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『仮面ライダー龍騎』

昭和から平成までの仮面ライダーをすべて観たわけではないが、『仮面ライダー龍騎』は最高傑作であると断言したい。

当時の流行をふたつも取りいれたため、龍騎は誤解される。『バトル・ロワイアル』から、13人のライダー同士によるバトル・ロワイアルという設定。『遊☆戯☆王』から採用したカードバトルシステム。それと、イケメンライダー。

かくいう私も、観るまえはバカにしていたくらいだ。リアルタイムでは、きちんと観ていない。最初に就職した会社の先輩に勧められて観たのが、総集編の回だった。あとから知ったことではあるが、子供番組であるがゆえにシリーズ途中で総集編回を挟む。クウガにもアギトにも、その退屈な回があった。けれど龍騎の総集編回は、退屈さは皆無だった。それが龍騎の初見だったからではない。話としておもしろく、惹きこまれた。

13人めのライダー・オーディンの能力で、時間が巻きもどる。追体験する時間のなかで、主人公は起こった悲劇を避けようと奔走する。が、記憶を保持することができずに悲劇を追体験する。この総集編の見せかたに、舌を巻いた。総集編を避けられないなら、総集編そのものをストーリーに取りこんでしまう脚本。あたえられた条件下で、おもしろい物語をつくりあげるという心意気。

龍騎は3人の人物を軸に、物語は進行してゆく。なりゆきで仮面ライダー龍騎に変身することになる主人公・城戸真司。仮面ライダーナイトとして戦う秋山蓮。カードデッキシステムをつくりだした神崎士郎の妹・神崎優衣。

真司は仮面ライダーシリーズの定型といった、正義感に篤い男である。人間を捕食するミラーワールドのモンスターから人間を守るために、ライダーとして戦う。ライダー同士の戦いを止めようと奔走するが、ライダーたちにそれぞれ戦う理由があることを知って苦悩しはじめる。「ライダーの戦いを止めることは、ほんとうに正しいのか」と。

ライダーバトルの最後の勝利者は、ねがいを叶えることができる。蓮は意識不明のままめざめない恋人を救うために、ライダーとして戦っている。その決意に嘘はないが、真司の愚直な姿を見てゆらぐ。

ライダーバトルが自分を救うために兄が仕組んだものであることを知り、優衣は延命を望まない。真司は優衣の命を救おうと、ライダーバトルに自我を殺して挑もうとする。蓮と戦うときに初めて、「サバイブ」の強化変身カードをつかうのが象徴的である。蓮が「サバイブ」を初めてつかうのは、真司たち「仲間」を救おうとするときなのである。

最後の戦いのとき、真司は自分のこたえを見つけだす。「きつい思いさせるかもしれないけど、ライダーの戦いを止めたい」と。


13人のライダー、いや……すべてのライダーのなかで、私がいちばん好きなライダーが仮面ライダー王蛇である。凶悪犯・浅倉威が変身する。殺人の理由が「イライラしたから」。「イライラするんだよ」は彼の口癖である。凶悪犯であるから、ほかのライダーを殺すことに躊躇がない。戦いをたのしんでいる。真司になじられると、「こういうもんなんだろ、ちがうのか?」と。叶えたいねがいがないので、「勝ちのこって、戦いがつづくようにねがうのもいい」と。こんなぶっとんだ悪役は、あとにもさきにもいない。浅倉の魅力は、私の筆力ではつたえきれない。ぜひ、DVDで借りていただきたい。

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