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反逆正義(リベリオン・ジャスティス)Phase One——Ten days in heaven(or in hell)  作者: 九十九 零
第2章 ヘブンインヘル転学編・波紋を呼ぶ奇跡
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リボルト#06 生と死の境界線 Part1 いつもと違う朝

アバン


秀和「まさか入学後三日目に先生たちとドンパチをすることになるとはな……こいつは面白くなってきたぜ」

千恵子「狛幸さん、やる気があるのは誠に宜しいことですが、あんまり背伸びしすぎると命取りになりますよ?」

秀和「けどよ、憎い相手に『ひとや』を報いるチャンスが目の前にあるのに、それを見逃すわけにはいかないだろう!」

千恵子「それを言うなら『一矢(いっし)』を報いるですよ、狛幸さん」

秀和「そんな細かいこと、今更どうでもいいだろう! よし、突撃じゃああーー!!!」

千恵子「あっ、お待ちください! もう、本当に気まぐれな方ですね……」

リボルト#06 生と死の境界線

The borderline between life and death


 今日はヘブンインヘルに転学して三日目になる。しかしこんな短い間に、まさか事態はここまで大きく変わるとはな。まるでドラマみたいに、先がまったく見えないぜ。

 早朝に起きた俺は、ベッドの上に座って窓の外を眺めている。そして片手に握られている、手のひらより一回り大きい置き時計が、日差しに照らされて輝かしい光を放つ。その画面には、8時50分を示している。

 ワクワクして夜は眠れなかったのかって? いや、そいつは違うぜ。むしろ今日の戦いに備えるために、ぐっすりと寝てたぜ。ただこの二日間に起きていたことがあんまりにもインパクトが強すぎて、頭の中はまだめちゃくちゃしている。心を落ち着かせて、今までの出来事を整理する必要がありそうだな。

 親父が俺にもっと立派な人になってほしさあまりに、こんなワケの分からないところに転学させた。最初はここの凄さに驚いたけど、教師、いや「化け物」たちが常識離れした課程(カリキュラム)で生徒たちの思想を改造している上に、残酷非道な体罰まで与えていやがる。それを見兼ねた俺たちは教師たちに抗議を訴えたが、こんなところから出て行くためにはあいつら全員をぶっ倒さなければならねえ。

 ふん、実に燃える話じゃねえか。生徒たちの学費を搾取しておいて、こんなひでえ仕打ちをしてる教師失格の化け物たちに、俺たちがちゃんと「授業」をしてやらねえとな。

 そんな熱い思いを胸に、俺は体を動かしてベッドから降りると、歯磨きや着替えを済ませ、ドアを開けて外を出る。今日はみんなとショッピングモールのフードコートで朝食をする約束があるんだ。

 サンドイッチや野菜ジュースで十分に腹ごしらえをしておいた俺たちは、校舎に向かう途中で多少の緊張感に襲われながら、会話を交わして互いの絆を深める努力をしている。

 校舎の前にある階段まで進んだ俺は、足を止めてみんなのほうを振り向くと、真剣な顔で彼らを見つめながらこういった。

「いいかみんな、これからは俺たちにとって今までにない難しい挑戦が待っている。不安で逃げ出したくなる気持ちも分かるけど、これは俺たちが自由を取り戻すための唯一の道だ。だから仲間の力は、何より大切なものだ。あと、一つだけ約束があるんだ。聞いてくれるか?」

「もちろんだ。君からの頼みなんだ、断る理由がないさ」

 こんな土壇場で断られるんじゃないかと心配している俺を、哲也の優しい言葉が俺の不安が余計だということを気付かせてくれた。

「サンキュー。約束の内容なんだけど、それは……」

「それは?」

「みんな必ず全員生き残って、ここから出て行くことだ。誰かが怖じ気付いて、途中で逃げ出したり、自分で命を絶ったりするようなやつは、俺は絶対に許さないからな。いいか、俺たちはもう一つのチームだ。勝手な行動を取られちゃ困るぜ」

 俺は力強く、心の中に潜んでいる思いを打ち明けた。眉間に僅かなプレッシャーを感じているけど、この時の俺はどんな顔をしていたんだろうな。

「わたくしたちは、自分の意志でここで集まることに致しました。仲間の信頼を背くようなことをする理由はありません」

「はい! 確かに私たちのような普通の少年少女がいきなり戦えと言われても無理がありますけど、それでもやるしかないんです! 一人でできないことはあるかもしれませんが、みんなで力を合わせれば、きっと……!」

「ゲームでも団体(パーティ)を組んで、協力するような遊び方が増えてきたからな。ソロプレイがクソゲーに思えてくるぐらいにさ。やっぱこっちのほうが燃えるぜ!」

「ククク……そなた、なかなかいいことを言うのではないか。盟約(プレッジ)を結んだ我らは、もはやオリハルコンの石のように固く、その関係を破る者などは存在しないのだ!」

 俺の決意に応えて、みんなも俺に劣らない程の力強い返事をしてくれた。突然心の中に、名状しがたい暖かい何かが溢れてくる。

「そう言ってくれて安心したぜ。やはり君たちに出会ってよかった」

「何だよその臭いセリフは! らしくないぜ」

 俺は勇気を絞り出して言った心を動かすような言葉は、直己の不意打ちによって台無しにされてしまった。

「臭いだと!? 人が恥じらいを堪えて、勇気を出してせっかく言えたのに、何だよその言い方は!」

「わ、悪気はない! あんまりにも空気が重そうだからさ、ちょっと雰囲気を変えようと思って……」

 俺の少し怒っているような言い方で恐怖を覚えたのか、直己は慌てて両手で顔の前に隠し、俺の攻撃を防ごうとしている。

「調子狂うな、ったく……まあいいか。雑談はこれぐらいにして、さっさと中に入ろうぜ」

 11時までにまだ約15分があるが、玄関は既に乱雑な人混みに埋もれていて、騒がしい声があちこちざわつく。そう、それはまるでコミケやゲームショーみたいな光景だ。

「なんなんだよ、急に玄関に集まれって」

「も~う、早くもっとさっきの続きがしたいのにぃ~」

 どうやら彼らは俺たちと違って、事前にあの化け物たちに詳しい事情を知らされていないようだ。その顔に浮かんでいるのは、疑惑と苛立ちしかなかった。

 だがその騒然とした空気が、やがて化け物たちの出現により静寂へと変貌した。

「おはよう、諸君。おや、まだ集合時間前だというのに、もうこんなに揃っているのか。うむ、実にいい心構えだ」

 人混みに隠れているそいつは、姿こそ見えねえけど、その大胆不敵かつ傍若無人な雰囲気を持つ声は、顔を見なくても持ち主が分かるぜ。

 その威厳感を放つ存在に気付く生徒たちは、大人しく両側に移動して、道を開けた。そしてその大きな隙間から、昨日対峙していたやつらの姿が少しずつ見えてくる。

「ほう、逃げずにやってきたのか。その勇気、いや、無謀を褒めてやろう」

 相変わらずムカつく鬼軍曹が、頭を上げたままで俺たちを見下ろしていやがる。

「へっ、ここまでしておいて逃げるほど、俺たちは弱くねえぜ。今日は決着を付けて、てめえらの泣き面をじっくり堪能してやる」

「くっくっく、ガキの分際でよく言うのではないか。まあ、威勢のいいことを言っていられるのも今のうちだがな。ところで、暗元はどこにいる?」

 鬼軍曹はキョロキョロと辺りを見回して、憎き宿敵を潰そうと恐ろしいオーラを放っている。

「知るかよ。今朝からずっと会ってなかったぜ」

「そうか。ふん、今日こそ奴をこの手でなぶり殺してやろうと思っていたが、先に戦線から離脱するとは、見損なったぞ」

 自分が計画していた殺人ゲームの最大の標的(ターゲット)が不在していることにより落胆している鬼軍曹は、いきなりその身に纏っている黒いオーラを増幅させ、無言の怒りを示しやがった。だがすぐさまその恐ろしいオーラが治まり、鬼軍曹は再びムカつく笑顔に戻った。

「まあいいだろう。どの道奴は、生きてここから逃げることはあるまい。今頃はもう、既に飢えている(ビースト)たちの餌食(えじき)になっていただろう」

 なるほど、昨日哲也が言っていた学校の外に棲んでいる野獣たちのことか。まさに外道だな、おい。

「はいみんな、お静かに。今から先生たちは大事な話があるから、ちゃんと聞きなさぁい。今日はみんなにサバイバルバトルをやってほしいの」

 ドレス女の艶めかしい声が、この場の空気を凍り付かせた。まあ、無理もないか。何しろ俺たち以外の連中は、まだこの話を聞いていなかったからな。

 そしてあっという間に、玄関は爆弾が爆発したかのように、一気に騒がしくなってきた。

「えっ、なに? サバイバルバトル?」

「一体何が始まるってんだ? 大惨事大戦か?」

「俺たちに何かさせてんだろう、殺し合いかな? うへへへ」

 飛び交う数え切れない言葉に、生徒たちの冗談が交わっている。スリルを好むこいつらには、ただの遊びにしか思わないのか。

「言っておくが、これはただの遊びではない。本物の武器を手に取って、ボクたちを倒すのだよ、うえへっへ」

「そこにいる彼らを感謝しなさぁい。昨日この悪い子たちが教務室に押し掛けて、先生たちに抗議を訴えたのよ。『ここから出して~』って、かわいそうにおねだりしてたのよぉ。そこでやさしい私たちは、私たちを倒せばここから出してあげるって約束してあげたわぁ」

 おのれ、ドレス女め! 俺たちに更に敵を増やしやがって……!

 俺の心配通りに、ドレス女が余計なことを言ったせいで、約8割の連中が俺たちに怒りに燃えた視線を投げてきやがった。

「あっ、アイツらはDクラスの……昨日Gクラスの先生をぶっ倒したっていう……なにでしゃばってんだよ、ただ目立ちたいだけでしょう?」

「くそ、大きなお世話だ……こんなにいい生活が過ごせるってんのに、もったいねえぜ」

 だが、俺たちの行動に支持してくれてる生徒もいた。

「すごいな! よくあのろくでない先生たちに逆らえるんだな~俺なら絶対無理だぜ、こういうの」

「よかった~これが終わったら、もうあの変な先生たちに付きまとわれずに済むのかな~」

 彼らの熱い声援と優しい笑顔は、苦労した俺たちにとって最高のご褒美だ。

「ったく、グダグダ言ってねーで、さっさと始めろよオラ!」

 昨日足を踏まれた件でまだ俺たちに根を持っている20代ヤンキーは、両手をズボンのポケットに突っ込んで不機嫌そうに乱暴な声を上げた。

 それを見ていた狂科学者が、黙々と白衣からリモコンみたいなものを取り出して、俺たちの向こう側にある壁に向かってボタンを押した。

 するとその壁の一部が、なんと勝手に回転し始め、裏側に隠れている地下への階段が剥き出しになる。

「さあ、入りたまえ」

 狂科学者は冷たい目線で俺たちを見やりながら、身を翻して階段へと進む。俺たちもその後を追って、中へと入った。

 そこで俺たちが目にするのは、想像を遥かに超えたものだった。

友美佳「もーう、また切りのいいところに! 本当にこういう手法が好きなのね、作者さんって」

秀和「ドラマでもよくある手だろう。別に珍しいもんじゃないぜ」

哲也「まあな。こんなご時世だ、こうでもしないと読者さんのみんなも続きを読む気にはなれないんじゃないかな」

友美佳「どうかしらね……本当に人気があるとしたら、とっくにランキングに入ったんじゃないかしら」

秀和「おいやめろ! 何かが切れた音がするぞ!」

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