表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
反逆正義(リベリオン・ジャスティス)Phase One——Ten days in heaven(or in hell)  作者: 九十九 零
第3章 兎蛇の戦編・激化する衝突
75/120

リボルト#11 忍び寄る黒き霧 Part9 似てるようで違う、愉快な仲間たち

「それにしてもわりぃな、わざわざこっちに助けに来てくれたせいで、こんなことになっちまって……」

 ランニングマシンに走っている俺は、隣に同じく走っている正人に向かって申し訳ない気持ちを言葉にして表した。

 もちろん彼らが助けに来てくれたことには感謝している。だがもし彼らが来なかったら、俺たちと同じくこんなところに閉じ込められることはないし、今頃別の任務を遂行したり、休憩したりして有意義な時間を過ごすこともできただろう。

 しかし、正人の返事は俺の予想とは違った。


「いいってことさ! 元々はオレたちが決めたことなんだ、気にすんなって! それに新しい仲間もできたんだし、むしろ得をした気分だぜ!」

 最初は彼が俺に気を使わせないために嘘を付いたのかと俺は思ったが、その飾りのない自然な笑顔はその可能性を打ち消した。

 するとその時、俺の右側からチェストプレスをしている拓磨の声が聞こえてくる。

「正人はな、一度決めたことは決して揺るがない。謝る暇があるなら、感謝の言葉でも言ったらどうだ?」

「そ、そうか……それじゃお言葉に甘えて……ありがとうな、みんな。わざわざ来てくれて」

「やめろよ、そこまで言われたらくすぐったいじゃねえか!」

 俺の打ち明かした気持ちを聞いた正人は、何故か照れくさそうに笑っている。どこか俺に似てるところもあるんだな、こいつ。


「みんな、お待たせ~♪」

 突然遠くから、妙の声が聞こえてくる。その声が妙にウキウキしているようだ。

 俺たちは声がした方向に目を向けると、そこには様々な衣装を抱えている妙たちがいる。

「おっ、早えな! もうできたのかよ!」

 正人はランニングマシンから降りると、喜びの満ちた顔を浮かべながら彼女たちのいるところに走っていき、妙が抱えている服を受け取った。

「まあね~元々こういうの得意だし、小春ちゃんと菜摘さんが手伝ってくれたおかげで、いつもより早くできたよ! あっ、ありがとう正人くん!」

 それを見た俺は、同じくランニングマシンから降りて、妙のそばにいる菜摘が持っている服を手に取った。


「ありがとう、秀和くん」

「いいって、気にするな。それにしても、たった2時間でこんなにたくさん作れたなんて凄いな」

 俺は壁に飾られている時計を見て、その画面には18:10と表示されている。もう夕方になったとはいえ、このスピードでこれだけの服を完成できるのはとんだ神業だな。その裏でなされていた作業を考えていると、どうも気が遠くなりそうだ。

「そんなことないよ。服を作ったのはほとんど妙ちゃんだったし、私と小春さんはただ細かいところを直してただけだよ」

「それでもとても凄いと思うぜ。もしこの服が出来上がらなかったら、明日の作戦は水の泡になる。頑張ってくれてありがとうな、菜摘」

 同じチームの仲間同士で生まれた絆が、俺の心を暖かくする。この感動が産んだぬくもりによって、俺の体はつい動いて片手を彼女の肩に置く。

「えへへっ、どういたしましてだよ、秀和くん」

 俺に褒められて気をよくしたのか、菜摘は両目を細めると頬を赤く染めた。まあ、彼女は元々俺に気があるし、喜ぶのも当たり前か。


「あの、ちょっと宜しいでしょうか」

「どうした、千恵子?」

 突如千恵子が発した声に、俺は振り向く。

「衣装が出来たのはいいですが、数が足りていないのでは……?」

「そうなのか、妙?」

 千恵子の質問を聞いていぶかしむ正人は、逆に妙に質問した。

「えっと、確かDクラス以外の6クラスの男子と女子の制服をを作ったから、全部で12着かな」

「俺たちはざっと30人ぐらいか……それじゃ足りないな」

 妙の情報を元に、俺は周りを見渡した。衣装の数が足りないのことを知り、残念の色が隠せなかった。

 すると妙は意味深な笑みを浮かべ、拓磨を見つめている。

「あっ、そういうことなら大丈夫だよ。ねえ、拓磨くん?」

「やれやれ、言うと思ってたよ」

 妙の真意を知っているのか、拓磨は苦笑しながら首を横に振る。一体どういうことなのか?


「はい、それじゃお願いね」

「ああ、分かった」

 簡単なやりとりをした後、拓磨もジム機材から立ち上がり、服を抱えている正人のいる場所に近付き、その中にある一枚のシャツを手に取った。

「はっ!」

 するとどうだろう。さっきまで一枚しかなかったはずのシャツが、いつの間にか二枚になった。しかも俺たちが驚く間もなく、拓磨は次々とシャツを四枚、八枚に増やしていく。

「うっひゃあああー! どうなってんだよこれ!?」

 まるで手品でもしているようなこの不思議な光景を見て、聡は思わず瞠目し、いつものオーバーリアクションを発した。

 一体どういうことなんだろう。その真相を見つけ出そうと、俺は一旦心を落ち着かせる。すると、周りにP2の流れを感じる。もしかしてこれって……


「まさか……資質(カリスマ)か?」

「ああ、そうだ。ここに来る前に、色々調べさせてもらったからな。もちろん精神粒子サイキック・パーティクルや、特異資質アブノーマル・カリスマのこともな」

「そうか、それなら話が早いぜ。で、君の資質(カリスマ)はどんなものなんだ?」

無限複製インフィニティ・コピー原本(オリジン)さえあれば、P2(ピー・ツー)を使っていくらでも物を複製できる」

「へー、そいつは便利だな」

「まあな。とはいえ、たくさん複製すればP2の消費量は半端じゃないから、戦闘中ではゆっくり使う余裕はないけどな。それに本物じゃないから、安定感もやや劣っているのもネックだ」

 拓磨は苦笑しながら、続けざまにシャツを増やしている。


「そりゃ、どんなに凄い能力も必ず弱点があるぜ! 何一つも弱点のない能力も人間も、この世には存在しねえからなぁ!」

 正人は服の山からチラリと顔を覗かせて、爽やかな声を響かせながら俺たちの会話に混ざる。

「やれやれ、そんな言葉はただの弱者の甘えだ。この世界は失敗を許してくれるほど、甘くはないんだぞ?」

 拓磨が正人を見る目付きは一瞬、明らかにキツくなった。どうやら他人に厳しいタイプのようだな。

 このままだと、またさっきみたいに喧嘩に発展するんじゃないかと心配されている中、小春はこんなことを発した。


「だからこそ、ワタシたちはこうしてチームで行動しているのではないでしょうか。お互いの不足点を補えるように」

「うんうん、誰も一人じゃ生きていけないからね!」

 傍らで会話を聞いている妙は、ここぞとばかりに小春をフォローした。

「うむ……それも確かにそうだな。どうやら俺は大切なことを見落としていたようだ。ありがとう、二人とも」

 自分の過ちを素直に認め、拓磨はゴクリと頷いた。

「いいえ、どういたしまして」

「うんうん、分かればよろしい!」

 起きたはずの喧嘩を止めることができて、小春と妙は満足そうに微笑んでいる。

 しかしその時、またしてもあのペアが言い争いを始めた。


「なあ、聞いたか広多! 『誰も一人じゃ生きていけない』ってよ!」

「……何故ここで俺に振る。そんな他人の受け売りじゃ、この俺を説得するとでも思っているのか? 実に愚かな奴だ」

「カッー! マジでムカつくぜコイツ!」

「お前が自爆しただけだろう」

 情けない顔をしている聡を見て、俺は思わずツッコミを入れた。

「はっはっはっ、なかなかいいチームを持ってんな、秀和!」

 この一連のやりとりを見ていた正人は、突然俺のそばで高笑いをした。

「そっちこそ正人。とても愉快な仲間たちがたくさんいるじゃないか」

「いやいや、みんなただの腐れ縁だぜ」

 褒められて恥ずかしいのか、正人はこんなことを言い出した。しかし他のメンバーたちはあまり納得しなかったようだ。


「おい、それは一体どういう意味だ、正人? いい意味で捉えてもいいんだよな?」

「そうだよ、正人くん! いくら何でもその言い方はないよ!」

「『くされえん』ってナニ? 腐ったコインのこと?」

 こいつは参ったぜ。ここは俺が何とかしてフォローしないとな。

「まあまあ、みんな落ち着けって! 正人は多分照れ隠しに謙遜しただけで、別に悪気はないと思うぜ!」

「そ、そうだ! オレが言いたいのはまさにその通りだぜ!」

「だったらもっとちゃんとした言い方にして欲しかったですわ、ダーリン。たとえばこのわたくしは、ダーリンとはふぃあん……むうううっ!?」

 何かを言おうとした雅美は、突然正人に口を塞がれ、その声がボンヤリとしている。

「はいはい、余計なことは言わない」

 正人は余裕そうに雅美をなだめているが、その顔にはわずかに焦りが見えている。

 そしてまるでタイミングを計ったかのように、ムムとネネの二人はトレーニングルームに入ってきた。


「みなさ~ん、晩御飯のお時間ですよ~♪」

「今日はパエリアなんだよ! アタシとムムが二人で腕を振るって作ったんだ~」

「ほら、晩メシもできたことだし、さっさと行こうぜ!」

「むううう~~!! むうううううう~~~!!!」

 逃げ場を見つけた正人は、さっさと足を動かしてエレベーターのあるところに移動し始めた。一方口を封じられた雅美は為す術もなく、そのまま正人連行されていく。

「さて、俺たちもそろそろ行くか」

 おかしな歩き方で消えていく二人の姿を見て苦笑しながら、俺は言った。


 正直今日は連戦でマジで疲れた。それに続けざまに起きる一連の出来事が、俺の頭脳と神経を疲弊させてやがる。

 おまけにお昼寝も邪魔されたし、その結果として空腹はもちろんのこと、頭の中もメチャクチャだぜ。明日は戦いが控えてるから、今日は早めに休んだほうがいいかもな。

正人「よしみんな、今夜はたくさん食って英気を養ってくれ! そしたら明日はあいつらを思いっきり倒して、ここから出るぞ!」

拓磨「簡単に言ってくれるな。本当にそうなるといいがな」

正人「おいおい、ポジティブに考えようぜ? 悪いことばかり考えてたら、本当に起きちまうかもしれないだろう?」

拓磨「まあな。とりあえず後で銃の手入れや弾倉(マガジン)の装填をしておかないと」

絵梨香「よーし! Let's do it!」

小春「うふふっ、任せてください。ワタシは何とかしますよ」

妙「ううう……なんだかドキドキしてきちゃったよ……」

涼華「明日はどんな戦いになるか、楽しみでしょうがないわね」


雅美「むうううう~~~!!! むうううううう~~~!!!!!」

ムム「あれ、呼んだ?」

秀和「いや、君を呼んでるわけじゃないと思うぜ」

菜摘「ふぁ~疲れた~おなかペコペコだよ~」

千恵子「それならたくさん食べてくださいませ、菜摘さん。こういう時に食べる御飯は一番おいしいですよ」

哲也「そうだね。お腹が空く時は、食欲は普段より湧くからな。ちゃんとお知らせをしてくれるこの体の構造に感謝しないとね」


美穂「それじゃ、そろそろ頂くとしましょうか」

愛名「そうだね! いただきまーす♪」

宵夜「今宵の(うたげ)に、新たな盟友(めいゆう)への祝福を!」


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ