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反逆正義(リベリオン・ジャスティス)Phase One——Ten days in heaven(or in hell)  作者: 九十九 零
第2章 ヘブンインヘル転学編・波紋を呼ぶ奇跡
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リボルト#08 飛び散る火花たち Part6 十守先輩の質問解答コーナー!

※このパートにネタバレが含まれております。ご注意ください。

「さてと……先輩、この秘密基地の凄さは大体分かってきことですし、そろそろ俺たちに教えてくれませんか? この学校に潜んでいる謎のことを」

「いいわよ。まずは何から聞きたいかしら?」

 十守先輩の爽やかな返答に、俺は逆に対応に困る。何しろ聞きたいことが多すぎて、頭の中が滅茶苦茶(めちゃくちゃ)なんだ。

 そこで俺の右手が視線に入り、稲妻のことを思い出した。よし、まずはこれから聞いてみようか。

「そうですね……昨日のサバイバルバトルで、何故か俺の右手から急に稲妻を放てるようになったんですけど……これって何ですか?」

「ああ、特異資質アブノーマル・カリスマのことね。ずいぶん久しぶりね、この言葉を口にするの。まあ、もっと分かりやすくいえば、いわゆる超能力みたいなやつね」

 十守先輩が出した答えに、俺は思わず反応してしまう。そういえばさっきあのイカレ野郎も、カリスマとやらを言っていたっけ。あいつの出した黒い炎にも関係しているのか?

「私のスプリング・タクトと、ネネちゃんのソニック・ローラーもこれに当たりますよ」

 先程凄まじい技を披露したムムは、微笑みながら俺たちにその真相を教える。

「内容は人によってそれぞれ違うけど、その能力を身につけるには、身体の潜在能力(ポテンシャル)を覚醒させなければならないのよ。大体はその人がピンチに陥る時に思い浮かぶことに関するものが多いわ。君はその稲妻を出す前に、何かあったのかしら?」

 さっきのじゃじゃ馬モードが一転し、いかにも先輩らしく語り出す十守先輩の姿は、何故か違和感しか覚えない。もちろんそんなことを言ったらボコボコ必至なので、俺はこの思いを胸にしまっている。

「そうですね……とある先生に腕時計を暴走させられて、それでもの凄い電撃を浴びせられて……はっ、もしかしてそれでこの能力を使えるようになったきっかけですか?」

「その通りよ! さすがはリーダーくん、飲み込みが早いわね」

 先輩が教えてくれたヒントをたどって、俺は自力で早くもこの能力の原因を解明した。そして先輩の返事も、俺の推理が正しいと裏付けた。

 隣にいる仲間たちも、驚きのあまりに大声を出した。そこで俺は、あることに気付く。

「じゃあ、俺だけじゃなく、他の仲間たちもこの『カリスマ』ってやつが使える可能性があるってことですか?」

「あらあら、大正解~まさかここまで思いつくなんて、頭の回転がよすぎるわ、秀和くん。いつか解析してみようかしら」

 俺の推理を褒めている静琉先輩は、艶っぽい笑顔を浮かべながら、恐ろしい言葉を口にして俺の全身に悪寒を走らせる。

「さり気なく怖いこと言うわね、静琉」

 そしていつも強気な十守先輩まで、静琉先輩のとんでもない発言を聞くと苦笑しはじめる。

「あらあら、冗談で言ったのに」

「とても冗談に聞こえませんよ、先輩」

 涼しい顔でそんなことを言われても、まったく説得力がない。

「ところで新人諸君、このカリスマを使うのに必要な精神粒子サイキック・パーティクルのことを知ってるかしらね?」

「何ですか、それ」

 初めて聞いた未知の言葉に、俺は思わず耳を立てる。

「そうね……これはあらゆる生物が行動するのに必要な物質で、感情が動く度に自動的に生成するわ。簡単に言うと、ゲームではよくあるMPみたいなやつなんだけど、これはちょっと違うのよね」

「違うって、どこがですか?」

 俺は質問しようとしたが、超能力に興味津々な美穂は目を輝かせながら俺に先立って声を出した。

「そうね……ほら、人間って様々な感情があるでしょう? 嬉しい気持ちや、悲しい気持ちとか」

「ふむふむ、確かに」

「そういう感情が私たちの体の中で、様々の働きをしてるわよ」

「嬉しい時に笑ったり、悲しい時に泣いたりするとか、そんな感じでしょうか?」

 アイドルのお仕事で感情への付き合いも多い冴香は、迅速かつ正確に例を出した。

「ええ、確かにそれもそうだけど、精神粒子サイキック・パーティクルはその上を行くわよ。人の思いの強さによってその数や大きさなどが変化し、使用者の能力を大幅に増幅させられるわよ」

「ええ!? マジで?」

 まるでアニメやゲームで聞いたような話を耳にして、聡は思わず声を上げて驚きを表す。

「マジなのよ。秀和くん、君は稲妻を放った時に、どんなことを思い浮かんだの?」

 俺はその質問の答えを考えている途中で、十守先輩は何かを考え込んでいるように俯くと、また顔を上げて俺に声をかけた。

「ううん、こう聞くべきかしら。君は『何のために』稲妻を放ったの、秀和くん?」

 俺はさっきより分かりやすい質問を聞くと、答えが自然かつ無意識に口から溢れてくる。

「それはもちろん、仲間たちを助けるために決まってるじゃないですか」

「そう。それならよかったわ」

 俺の答えを聞いた十守先輩は、さっきと違って何故か優しい顔を浮かべている。そしてすぐに彼女は凛々しい顔に変えて、話を続けた。

「いい、新人諸君。力っていうのはね、大切なものを守ることができれば、気に入らないものを壊すこともできるわ。しかし、このまったく違って見える二つの事象に共通してる部分があるわ。それはね……」

 十守先輩が放っている威厳感のあるオーラを感じ取った俺たちは、ゴクリとつばを飲み込んで大人しくその続きを聞き取ろうとする。

「いずれもその力によって、同じ作用が跳ね返ってくることよ。壁を殴ると自分の手も痛くなるのと同じ」

「と、言いますと?」

 十守先輩の言葉の意味がよく分からないようで、菜摘は先輩に更なる説明を要求した。

「力をどう使うかは君たちの自由だけど、それ相応のリスクも伴ってくることを忘れないでちょうだい」

 おっ、やっと先輩らしいところが出てきたじゃん。今のは凄く格好よかったぜ、十守先輩。

「なるほど……特異資質アブノーマル・カリスマ精神粒子サイキック・パーティクルについては大体分かりました。ありがとうございます、先輩」

「いいのよ。それじゃ、次は何が聞きたいのかしら?」

「そうですね……昨日俺たちを襲ってた、正体不明の化け物たちについて知りたいんです。デカいサソリや片腕のゴーレムとか、どう考えてもこの世の生き物じゃないですし……」

「ああ、ネガティブ・コレクターのことね。相変わらずとんでもないことをしてくれたわね」

「何ですか、それは?」

 またしても聞き慣れない言葉に、俺は反応した。

「ブラック・オーダーが負の精神粒子サイキック・パーティクルをかき集めて作り出した化け物よ。化け物の割に案外人間っぽいところがあるのもそのせいよ」

 負の精神粒子サイキック・パーティクル……そういえば、昨日広多がサソリを倒した時も似たようなことを言ってたな。

「血と肉で出来ているわけではないので、倒しても血が飛び散らないのはいいんですけど、一体作るのに大量のP2(ピー・ツー)がかかるらしいですよ。あっ、P2というのは精神粒子サイキック・パーティクル略称(りゃくしょう)です」

 碧はチョコバーを頬張りながら、俺たちに説明を補足してくれた。

「そんな大量の精神粒子サイキック・パーティクルは、どこで手に入れるのですか……あっ、もしかして……!」

 手をあごに当てて考え込んでいる千恵子は、突然顔を上げて目を見開く。

「どうやら気付いたみたいね。そう、ブラック・オーダーの連中は生徒たちの負の情緒(イモーション)を引き起こすために、あんなイカレた『授業』をさせてるのよ。ネガコレの素材を手に入れるだけじゃなく、外の荒野に野放しにすれば、ここから出ようとする生徒たちを抑止することもできるから、まさに一石二鳥ね」

 ようやくそのイカレた『授業』の本当の目的を知った俺は、呆れて言葉に出ない。あの化け物どもは、そんな恐ろしいことを考えていたというのか!

「あの野郎ども……そんなことのために無実な生徒たちを犠牲にしやがって……!」

 怒りのあまりに、俺の体が震える。

「それを阻止するために、あたしはこの『真実の標(トゥルース・ルーペ)』創立したのよ。でもあいにく人が少なくて、今まで偵察行動しかできなかったけど、この前君たちが暴れてくれたおかげで、さすがこれ以上黙って見過ごすわけにはいかないって、気付かせてくれたわ。だからお願い、一緒に戦って!」

「よかったら私たちと手を組まないかしら? 脱兎組(ランニング・ラビット)の皆さん。大丈夫よ、こう見えてもウサギが大好きなの、蛇みたいに食べたりしないわ」

 十守先輩と静琉先輩は、真剣な眼差しで俺たちを見つめて協力の願いを申し出た。俺たちは顔を見合わせると、相談もせずにすぐ頭を縦に振った。

「はい、やりましょう! 俺たちも分からないことばかりで戸惑っていますので、先輩たちのような味方がいれば心強い限りですよ!」

 俺は片手を握り締めて上に向けると、自分の心にある強い決意を声に出す。きっと他のみんなも、俺と同じ気持ちだろうな。

「みんな……ありがとう!」

「あらあら、結構すぐ承諾するのね。まあ、ウサギ好きに悪い人間はいないわね」

 俺たちの協力的な態度を見て、先輩二人は喜びの顔色を見せる。そしてオペ子の二人も、感謝の気持ちを伝えてくれた。

「先輩方、感激であります、多謝であります! 私も先輩方の役に立てますよう、精一杯サポート頑張るであります!」

「おやおや、これから基地はますます賑やかになりそうですね。また観察対象が増えてワクワクします。というわけで、これからもよろしくお願いしますね、先輩」

 さっきの恋蛇団(ウロボロス)との険悪モードとまったく違って、新たな仲間との絆がまたしても俺たちの心を温かくしてくれる。やっぱ仲間っていいよなぁ。

「あっ、そういえば……」

 突然何かを思い出した俺は、ほっこりした笑顔がまた真顔に戻った。

「どうかしたの、秀和くん? まだ何か聞きたいことが?」

「ムムとネネの正体について、まだ教えてないんですけど」

「あっ、そうだったわ。さて、いよいよあれの出番ね」

 俺の質問で十守先輩が言い忘れてたことを思い出して、静琉先輩と共に手を後ろに回して何かを探し始めているようだ。そしてしばらくすると、二人の手には俺たちの見たことのない機械を手にしている。多角形のフタから放つ不思議な光は、その凄さを示している。

「何ですか、これ? 携帯じゃないみたいですけど……」

「これはね、『ポケット・パートナー』というの。うちの開発部が生み出した人工知能なのよ」

 静琉先輩は、首を傾げながらにっこりと笑っているが、口からとんでもないことが出てくる。そこから俺が導き出した結論はただ一つ。

「えっ……じゃあ、あの二人は人間じゃないんですか!?」

「うん、そうだけど」

 十守先輩は何事もないように答えたが、それを聞いた俺たちは思わず絶叫した。

「「「「「えええええええー!!???」」」」」

「お、思ったより凄いことになりましたね……」

「あーあ、やっぱこうなるよね……まあ予想はしてたけど」

 その光景を目撃したムムとネネも、苦笑せざるを得なかった。

「何よ、そこまで騒ぐことはないでしょう」

「いやいや、だってどう見ても普通の女の子でしょう、これ!」

 当たり前のように思っている十守先輩に対して、優奈はオーバーリアクションでつっこんだ。

「まあ、『見た目』はね。だって怪物にしたら誰も近付きたくないでしょう」

「そりゃ、そうですけど……」

「まあ、疑うなら触ってみなさい。それで謎が解けるわ」

「えっ、触ってもいいんですか!? それじゃ遠慮なく……うわっ!」

 かわいい女子の話題には敏感な直己は、欲望に支配されて両手の指をいやらしく動かしたが、早くも名雪のハリセンで張り倒された。

「あんたはいいわよ! もう、そのスケベ根性には呆れるわ……」

「じゃあ、アタシがおいしく頂くわね……じゅるり」

「美穂ちゃん、その言い方はどうかと思うよ……?」

 野獣の眼光を輝かせる美穂を、菜摘は苦笑しながら指摘する。それでも美穂は止まることなく、そのまま両手をムムの体に触れる。

 と、その瞬間に。

「わあ、何これ!? アタシの手がムムの体に刺さってるわよ!?」

 よく見てみると、美穂の指が消えて、ムムの体に触れているところが白く光っている。

「ど、どういうことなのこれ……もしかして幽霊!?」

「きゃあ! ふぇぇ、お化け怖いよぉ……」

 優奈は驚きのあまりに自分の考えを大声で出すと、臆病な千紗がすぐ怯えてうずくまる。

「おっ、予想以上のリアクションじゃない。ここから出たら、芸人育成の先生を目指してみても悪くないわよ、ムム」

「からかわないでくださいよ、マスター」

 十守先輩の冗談に、またしても苦笑をするムム。なるほど、その名前は先輩たちが付けたのか。これなら納得できるぜ。

「まあまあ、冗談はこれぐらいにして、今から真面目に説明するわね。ほら、ブラック・オーダーが負の精神粒子サイキック・パーティクルでネガティブ・コレクターを作るのと同じように、私たちも色々研究して、正の精神粒子サイキック・パーティクルでこの子たちを作ったのよ」

 静琉先輩はいつもの淑やかな笑顔を浮かべながら、俺たちに二人の由来を簡潔に教えてくれた。

「ネガティブ・コレクターと同じく、ダメージを負いすぎると体は消滅するけど、プログラム自体が消えるわけじゃないから、本体が壊されない限り、修復すればまた呼び出せるわよ」

 十守先輩は自慢げに機械を揺らしながら、俺たちにその機能をの凄さをアピールしている。

「しかも、現在チップを挿入(そうにゅう)して強化パーツとかも使える新型(ニュータイプ)が開発されていますので、これであのロクでもない先生たちにぎゃふんと言わせることも不可能ではないですよ」

 碧は相変わらず眠そうな目付きをしているが、その口から発する言葉のインパクトが凄すぎる。

「そうなの? 見せて見せて!」

 その話題を興味津々に聞いている菜摘は急に瞳を輝かせて、子供みたいにダダをこねはじめた。

「あの、菜摘さん、気持ちは分かりますけど、ここは基地内なので、また日を改めてお見せしますね」

 いきなり無茶な要求を振られて、さすがにムムも苦笑せざるを得なかった。それでも彼女は大人の対応で、遠回しに断った。

「それにしても、そんな凄い人工知能があるなんて、まるで夢みたいな話だな。何だか無性(むしょう)に欲しくなってきたぞ、ポケット・パートナー」

 さっきの戦いで二人の活躍を思い出した俺は、深く考えずにこんなことを口走った。「隣の芝生(しばふ)は青い」というのは、正にこのことだな。

「ああ、そのことなんだけど、ちょうど一台余ってるから、リーダーに渡そうと思ってるのよ。本当、ついてるわね」

「えっ!?」

 思わず驚きの声を漏らす。何だこの都合のいい展開は。えっと、この場合はなんていうんだっけ? 「棚から唐揚げ」? いや、「棚からコロッケ」か……

「『棚から牡丹餅(ぼたもち)』ですよ、秀和君」

「ああ、ありがとう千恵子……んんっ!?」

 待て、なんで彼女は俺が今考えてることを知ってるんだ?

「それじゃ、開発部の子を呼んでくるから、ちょっと待ってなさい」

 そんな俺と千恵子を余所(よそ)に、十守先輩はマイク付きのヘッドホンを装着して、誰かと連絡を取り始めた。

 そしてまだ見ぬ新たな出会いに、俺は少し期待を膨らませた。

秀和「今回は盛大なネタバレのバーゲンセールだな……まあ、そこまでやらないと盛り上がらないだろうしな」

十守「ふう~疲れたわ。後輩に知識を教えるのって、案外難しいわね」

静琉「お疲れ様、十守。よく頑張ったわ」

十守「ありがとう、静琉。まあ、研究や開発に比べて、これぐらいは大したことじゃないけどね」

ムム「これで私たちの正体も明かされましたね。でも皆さん、なんかソワソワしてるみたいですけど……」

ネネ「そりゃそうよ~。何しろ人間じゃないからね、アタシたちは」

ムム「でも、こうして生まれるのは、マスターたちのおかげですね。感謝しなくっちゃ!」

十守「おお、ムムよ! いいことを言うじゃないの! お礼にあたしが気持ちがよくなるマッサージを……あれ?」

静琉「あらあら、手が完全にムムちゃんの体に刺さっちゃってるわね」

十守「あっ、体が触れないの忘れてた! うわあああーー!!!」

ムム「そ、そんなに落ち込まないでくださいマスター……」

十守「やっぱP2の濃度が足りないのかしら……ネガコレみたいに実体を持つようにしたいわ……よし、更なる研究を始めるわよ!」

秀和「あの……俺たちは放置ですか?」

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