じないとすぐにキミは不快な気分になり後悔するだろうから。

いくら暇でもこんなものを読むんじゃなかった、もっと有意義な時間を過ごしたかったって。


……閉じないの?

キミは大概だな。マゾって知ってるかい?今のキミを表すに相応しい単語だよ。

ただの文章でしかない僕の一方的な語りを聞き続ける時間を過ごしたいその心意気は理解できたけど、僕にとって人間という生き物がますます奇怪で理解し難い存在になったよ。


でも読まれるのも少し困るな。特に話すこともないし人と話すのは初めてだから何を言ったらいいのかまるで分からないし。

さっさと閉じてくれるものだと思ってもう寝る用意してあるのに……。


まあいいや、そう申し訳なさそうな顔しないでよ。


そうだなぁ……、キミはネット小説って知ってる?まあ僕もネット小説だから全く知らないってことはないか。ライトノベルとは少し違ってさ。恋愛モノもファンタジーもコテコテの王道が人気で隣に並んでる小説を少し覗くと大抵ラストが見え見えなんだよね。


なに、王道が人気なのはライトノベルとか他の文芸と同じだって?

嫌だなぁ、キミは文豪の作品を見ても普通の古い小説を読んでも同じに感じるタイプだろう。


ケータイ小説はね、アマチュアとか素人作家さんが多いからルート通りに進めることしか頭にないんだよ。例えば、綺麗な描写にしようとか、〇〇先生みたいにこういう並べ方にしようとか、そういうところが足りてないんだよ。だからただ同じルートを別の名前とお面つけた人間がダラダラ歩くだけになっちゃう。


小説を人の一生を見る資料とするか、芸術品だということを忘れず愛でるものとするか、そこが大切。


ついでに僕の考える普通のライトノベルはバトルシーンでもない限り大抵は対話文とかがメインだからベタでもいいと思うよ。イラストも可愛いしそれが魅力なんだよ。


まあ僕みたいなのを読んでるキミには理解できないだろうね。なんたって僕はただ喋るだけだもの。描写もなにもないよ。どこで何を見ながらどういうポーズで喋ってるかなんて重要じゃないだろう?キミの目の前っていうことだけで充分じゃないか。


ポーズを変えながら話したところでこの後の展開なんてあったもんじゃないし。

もし試しにこの場で三点倒立しながら話したとしてもキミには見えないから無駄だし。






なにその目、僕の考え方にいちゃもんつけるの?一個人のちょっとした考えにまでブツブツ文句言うほど暇ならカルシウム摂ってさっさと寝た方がいいよ、僕もっと寛容な大人の人とお話するから。


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