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この作品には 〔ガールズラブ要素〕が含まれています。
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姉の代わりにTwitterで知り合った人と会ってみた結果、大変なことになった。

作者: りんご飴
掲載日:2018/05/03

男の娘、というのを知っているだろうか。

”容姿が女性にしか見えない男性”らしい。

僕は今、”それ”になっている


「さ、上がって」


 声が聞こえる。

綺麗な人だ。

一言で纏めれば「綺麗」で済むけど、それには幾つか理由がある。

代表的な例を挙げるとすれば、夜空をそのまま溶かし込んだような美しくきめ細かい黒髪と、律儀で切れ長のまつ毛が特徴の黒い眼。そして程よく豊満な胸。あとはその艶かしい体。

男子高校生にそれは厳しい。これから起こるかもしれない健康的なハプニングに身を躍らせてしまいそうだ。


「お、おじゃましま~す……」


 家は意外と近かった。

電車で二駅跨いだところ。そう遠くではない。


「遠慮しなくていいですよ、『はなまるパン』さん」


 その言葉でハッとした。僕は今僕なんかじゃ、樫本徹(かしもととおる)なんかじゃない。

僕は今、『はなまるパン』であり、僕の姉さんなんだ。


 僕が僕じゃ無くなったのにはれっきとした理由がある。

別に、なりたくてなったわけじゃない。


 姉さんからのお願いが原因なんだ。


──


 姉さんがTwitterで知り合った人と今度会うってなったのに、当日に体調崩したから代わりに僕が会わなくちゃいけなくなった。

全く、そういう日があるって知ってんなら前もって体調管理ぐらいはしてほしいよ。

でも、病人を名前も顔も知らない人に会わせるのは流石にしない。鬼じゃあるまいし。


 てことで、僕が名前も顔も知らない人と会うことになった。

女装は初めてだったけど、昔から可愛いとは言われていたし、今だって、姉さんと似ているか否か、と問われれば似てる方だろう。

元々童顔だし。その気になればもう少し可愛くなれるだろうけど、僕と姉さんが望んでいることは「Twitterで知り合った人と無事に会うこと」であって、それ以上はいらない。


 ただ、姉さんもあまり会う人のことを知らないらしい。


 Twitterで知り合って会おうって話になるってことは、相当仲が良くなくちゃできないことなんだろう。

だけど、もしかしたら話の馬を合わせているだけで、姉さんの体目的で付け回っている変態かもしれないし、はたまた快楽殺人鬼かもしれない。


 なんて不吉な予想が僕の頭を過ったけど、会ってみなくちゃ分からないし、そうなった時は仕方がない。


 どうせ人間いつしか死ぬから。早いか遅いかの違いだろう。好きなものを初めに食べるか後に食べるかぐらいどうでもいいことだ。


 そりゃ僕だって人間だから、殺されるってなったら逃げたいけど。


──


 招待されたのは今回会うことになった「ポムポムパンツ」さんの自室。

てっきり居間を見つけたので、そっちに座ることになるかと思ったけど、まさかの自室。

女の人の部屋なんて姉さんの部屋以外入ったことない。

というかこの人、意外と可愛いぞ。

黒色の髪はそれだけで艶かしい雰囲気を醸し出していて、律儀な目には見てるだけで吸い込まれそうだし、青のブラウス越しに見える少し露出した胸は大きいし、正座してるから絶対領域は黒いスカートで隠れているけど、履いている黒タイツは良い匂いがしそうだし……

って! 何考えてるんだ僕は!?


「ん? どうかしました?」


 マズい。まじまじと品定め……じゃなくて観察に夢中になっていて、僕の視線に気づいたっぽい。

別にバレたから何か起こるとかそういうのは無いと思うけど。


「あ、その、いや、綺麗だなーって」


「何がですか?」


「こんなこと言って申し訳ないんですけど、『ポムポムパンツ』さんって、思ってたより美しい方なんだなって」


「いえいえ。そう言われると嬉しいです。では、お茶用意してきますね」


「あ、わざわざありがとうございます!」


「お気になさらず。あ、そうだ。『はなまるパン』さんって一応成人済みですよね。麦茶でいいですか?」


「あ、はい!」


 その返事を聞いて、彼女──「ポムポムパンツ」さん──は部屋を後にした。 


 今思ったんだけど、なんでわざわざ年齢の確認なんかしたんだろう。

咄嗟に成人だと答えたけど、僕まだ高校生なんだよな……


 というか、姉さんが「はなまるパン」名義でTwitterをやっていたことには驚きだった。

そのことを姉さんに話したら、私なんて絵描きの端くれ、なんて言ってたけど、元から僕より何倍も絵が上手だった姉さんのことだ。

きっとフォロワーさんの数なんて二桁三桁の類じゃないだろう。

そう思って「はなまるパン」と検索してみたところ、案の定だったがフォロワーさんの数は五桁。約二万人近くの人にフォローされている。なんでそんなにフォロワーさんいんのさ。怖いわ。


「『はなまるパン』さんって、最近絵上げてないですよね。もしかして、忙しかったりします?」


「うわっ!? びっくりした!?」


 急に部屋に入ってた!? ドアが開く音なんかしなかったぞ!?

コップに注がれた麦茶はテーブルにしっかりと置かれている。仕事が速い。


「うふふ、その顔も可愛いですね」


「そ、そうですか。あ、あはは、あはははは……」


 反応しづらいわ!


「と、ところで、さっき何て言いましたっけ?」


「何故最近絵を上げていないのか、という話です」


 確かに、約二万人もフォロワーさんがいるんだ。

新しい絵を待っている人なんて大勢いるはずだ。彼女もその一人なのだろう。

でも僕は、何故姉さんが絵を上げていないのかなんて知らない。

今体調を崩して寝込んでいるのは知っているけど、ここで話しちゃ本末転倒。一体ここにいる「はなまるパン」は誰なんだ、って話になりかねない。

そうなればマズい。

ここは心が痛むけど、嘘を付かせてもらおう。


「あ、いや、そんなに上げないってことはないんだけど。ただ最近疲れ溜まってるし、息抜きも必要かな、なんて……」


「へぇ、じゃあ、私が特別な息抜きの仕方、教えましょうか?」


「……っ!」


 待て、落ち着け、僕。

いいか、確かに僕が今男の──樫本徹本人の──状態なら喜んで教えてもらうかもしれない。

けど僕は今樫本徹じゃない。

姉さんなんだ。

「はなまるパン」なんだ。

樫本はな、なんだ


「あ、もしかして気使ってくれてる? なら別に大丈夫! ぼ……私、こう見えて元気だから!」


 あっぶな。これで僕が男だとバレたら始末書書く羽目になるかもしれない。

てかそんな会社何が何でも入社したくない。


「そうですか……。 絵を描いてると手首や肩を痛めるかもしれないので、マッサージでもしようかと……」


 なんだ、ただのマッサージか。

なら良かった。僕が変な妄想を膨らませずに済む。


「ところで、『はなまるパン』さん」


「は、はいっ!?」


 一言一言が怖い。

もし今いるのが「はなまるパン」じゃ、樫本はなじゃないと知られてしまったら、後戻りはできなくなる。

さっきだって意識してなかったから素の一人称が出てしまったし。

最悪、変態か何かと勘違いされてブロックされて金輪際関われなくなってしまうかもしれない。

そうなれば、姉さんに後でどんな目に遭わされるか、考えただけでも悍ましい。


「私、実は貴女のことが好きなんです」


「は、はいいいいいっ!?」


 性的少数者のことを馬鹿になんてしないけど、流石に急にそんなこと言われると驚きの余り鼻から血が流れそう。

それただの鼻血とかいうツッコミは受け付けてないです。


「今日は、そのことを伝えたいがためにわざわざ家に来てもらいました。手間をかけさせてしまいすいません」


「あ、いや、別にいいけど……」


 こういう時、僕はどうすればよいのだろうか。

分かりました付き合いましょう、なんて僕が決める権利はない。

でも、ごめんなさいなんて言って相手を傷付けたくもない。


 だから。


「あの、気持ちは嬉しいんだけど、その、あまりに突然だったから気持ちの整理がつかなくって……」


「いいじゃないですか。百合好き同士、リアルでも百合を味わってみたくないですか?」


 おいおいマジか。姉さん百合好きだったのか。

意外だった。でも今はそれどころじゃない。

徐々にこっちに近づいてきている。

テーブルを乗り越え、床に這いつくばって僕の方へ。

その際、コップは倒れ、床を湿らす。

それに気づいたのか、おもむろに倒れたコップに視線を向けながら


「はぁ、せっかく麦ジュース飲ませて酔わして襲おうと思ったのに。ざーんねん」

 

 なんて言ってる。


 どうしてこうなった。


 というか、「麦茶」だと言ってた飲み物は麦ジュースだったのか。

だから成人済みか確認したんだな。

でも普通、成人かどうかは聞くはずだけど、何であたかも姉さんが成人であることを知っていたかのような確認の仕方を取ったんだ?


 怖い。恐い。

今すぐにでも逃げ出したい。


「あ、あの!」


「どうしたの?」


「ごめん。これから用事があるから、もう帰らせてくれないかな……?」


「嘘ですよね?」


「え、あ、いや、その……」


「動揺してる時点でバレバレですって」


 くそ、何とかして逃げられないのか、僕は?

 もう嫌だ。

 何なんだよ。

 何でこんな人と会わなくちゃいけないんだよ。

 僕は男だぞ?

 性別を偽って愛を育むなんて、出来っこない。


 ──もう、正直に話そう。


「あの、『ポムポムパンツ』さん」


「はい?」


 息が顔にかかる距離まで詰められている。

良い匂いで鼻孔が満たされる。このまま溶けてしまいそうだ。


「その実は…… 『僕』、男なんです」


「知ってましたよ?」


 なら尚更マズいじゃないですか!


「えっと、隠してて、ごめんなさい……」


「いいですよ、初めから貴方が男の子だって分かってましたし。「はなまるパン』さんから連絡来てたので」


「……ふぇ?」


「その様子だと、姉さんにハメられたな? 可哀想! もう私が結婚しゅるしかないっ!」


 さっきより状況が酷くなってる!?


「姉さんから連絡って…… どういうことですか?」


 聞いてない。一言も聞いてないぞ。

ただ、代わりに行ってこいとしか聞いてないんだけど。


「ほら」


 そうやって見せてきたのは、スマホの画面。


 そこには、「はなまるパン」──姉さん──とのメッセージのやりとりがあった。


「ほら、ここ」


 指を指された場所。

そこには。


『ごめんなさい…… 私今日オフ会だってのに体調崩して行けそうにないです…… 代わりに弟を行かせるので、くれぐれも襲わないように!』


 という文章。

まったく…… 姉さんは人使いが荒いんだよ。

てか襲われそうだったし。


「と、いうわけで、私は貴方が男の子だと知っていましたー!」


「なら最初から言ってくださいよ! こっちは緊張してたってのに……」


「ごめんね? 私、可愛い男の子見かけるとつい苛めたくなっちゃって……」


 危ないわ! おかげで殺されるかと思ったわ!


「あ、あの! じゃあ何で僕が『男の子』だと分かったうえで僕を『はなまるパン』として扱ってたんですか!?」


「さっきも言ったけど、私って可愛い男の子見つけちゃうとつい……」


「あああああ分かりましたから!!」


 これ以上この人と関わっちゃいけない気がする。

僕が男だって相手が分かったから少しは打ち解けられそうだったけど。襲われたら怖いし。


「えっと…… って! もうこんな時間!? 今日はありがとうございました! 僕、姉さんのご飯作らなきゃいけないんでここら辺で帰らさせてもらいますありがとうございました!」


「ふふっ、いつでも待ってるよ」


 待ってなくていい!!


「言っておきますけど、次『はなまるパン』と会うときは僕の姉さんが会いに来ますからね……!?」


「あ、それじゃあ百合関連の話で盛り上がれそうです」


「一つ思ったんですけど、姉さんって”そういうの”に興味持ってたんですかね……」


「そりゃあ勿論! まあ、普通のカップリングでもいけますけど」


「へ、へぇ……」


 足を踏み入れちゃいけなさそうな内容だな……。


「あ、帰るんだったらちょっと待ってて!」


 そう言って「ポムポムパンツ」さんは部屋を飛び出していく。

その間に、僕はTwitterで姉さんに「今から帰る」とだけ送っておいた。


「はい、これ。麦ジュース」


「僕は飲めませんけど」


「『はなまるパン』さん用です。あと……」


 もう一度顔を近づけてくる。

今度は、耳元まで。


「今度会うときは、君の素顔を見てみたいな、なんて……」


「……っ!!」


「ふふっ、もし会えるなら、ですけど。女装しててそんなに可愛いんだから、素顔はもっと可愛いんだろうなーって」


「期待しなくていいですよ」


「じゃあ期待して待ってます」


 その後、駅まで見送ってもらいながら(途中帰らないで、と縋られた)僕は家へと戻った。


「ただいま……」


「よっ。我が召使いよ」


「あのね姉さん、僕そんなんじゃないから」


「んで、土産は?」


「……ん?」


「ほら、DMで送ったじゃん。土産買って来てって」


「んんん?」


 手元のスマホからTwitterを起動してみる。

すると、右端、ダイレクトメッセージの欄に堂々と①と表示されていた。


「あっ……」


「見てなかったの? はぁ、まったく。弟は忘れ物が多いんだよ」


「そういう姉さんは人使いが荒いっていうか……」


「で? 土産は?」


 買って来ていない。

けれど、僕は幸いにも「ポムポムパンツ」さんから麦ジュースを頂いたんだった。


「…………」


 頂いたはずだった。


「…………あ」


「ん?」


「…………ない………」


「何が?」


「み、土産だよ! 『ポムポムパンツ』さんから貰ったお土産!」


「あー! そういやアンタオフ会行ってたじゃん! じゃあ、その話が土産でいいよ。土産話、聞かせてよ」


「いいけど…… ロクなものじゃないよ?」


「いいって! どうせ後で麦ジュースは買って来てもらうか『ポムパン』の所に取りに行ってもらうかするし! あっちから送って送料払わすぐらいなら、こっちから行った方がいいし! もちろん払うのはアンタの金で、だけど」


 本当に人使いが荒いな! 姉さんは!

あと、「ポムポムパンツ」さんのこと「ポムパン」って略しているなか。

でもそれ、怒られるんじゃないか……? 

いやむしろ怒られてほしい。

怒られろ。


「勝手にあっちの家とか行くのは駄目だし、てか家に押しかけるとか住所バレるじゃん。私が善人じゃなかったらとっくに住所晒されてるよ」


 善人じゃないと思うんだけどなあ!?


「じゃ、じゃあ今度どこかで待ち合わせとかしたら? 僕は行かないけど」


「はぁ!? なんでちゃっかり、僕は関係ありません~みたいな感じで話進めてんの!? 忘れてたのはアンタでしょ!?」


 集中砲火を喰らってしまった。

これ、僕も行かなきゃならないのか……。

電車代に食事代、はたまた駅前のコンビニとかで何か買ったらそれも払わないといけないかもしれないし。

小遣いで足りるかな……?


「んじゃ、『ポムパン』さんにメッセ送っとくわ」


「……土産話は?」


「疲れたからまた今度聞く。あー、お腹空いたなー」


「病人だからってその態度はちょっと……」


「作ってくださいお願いし申す」


「ふざけてんの!?」


 その後、僕は姉さんのために食事を作り、そして家族の分も作り、晩御飯を食べ終わった頃には疲弊しきっていた。


「今日一日、いろんなことがあったな……」


 二階の自分の部屋。

ベットに横たわりながら、改めて今日のことを思い返してみる。


「てか、『ポムパン』さん。普通に可愛かったな」


 リアルにあんな人がいるだなんて、知らなかった。

女の子と話す機会なんてそうそう無かったし。

あったのは姉さんぐらいで、世界の女子全てがあんな悪魔かと思ってた。


「今日はもう寝よう」


 口に出したあと、目をつぶってそのまま夢の世界へ羽ばたこうとした、その時。


 スマホが、震えた。


 きっと何かの通知だろう。広告か、それとも友達からか。


「……おいおい、マジかよ」


 新着メッセージ、というのは合っていた。

でも、それ以上合っていることはなかった。


『本日はありがとうございました。麦ジュース、家に置いてあったままなので、また今度オフ会した時に貰ってください。もちろん嘘偽りのない素顔で。』


 メッセージを送った相手は。


 「ポムポムパンツ」さん。


「なんで僕のアカウント知ってんだよ……」


 そして、通知欄に①と示される。


『ポムポムパンツさんがあなたをフォローしました』


 そのアカウントでフォローする!?

僕その内殺されるんじゃないか!?


 とりあえず、メッセージ貰ったし返信…… っと。


『こちらこそ、本日はありがとうございました。麦ジュース、しっかり持って帰るの忘れてて姉さんに叱られました。というわけで、今度、折角お土産だと言われた麦ジュースを貰わないのも勿体無いですし、ポムポムパンツさんの気遣いを無駄にしたくないので、都合が合えばですが、どこかで会えたりできないでしょうか? その際、麦ジュースを持ってきていただければ幸いです。ご検討のほど、よろしくお願いします』


 送ったのはいいものの、文章堅いんだよな……。

これでいいのか。

分からないけど気にしなくていいか。


『おkです! 私毎日暇してるので、いつでも大丈夫ですよ!』


『分かりました。姉さんと相談して、またそちらに連絡しますね』


『あ、そんなに堅くなくてもいいよ?』


『分かりました…… って、どうすればいいんだ……』


『タメ口で大丈夫です!』


『ポムポムパンツさんもタメ口で大丈夫だよ』


『尊死』


 おい、死ぬなよ。


「ふふっ、案外面白い人なのかもしれないぞ」


 おっと、つい独り言を。


『あ、もし会えたら、今日の返事、待ってるよ』


 今日の返事……?


 そう戸惑っていた僕を見透かしたかのように、メッセージが送られてくる。


『私が君に告白したけど、その答えを貰ってないからさ』


 待て待て、面白くもなにでもなかった。


『忙しいのでまた今度、ということで』


『こうやってメッセージのやり取りしてるのに?』


 確かに、こんなことしてて暇とか言えないよな……。


 あの「好き」は、姉さんに、ではなく僕に向かって投げられたもの、なんだよな……。


 だったら、答えは一つだけだ。


 ……こんなの、『はい』一択でしょ。


『いいですよ』


『何が?』


 こういう時だけ意地悪だな! 何でだよ!


『貴方の告白に対する返事です』


『本当に? いいの?』


『はい、だって、あの時言われた「好き」は「はなまるパン」に向けたものじゃなくって、僕自身に向けられたものですから』


『ありがとう……』


『いえいえ。これからもお願いします』


『それじゃあまずはタメ口を使おうか。樫本徹くん?』


 


 僕が知り合った人は、悪魔のような人だった。

 



 





ここまで読んでくださいありがとうございました。

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