リボルト#12 陥落する黄金の楽園 Part6 憑依獣(パラサイト・ビースト)
※このパートには「盛大なネタバレ」が含まれております。ご注意ください。
だが、現実はいつも残酷だ。俺はまたしても振り回されてしまった。
「おい、それで勝ったつもりかよぉ?」
まるで俺の努力を否定するかのように、ガラスの音と共に響く奴のうなり声が再び俺の神経を刺激する。
「……やっぱりそう簡単にはくたばらねえか、この死に損ないが」
「へっ、よぉくわかってるじゃねえかぁ! どうだ、この俺様の強さにビビったか!」
「いや、全然。てめえが何度立ち上がろうが、倒れるまで叩き潰すだけだ」
正直、こうなるのも想定内だ。今更こんなことで驚いたりはしない。
「ちっ、つまらねえやつだなぁ! だったら、もっとおもしれえものを見せねえとなぁ……!」
「なに?」
その傲慢で余裕な顔からすれば、奴はまだ何か切り札を持っているに違いねえ。イヤな予感しかしねえが、ここまで来た以上もう踏ん張るしかねえ。
しかし、その内容は俺の想像を絶するものだった。
突然、土具魔の全身からダークパープル色の炎が迸り、その頭上には巨大な豹の形になって土具魔を覆った。しかもそれはただの炎ではなく、あたかも生きているように動いたり、吼えたりしている。
「な、なんだあれは……!!」
「こ、怖いよ……!!」
初めてあの化け物を目撃した哲也と菜摘は、普通の人間の反応をした。その目は恐怖か、それとも嫌悪か。
正直今なら奴を攻撃できるチャンスなのだが、あまりの威圧感に俺はそんな大事なことを忘れてしまった。
そして気が付くと、土具魔はいつの間にか変身が終わり、炎もメラメラと燃えている。そして、奴の体の一部も獣に変化した。
鋭い牙と爪、ネコのような光る瞳。その獣のような姿は、奴の暴虐な性格にはお似合いだ。
「どうだ、驚いたかぁ! こいつは憑依獣と言ってなぁ、感情の高揚によるP2の活性化で呼び出せるものだぜ! まあ、ごく一部のやつしか使えねえけどなぁ」
土具魔は今までにない荒い声で、自慢げに俺たちにこの化け物を紹介した。
そのまま奴は攻撃してくると思いきや、なんとこの後奴が口にした言葉は俺の予想を大きく狂わせてしまった。
「……で、いつまで隠してるつもりなんだぁ、弱小ウサギの組長さんよぉ?」
「何のことだ? さっぱり意味が分からねえな」
口はそう言っているが、体はもう暴走寸前だ。ドックンドックンと、今にも心臓が飛び出しそうだ。
「へっ、しらばっくれてもムダだぜぇ! 貴様も持ってんだろう、その憑依獣ってやつをなぁ!」
なっ……!? なぜあいつが、このことを知っているんだ……? いや、もしかしたらただのハッタリかもしれねえ。ここは落ち着いて対応しよう。
「ふざけるのもいい加減にしやがれ! 大体、俺がそんな化け物を取り込めるわけがねえだろう」
「へー、出せねえってのか? まあ、そりゃそうか。せっかくみんなに慕われるやつが、こーんなバケモンを出して大切な仲間をビビらせて、みんなに嫌われたくねえよなぁ! そう、『あの頃』のようになぁ!」
「なんだと!?」
俺の神経の一番敏感なところに触れた言葉を聞いて、さすがに俺は冷静にいられず、動揺を隠しきれなかった。
「ははは、焦ってる焦ってる! どうだ、この俺様が親切に思い出せてやろうか?」
「……やめるなら今のうちだぞ」
俺は胸の奥に燃える怒りの炎を極力抑えつつ、低い声で目の前にいる憎き敵を警告する。
その警告があまりにも無力で、何の役にも立たないことを知りながら。
「あれは確か、貴様が中二だった頃の話だなぁ。文芸会で他のクラスの連中と違うことをやりたくて、一人で張り切ってたらしいなぁ」
案の定、土具魔は勝手に話を進めやがった。怒りに支配された俺は何もできず、ただ体を震わせているだけだった。
一方このことも知っている哲也と菜摘も、黙って土具魔が語るのを聞いている。
「だが貴様が考えてるものはあまりにも奇妙すぎて、当時のやつらには理解されなかったみてえだなぁ! その結果、貴様はそこのメガネ坊主以外に、ほとんどのクラスメイトたちに無視されるハメに陥ったぜ! ひゃーはっはっはっは!!」
……なんて憎たらしい奴なんだ。笑顔はこの世界で一番美しい表情だと俺は聞いていたが、まさかこのような醜い笑顔も存在するとは思わなかった。
もう我慢できねえ。今すぐあいつに痛い目を遭わせてやる!
「やめろ……それ以上言うなぁぁぁ!!!」
俺は怒りのあまりにすかさず千里の一本槍を繰り出したが、あの禍々しい炎に守られている奴には通用するはずもなかった。
「おいおい、何をそんなにムキになってんだよぉ? それとも、俺様の言ったことが図星だってんのかぁ~? ひゃははははははっ!!」
「てめえ、調子に乗りやがって……!!」
そのムカつく笑い声が、俺の憤怒を燃やし続けている。俺はもう一度P2をチャージし、再び奴を攻撃しようとする。
「へっ、どうやら状況が逆転したようだなぁ」
「……何が言いてえんだよ、てめえは」
本当は分かっているつもりだが、今の俺はどうしても現実逃避をせずにいられねえ。
「おいおい、早速忘れたのかよぉ。貴様はさっき、俺様の『あの名前』を呼んだ時のことをなぁ!」
「ちっ……だからどうしたってんだよ」
またしてもはぐらかしてしまう俺。早くこの茶番を終わらせてくれ。
「貴様はさっき俺様を見下ろしてた時は、気分よかったんだろうなぁ! 今度は貴様が、俺様が受けてきた痛みを味わうがいいぜ! はははははっ!」
「悪いが、そうはいかねえぜ。正義のためにも、今日はここでてめえを始末しねえとな」
「はっ、何が正義だ! 鏡でも見てろよ! 今の貴様の表情は、いかにも『てめえを殺してやる』と言わんばかりだぜ! 俺様をサイコパス呼ばわりをしながら、自分も似てるようなことをしてるじゃねえかぁ、おい!」
「一緒にするんじゃねえ! 俺はてめえと違って、悪い奴しか殴らねえ!」
「『悪い奴』だとぉ? 『気に食わねえ奴』の間違いなんじゃねえかぁ? 貴様にできねえことが俺様ができて、嫉妬してるんじゃねえのか?」
「くっ……!!」
返す言葉も見つからねえ。認めたくはないが、羨ましくないと言えば嘘になっちまう。
「へっ、結局貴様もその程度か! まあいいぜ。最後に一ついいことを教えてやるよぉ」
「……なんだよ」
「他人への批判は、99%はブーメランなんだぜぇ。なぜなら、そいつも同じことがしたいけどできねえから、道徳という面倒くせえルールを持ち出して相手の邪魔をするしかねえからなぁ! 貴様はいい例だぜ!」
黙れ……俺はそんな奴じゃねえ……!
「うるせえぞ……そこを動くな、今すぐぶっ倒してやる!」
「おいおい、またそんなに興奮しやがってぇ! どうやら俺様の言うことは正しいみてえだな!」
黙りやがれ……てめえのようなサイコパスの言うことが、正しいはずなんか……!
「どうやら、てめえにひでえ目を遭わせねえと黙らねえみてえだな……!!!」
「ふんっ、やっとその気になったか! だったらさっさとかかってこいやぁ! もう待ちくたびれたぜ!」
土具魔の挑発だと知りながら、怒りに支配された俺はすでに理性をどこかに捨ててしまった。
今やるべきことは、ただ目の前にいるこの憎き敵を灰も残らずに消し去るのみだ!
「うおおおおおおおー!!!!!」
体が火照って、全身のP2が暴れているのが感じる。そしてやがてそれが溢れて、俺の周りに赤い炎へと形成する。
さらにその炎が俺の頭上に飛び上がり、山羊の頭蓋骨を持った怪物へと化した。成年男性3人分の高さもあるその巨大な胴体が、周りの存在を圧倒しようと威圧感を放っている。
「ふんっ、やっぱり持ってんじゃんかよぉ!」
「ああ、こいつは俺の憑依獣、『バフォメット』だ」
「バフォメットだろうがなんだろうが、この俺様の敵じゃねえよぉ! まあ、退屈しねえで済みそうだがなぁ」
なんなんだ、こいつは。俺の憑依獣を見て、ちっとも怖がらねえ……! 自分の立場が分かってんのか?
「てめえ、まだゲームを楽しんでるつもりかよ……! どんだけ狂ってんだ……」
「他人の価値観が自分のと違うからって、勝手に『狂ってる』って決めつけてやがる……貴様は実に浅はかだぜぇ」
「もういい! さっさとてめえをぶっ倒して、このつまらねえ戦いを終わらせてやる!」
未だに怒りが治まらない俺の頭の中は、土具魔を葬り去ることで一杯だ。
そして俺は本能に従い、口を大きく開けてP2を溜め始めた。するとバフォメットも俺と同じ動きをした。
「へっ、口に力を蓄えて、その後エネルギー波を放つパターンか? 古くさすぎて全然面白くねえぜぇ!」
アニメやゲームなどではよくある技を見て、土具魔は狼狽えるどころか、両手をポケットに突っ込んで余裕の顔を見せていやがる。
だがてめえになんて言われようが、俺の闘志は消えたりしねえ!
俺は土具魔を目掛けて、エネルギー波を放った。同時にバフォメットも、俺と同じターゲットを狙って土具魔を攻撃した。しかもそのエネルギー波のサイズは俺のより遙かに大きい。
二つの火柱がぶつかり合い、さらなる力を得て土具魔に向かって飛んでいく。
だが、それはすでに奴の想定内だった。俺のエネルギー波が奴に命中する瞬間に、奴は簡単にそれをジャンプして回避した。
その結果として、向こう側の壁は貫通され、大きな穴が開いた。だがそんなことは、自己中の土具魔にはどうでもよかった。
「はっ、貴様は本当に学習能力ゼロだなぁ! またしてもこんな一本道の技を出しやがって、この前の資質とまったく同じじゃねえかぁ!」
傷一つ負わなかった土具魔は、自分のちっぽけな賢さに溺れ、再び高笑いをしてやがる。
そう、それでいい。わざとかわしやすい技を出しておいててめえの気をよくさせて、油断した隙に……
「それはどうかな?」
「なにっ!?」
土具魔が着地した瞬間に俺の声に反応し、目を見開いて後ろを振り向く。
その時、すでに俺は片手に長い銃を持って、土具魔の頭部を狙っている。そして俺はこのチャンスを逃さまいと、素早く引き金を引いた。
しかし残念なことに、土具魔の反射神経が俺の思ったより悪くなかったのか、間一髪に俺の銃弾をかわし、肩に当たっちまった。
だが俺にとって、仕留められなければ、「外した」も同然だ。
「ちっ、外したか」
「おいおい、あんまうぬぼれてんじゃねえぞぉ! まさか一発だけで俺様の頭をぶち抜けるとでも思ってんのかよ! この俺様が手加減してやらなかったら、肩にすら当たらなかったぞ!」
「手加減だと? 明らかにてめえが自分の世界に溺れて油断しただけじゃねえか。どうやら、本当に学習能力がないのはそっちみてえだな」
「なんだとぉ……この俺様を侮辱するとはいい度胸だなぁ! っておい、その銃はどうしたぁ? さっきそんな銃を持った覚えはねえぞ!」
「……てめえはバカか? なんで俺はわざわざ、てめえにそんなことを教えなくちゃならねえんだ? つーか、頭を使えば分かることだろう、それぐらい」
「くそっ、またバカにしやがって……ふんっ、まあいいぜ。どうせ憑依獣の時にしか使えねえ、資質のようなもんだろうが……」
土具魔はうなり声を上げながら、空気椅子に座っているように腰を下ろし、腕もだらりとぶら下がっている。
だが突然、奴は何かを感じたかのように俯いた顔を上げて、怖い表情を浮かべている。イヤな予感がするぜ。
「だったら、こっちも存分この力を使わねえとなあああぁ゛ー!!!!!」
何を血迷ったのか、天井を見上げている土具魔はいきなり両手を上げて、この世のものとは思えない狂った声を発した。
すると土具魔を包んでいる炎は、眩しさを増していく。まだ全力を出していないってわけか。
「行くぜゴラァ゛! この世界に混沌をもたらしてやるっ!」
そう言うと、土具魔は俺に向かって走ってきやがる。
またタックルしてくるのかと思いきや、どうやら今度の攻撃はひと味違うみたいだ。奴の走った跡には黒い炎が残り、その中から無数の長い腕が伸びてきやがる。実に気持ち悪い光景だ。
俺は手に持った銃を投げ捨て、直感を働かして二台のガトリングガンを呼び出してしっかりと握りしめる。
早速引き金を引いて土具魔を攻撃しようとするが、それを予知したかのように奴は素早く身をかわしやがった。
だが高い連射力のおかげで、銃弾はすさまじいスピードで飛び出す。気持ち悪い長い腕も思ったより脆く、まるで豆腐のように砕け散っていく。
しかし、土具魔の恐ろしさは決してこんなものじゃねえはずだ。
案の定、破壊したはずの腕が再生し、今度は哲也と菜摘に向かって飛びかかりやがった。
ちっ、俺の力が強いと踏まえて、関係のない人たちを巻き込む気か? 悪役らしいあくどいやり方だぜ!
俺は早いスピードで走り出し、二人の前でガトリングガンを乱発する。奴の腕は俺の弾幕に敗れ、またしても霧のように消えた。
「おい、大丈夫か?」
大切な友達を心配する俺は、反射的に後ろを振り向く。
「ああ、大丈夫だ……むしろ秀和のほうは大丈夫か?」
哲也はそう答えたが、その険しい表情からすれば、どうも俺に怯えているように見える。その傍らにいる菜摘も、同じく恐怖に襲われたような顔をしている。
……まさか、彼らも俺のこの姿が恐ろしいとでも思っているじゃないだろうな?
募る不安のせいで、僅かだが俺の手が急に震え出した。
いや、そんなはずがねえ! 友達を疑ってどうすんだよ、俺は!
「そうか、無事でよかった。俺も大丈夫だから心配するな」
仲間を心配させないよう俺は強がって返事したが、心臓がもう空中に吊られているような気分だ。
そしてここぞとばかりに、奴は俺の動揺する心に悪辣な言葉を仕掛けてきやがった。
「おいおい、どうしたぁ? 手が震えちまったじゃねえかぁ! どうやら自分が今まで隠してた姿が見られて、大切な捨て駒たちに嫌われてビビってるようだなぁ!」
「てめえ……! 勝手なことを言ってんじゃねえ!」
俺は怒りを見せて奴を黙らせようとするが、本当は自分の心の弱さを隠しているだけだ。
「なんでそんなに怒るんだぁ~? もしかして図星かぁ?」
「くっ……!」
ダメだ、何も言い返せねえ……!
なんでだ……なんでこいつは、俺の考えていることが分かるんだよ……!!
「だから言っただろう、友達なんてただの足手纏いだぁ! 俺様は貴様と違って、一人だけでも生きていけるぜ! これだから貴様は弱いんだ、この俺様の足元にも及ばないぐらいになぁ!」
なんなんだよ、こいつ……!
何も分かってねえくせに、よくこんなことが言えたな……!!
哲也と菜摘が側にいてくれたからこそ、俺はあの忌まわしい記憶から解放できたというのに……!!!
俺が怒りと憎しみに飲まれそうな時に、突然に響く声が俺の理性を取り戻す。
「そんなことないよ! 秀和くんと哲也くんは、私にとって大事な友達なんだもん!」
「菜摘……!」
土具魔があまりにも調子に乗って好き勝手に言うのを見かねたのか、菜摘は前に出て奴の言葉を否定した。
「確かに一人で生きていけるのは強いかもしれないけど、でも仲間が側にいると、もっと強くなれるんだよ!」
「なんだとぉ……!? 小娘の分際で、よくそんな口で俺様に刃向かえたなぁ!」
反論されてムカついたのか、土具魔はギロリと菜摘を睨みつけやがった。
それでも菜摘はまったく動じず、続けて自分の気持ちを吐露する。
「誰だって、心の中で誰かを必要としてるはずだよ! 私も、もしあの時に秀和くんと哲也くんに会わなかったら、今の私がいないし、こうしてみんなと一緒に戦うことすらできなかった!」
菜摘の大きな声が、広間にこだまする。その中にこもる真剣さは、俺たちの心を動かす。
だが、すでに人間の心を失った土具魔には、そんなことはどうでもいいだろう。
「だったら、貴様はここで俺様に殺されて、その親愛なる友達とやらに弔ってもらうがいいぜ!」
「……!!」
その恐ろしい言葉を聞いて、俺は思わず息を呑んだ。どこまで性根が腐ってやがるんだ、こいつ!
土具魔は両手を振りかざして、また黒い炎からあの気色悪い腕を伸ばしてきやがった。
俺はすかさずガトリングガンを構えて腕を撃破しようとするも、なぜか今回の腕はさっきよりかなり堅くなり、なかなか破壊できない。
まさか、さっきのは全力じゃなかったというのか……! 俺を油断させるために……!
「あっ……ああっ……!」
一方、菜摘は恐怖のあまりに足が竦み、目の前の危険を避ける様子はまったくない。このままだと菜摘は危ない!
だが、こんなアニメではよくあるパターンはもう見飽きた。俺は自分で何とかして、この事態を回避させなければ……!
「菜摘! 早く哲也の後ろに隠れるんだ!」
「えっ? で、でも……」
「早く! ここは俺に任せろ!」
「う、うん! 分かった!」
俺の助言を受けた菜摘はやっと棒立ちをやめ、早いスピードで哲也の後ろに回った。
よし、これでひとまず菜摘は腕に捕まる心配はなくなった。後はどうやってあの腕を破壊するか、だな……
ガトリングガンをぶっ放してもダメなら、あとに残される手は……!
俺は再び手に持っている武器を投げ捨て、目を閉じた。
「ちょっと、秀和くん!? なんで攻撃しないの?」
「何をする気だ、秀和! このままだとやられるぞ!」
菜摘と哲也は俺の行動を理解できないみたいで、慌てて声を上げた。
「へっ、とうとう抵抗をあきらめて大人しく死を受け入れたのかぁ! やっぱり口先だけだな、貴様はぁ!」
予想通りに、土具魔は俺を貶してきた。だがこのままじゃまだ足りねえ。
もっと、もっとだ……! もっと俺を怒らせろ!
「おい、どうしたぁ! ビビってなにも言えねえのかよぉ! まあいい、まずは貴様の連中を一人残らずやっつけて、貴様が泣いて苦しむ様子をたっぷり堪能してから殺してやるよぉ!」
そうだ、続けろ。あと少しだ……!
「しょせん、貴様は仲間の一人すら守れねえ、ただの負け犬なんだよぉ! ははははははっ……」
ムカつくぜ、てめえ……何がそんなにおかしいんだよ!
憎い、にくい、ニクい……てめえのことが、マジ気に入らねえ!
俺は必ず、てめえをぶっ潰してやる……そしててめえを泣かせて、自分の罪を数えさせてやるからな!
……この一連の怒りの感情が、俺の全身のP2を活性化させた。
体はまるで炎に包まれたかのように熱い。強い力を感じて、何かが溢れてきそうだぜ。
さて、今度こそ終わりにしてやろうか……!
「紅炎槍襲弾!」
俺は力の限りに、口からエネルギー波をぶっ放した。それはまるで激太レーザービームのように、向こうにいる土具魔に向かって飛んでいく。バフォメットの力を加えれば、まさに虎に翼だ。
この灼熱な光線を浴びたものは、塵一つ残らずに消え去っていく。土具魔の出した不気味な腕も、大理石で出来た滑らかな床も。
……そして、もっと奥の部屋にあるパワー供給源も。
菜摘「つ、強い……!!」
哲也「なんてすさまじい力なんだ……明らかに普通の人間が持つようなものじゃないぞ!」
土具魔「おいおいおいおい! 派手にやるじゃねえか、野郎!」
秀和「てめえが俺をそうさせた。悪く思うなよ」
土具魔「ふんっ、ただの力のゴリ押しで、この俺様に勝てるとでも思うのかよぉ! 甘すぎるぜ貴様!」
秀和「その言葉、そのまま返してやるぜ」
土具魔「んだとぉ!? 生意気な……!」
秀和「『他人への批判は、99%はブーメラン』なんだろう? 自分の言ったことを忘れたのか!」
土具魔「貴様、よくも俺様の名ゼリフをパクリやがってぇ……!!」
秀和「てめえのような悪役が名ゼリフだと? 笑わせてやがるぜ」
土具魔「貴様……!! 俺様はこれでも宿敵ポジションだぞぉ! 俺様がいなけりゃ、貴様の存在価値なんてゼロに等しいぜ!」
秀和「へいへい、何とでも言えよ」
菜摘「えっと、話はますます脱線してるんだけど……これってもしかしてメタ発言?」
哲也「これが奴の言ってた混沌か……なるほど、確かに混乱してきたな、僕は」




