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【東方二次創作小説】幻想騒霊日記   作者: 神成寺島鉄道
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第一話「騒霊との出会い」

2016年8月26日。新東京(しんとうきょう)国際空港。

関西空港から旅客便が到着した。

FJP726便、現在時刻は10時半を回ったところだ。

成田空港(なりたくうこう)駅、JR新東京空港線のホームに向かう人ごみの中に、彼は居た。

寺島 優斗。長野県諏訪湖周辺で総合運輸業を営んでいる。

趣味の旅行の帰りで、ここから東諏訪に戻るところである。

成田空港駅のJRホームは1面2線、いたって普通の地下駅で、その右側、一番線に、これから乗車する2216M特急「エアポートエクスプレス」16号、池袋(いけぶくろ)大船(おおふな)行が停車している。この特急は全車指定で、座席は後ろ側9号車だった。


11時14分、2216Mは定時で成田空港駅を発車した。この後、空港第2ビル、千葉、城東町、東京と停車し、池袋行は東京から渋谷(しぶや)新宿(しんじゅく)に停車する。新宿到着は12時39分、約1時間半で着く。

東諏訪に行くには、新宿で中央本線に乗り換え無くてはいけない。城東町にも直通しているが、東諏訪に直接行けるのは一日一往復の特急のみで、今回は新宿で乗り換えることとした。


「間もなく、新宿でございます。山手(やまのて)線、中央本線、赤羽(あかばね)線、小田急線、京王線、西武線、地下鉄線はお乗り換えでございます。5番線到着、出口は右側です。お忘れ物なさいませんようご注意下さい。新宿の次は、終点池袋に停車します。」

「接続列車のご案内です。中央本線下り、立川(たちかわ)大月(おおつき)甲府(こうふ)小淵沢(こぶちざわ)、東諏訪、塩尻(しおじり)松本(まつもと)方面、特急あずさ17号松本行は10番線から13時ちょうどの発車です。そのあと普通甲府行は11番線から13時15分に発車いたします。中央本線上り臨時急行、犬吠(いぬぼう)93号山武線直通銚子行は7番線から12時57分の発車です。変わりましてお乗り換えホームのご案内をいたします。中央線快速電車、下り中野(なかの)三鷹(みたか)、立川、高尾(たかお)青梅(おうめ)方面は11,12番線……」


12時39分に新宿に到着した寺島だが、なんと構内で道に迷い、10番線に着いたのは56分ごろであった。

13時00分発、67M特急あずさ17号はE257系11両での運転、今回は珍しくグリーン車に乗ることにした。

この編成のグリーン車は8号車だが、半分は普通車の半室グリーンというやつである。


定刻通り新宿を出た67Mは立川、八王子(はちおうじ)に停車。八王子からは甲府まで約一時間無停車とかいう高等芸能をやってのける。だが甲府より西は韮崎(にらさき)、小淵沢、茅野上社口(ちのかみしゃぐち)、東諏訪、諏訪下社(すわしもしゃ)西諏訪(にしすわ)、塩尻、松本とかなりの駅に停車していく。

寺島は旅の疲れからか、立川を出るころにはもう眠りについていた。


「ねぇ… ***に…来て…」

何処からか声が聞こえ、寺島は目を覚ました。もう列車は茅野上社口を発車している。

グリーン車には寺島以外の人の姿はなく、よくわからないまま東諏訪に到着した。


「無効印お願いします。」

「はい、ご利用ありがとうございました。」

東諏訪駅。長野県中央にある東諏訪市の中心駅である。と言っても現在は15時半、しかも平日ということで、人の姿は疎らである。

駅前の駐車場に止めておいたバスに乗り込み、自宅に向かう。

自宅までは車で20分程度である。

家が近づき、減速した瞬間、目の前で「何か」が開いた!

急ブレーキを掛けるも間に合わず、「何か」に突っ込んで行ってしまう。




気が付くと、山奥のあぜ道のようなところにいた。怪我は無いようだ。周りを見回す。

「なにあれ…我が家⁉」

視線の先にはこんなところにあるはずのない自宅があった。しかし、方向転換もできそうにないので仕方なく道を走ってみることにした。

「一体何処なんだここは…携帯も通じないし…」

進んでいくと、道が行き止まりになっていそうなところに出た。周囲には小さな神社が見えている。

「とりあえず話を聞いてみるか…」

そう思い、神社に行ってみることにした。


博麗(はくれい)…神社?聞いたことないな…」

境内には人の姿はなく、気配すらしない。取り敢えずお参りを済ませ、境内を見ていた。


突然の出来事だった。寺島は()()()に押し倒されていたのだ。

「な、なんだ⁉」

「ふふふ…。こんにちは、お客さんかしら?」

上から声がしたので見上げると、おおよそ神社には似つかわしくない金髪の少女が寺島の上に馬乗りになっていた。

「誰…ですか?」

「私はカナ・アナベラル。騒霊(そうれい)よ。」

「騒霊って何ですか…?」

「ポルターガイスト、って言えば分かるかしら?」

「ああ、あのものが勝手に動くっていうやつ?」

「そう。それよ。」

「へぇ…ってえぇ⁉霊なんですかあなた⁉」

「ふふ♪驚いた?」

「そりゃあ、霊がいるとか驚きますよ…」

「それで君は?」

「俺は寺島優斗です。」

「ふ~ん。どこから来たの?」

「長野県東諏訪市ってところです。ところでここは何処なんですか?」

「ここは博麗神社。幻想郷の結界を管理するところらしいわよ。あとタメ口でいいわよ?」

「あ、うん。というか幻想郷…どっかで聞いたような…」

「知ってるの?」

「山奥にある伝説の集落…という話はどっかで聞いた気がする。」

「う~ん…大体あってる、かな。」

「ところで…」

「あら?なあに?」

「そろそろどいてくれない?」

「あっ…ごめんね!」

やっとどいてくれたかとため息をつく寺島。カナは気にしていないようである。

「取り敢えず、靈夢(れいむ)に話を聞いた方がよさそうね…」

「その靈夢さんってどなた?」

「この神社の巫女さんよ。何か知ってると思うわ。」

「いまどちらにいるの?」

「どっか出かけてるわよ。だからしばらくここで休んでかない?」

「ありがたく休ませてもらうよ。」

「あ、少しお話聞かせて?」

「分かった。何の話すればいい?」

「んー、じゃあまずは外の世界の話して?」

「外の世界?」

「あっ、話してなかったわね。ここ幻想郷は、結界で隔離されてるの。だから、優斗がいた世界の話してくれる?」

「はいよ~。じゃあ旅の話でも…」

「あ、ちょっとまって。聞きたいことがあるの。」

「何?」

「外の世界にさ、中学校ってあるじゃない。優斗はどこ行ってたの?」

「えーっと、中学は…ああ、東京都城東区立の古川中学校ってとこ。でもなんでそんなこと?」

「いや中学校ってのがあるって話を聞いたからさぁ。それと、その時期どこに住んでたの?」

「東京都城東区とかいう何にもないところだよ。」

「ふ~ん。ありがと。」

「どうも。じゃあ少し質問していい?」

「いいわよ?」

「とりあえず、なんて呼べばいい?」

「カナ、でいいわよ。」

「じゃあ、カナ可愛いと思うんだけどさ、彼氏さんとかいるの?」

「ちょっ、いきなりすごいこと聞くわね…/// 残念ながらいないわよ?」

「そっか。ふぅ…」

「どうしたの?」

「いやなんでも?ところでカナはどこに住んでるの?」

「この神社よ。住むというか取り憑いているって感じね。」

「なるほど。」

「あっ、靈夢が帰ってきたわ。お~い!靈夢~?」

「どうしたのよカナ?って誰この人?」

「寺島 優斗です。」

「外から迷い込んできたみたいよ。」

「なるほどね、ていうかあれ何?」

靈夢が指さした先は寺島のバスが。

「あっ、あれ俺のです。」

「何に使うのよ…」

「あれ動くんですよ。後で乗ってみます?」

「考えとくわ。で、あともう一つ。」

「なんですか?」

「あそこにある建物、あれあんたの?」

「あっはい、そうです。」

「建物ごと来た…か。何かあるかもしれないわね。取り敢えずあんた…優斗だっけ?」

「はい。」

「しばらくあっちに戻せそうもないから、しばらくはそこの自宅に住んでなさい。」

「はい、わかりました。」

「あ、それとカナ?」

「なあに?」

「優斗に幻想郷を案内してあげて。」

「はいは~い。」

「ありがとう、カナ。それじゃよろしく。」

「んじゃ優斗、空飛べる?」

「はぁ⁉飛べるわけないでしょ…」

「あ、あれで案内するわ。動くんでしょ?あのバス。」

「ああ、多分。じゃあ乗ってくれ。今開けるから。」

「は~い。じゃあ靈夢、またね~」


次回「カナの幻想郷案内、そして…」に続く。お楽しみに!


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