第4.5話「ある日の奏霊かな」
前回、「次回は魔界進出!」とか書きましたが、行きませんでした!許してください!
今回はある日の奏霊かなの一日。
「優斗、もう朝よ!起きなさい!」
朝5時半、カナが優斗を起こしにやってきた。
今日は木曜日、三日間続いた騒霊ライブ「春例15」の最終日である。平日なので始発は奏霊かな6時丁度発の200便。早速カナの作った味噌汁を流し込み、制服に着替える。
「あら優斗、おはよう。早いのね?」
「おはようございますルイズさん。もうすぐ始発なんです。」
「ふーん。じゃあ乗って行ってもいいかしら?もちろん運賃は出すわ。」
「もちろんいいですよ。フリーきっぷ、700円で1日乗り放題ですが使いません?」
「あら、そんなものまであるのね。じゃあそれ買うわ。」
「ありがとうございます。では丁度頂きます。あっ、乗り場はそっちです。少し待っててください。」
「ええ。ゆっくりでいいわよ。」
200便は平日のみ運転の無縁塚行始発。朝早い時間だが、ちょくちょく人が乗ってくる。その殆どが人里中央から秋農場までの区間で降りてゆく。魔法の森を発車するころには乗客はルイズ一人となっていた。
「あ、そうだ。ルイズさん、今日騒霊楽団のライブがあるんですけど、良かったら見ていきません?」
「面白そうね。どこでやってるのかしら?」
「二つ先の虹川館の近くにある洋館―プリズムリバー邸の大ホールです。」
「あら近い。でもチケットが無いわよ?」
「ちょっと交渉しましょうか?」
「いいの?ならお願いするわ。」
そのままバスは虹川館に到着。三姉妹の長女、ルナサが出迎えた。
「おはよう、優斗…とその人は?」
「魔界から来たルイズよ。よろしくお願いするわ。」
「騒霊楽団の副団長、ルナサよ…よろしく。」
「今日の公演のチケットって残ってる?」
「フルタイプのS席が一枚残ってるわよ。」
「じゃあそれ買わせていただいてもいいかしら?」
「もちろん。7000円だけどいいかしら?」
「ええ。あ、S-25ってことは優斗の隣だけどそれでもいいなら。」
「全然大丈夫よ。ごめんね、一万円札しかないわ。お釣りもらえる?」
「はい。お釣り、3000円ね。ありがとう。」
「いえいえ。楽しみにしてるわ。」
無事ルイズがチケットを入手できたところで、バスは無縁塚に向けて発車する。ルイズはルナサとしばらく話すということで、乗客0人で無縁塚へ。いつも通り客の姿はなく、折り返し201運用は遅れを取り戻すように虹川館に戻る。定刻より5分遅れて虹川館に戻ってきた。ここでルイズを回収し、博麗神社に向かう。
「人里で買い物する」とのことでルイズは人里中央で下車。地元の客を乗せ、博麗神社に向かう。
いつも通り5便までの運用を終え、11時9分には7102便、急行「騒霊楽団昼公演」として奏霊かなに戻ってくると、バス停にはカナ、エレン、ルイズの三人が待っていた。
「お疲れ~。はいこれ、今日のお昼ごはん。」
「ありがとう、カナ。みんなはもういく感じ?」
「ええ。ていうかこれ乗らないと行けないでしょ…」
「それもそうだ。じゃあ乗っちゃって?そろそろ発車するよ。」
「はーい。」
「そういえばルイズさんはどうやってここまで戻ってきたの?」
「ん?飛んできたわよ?」
「え…あぁ…ここ幻想郷だったわ…どうも人が空飛ぶのは慣れないな…」
「ふふ♪それがこの世界よ、じきに慣れるわ。」
「本日もご利用ありがとうございます。急行の騒霊楽団昼公演、虹川館方面無縁塚行です。途中人里中央、魔法の森、虹川館に停まります。虹川館には11時33分に到着予定です。社内揺れる場合がございますので、お立ちのお客様は手すり、吊革にしっかりとお掴まり下さい。次は人里中央、11時20分到着予定です。」
7102便は急行、人里中央を出ると相当飛ばす。そして無事定刻通り11時33分に虹川館に到着。三人もここで下車していった。
虹川館には折り返し設備がないため、一旦無縁塚まで運行し、折り返し7151便、虹川館行で虹川館に11時39分到着。寺島も会場に入る。座席はS-26,隣はルイズとエレンである。
12時丁度、公演が始まる。四人の演奏はいつ見ても圧巻である。
15時15分に昼の部は終了、7103便で観客を家路へと向かわせる。三人は虹川館でランチとのことだが、寺島は乗務である。
今日は特別乗務、なんと下り(奏霊かな→虹川館方面)の奏霊かなから先は7010運用で終了である。
7010運用は博麗神社を17時22分、定刻通り出発し、17時55分に虹川館到着。前述の理由で無縁塚へ。そして臨時7909便、虹川館行で虹川館到着は18時09分。15分開演であるため、寺島は足早に会場に向かう。
夜の部、打ち上げを終え、7023便、急行「騒霊楽団夜公演」で博麗神社へ。日付が変わって0時丁度に博麗神社、26分に折り返し7026便急行奏霊かな行でプリズムリバー三姉妹を含めた7人は奏霊かなへ向かう。
「四人ともお疲れ様!」
「優斗も観客の輸送お疲れ~。」
「すごかったわよ、みんなー!楽しかったわ!」
「そういってもらえて何よりだわ。」
「本当に感動したわ。あなたたち魔界に来てライブやってみない?」
「ま、魔界⁉大丈夫かな…」
「大丈夫よ。神綺様には私から話を通しておくわ。きっと盛り上がるわよ?」
「でも私たちはちょっと難しいかも…」
「誰か一人だけでも来てみない?」
「私はちょっと行きたいかも…」
「カナちゃんおいでよ!エレンちゃんと優斗も来る?」
「ぜひぜひ。」
「私も魔法の研究したいし行ってみようかな。」
「まぁ、魔界はいいとこなんで、ゆっくり観光でもしてくといいわ☆」
「そうですか。じゃあ今度行きますね?」
「今度と言わず明日にでも行きましょう?いいでしょ、優斗?」
「か、カナ!一応仕事が…」
「たまにはいいじゃない。休息も大事なのよ?」
「はいはい…で、三姉妹とルイズさんは今日は泊まってくんだよね?」
「ええ。」
「ホテルにして経営してもいいかもしれないわよこれ?」
「エレンちゃんナイス!その案採用!」
「ふふ、良かったわ♪」
「お金取るの…?」
「今日はさすがに取らないけど今後もしかしたら…?」
「良かったわ…」
「まぁ今夜は打ち上げよ、夜明けまで楽しみましょう!それじゃ、我ら騒霊楽団、春例15成功を祝って、乾杯!」
「かんぱーい!」
そして夜は更けていく。新しい明日が始まる。今日も、明日も、カナと一緒に。
―――――今度こそ夢を叶えるため。夢を失った少女騒霊の、新しい日々は続く……。
次回こそ魔界進出します。
カナ「はやくぅ」