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反逆正義(リベリオン・ジャスティス)Phase One——Ten days in heaven(or in hell)  作者: 九十九 零
第4章 怒りの反撃編・信念の分岐点
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リボルト#17 束の間の憩い Part5 麗しい彼女とかしましい乙女たち

 そう言えば、時間も結構経ったんだし、千恵子はもう食器洗いを終えたのかな。彼女を見付けて、少し話でもしようか。

 というわけで、俺は再び食堂に向かうことにした。

「おお~、なんという速さ! とても素晴らしい発明ですな~もぐもぐっ」

 ん? これは確かに茉莉愛の声だよな。何やら食べてるみたいだけど……まあ食堂だし、別におかしくはないよな。

「茉莉愛さん、食べる時は喋ってはいけません!」

 千恵子の透き通った声は、すぐに俺の神経を刺激させる。どうやら探す手間は省けたな。

 それにしても、相変わらずマナーに厳しいんだな。まあ、そこは彼女のいいところではあるけどな。

「まあ、確かに便利にはなったけど、何だか今までの努力が否定されたみたいでバカらしく感じてきたわ……」

 続いて聞こえてきたのは、名雪のぼやく声だった。努力が否定されたって、一体どういう意味なんだろう?

「まあまあ、おかげで私たちはこうしてお茶を飲める余裕ができたじゃない。ありがたく使おうよ」

 そんな名雪をなだめるように、妙は穏やかに言った。雰囲気を保とうとするところは、いかにも彼女らしいよな。

「そうですよ。『宝の持ち腐れ』という言葉もありますし、どうぞご遠慮なくお使いください」

 もちろんいつも妙と共に行動する小春もここにいる。まさか彼女はまた何か凄いアイテムでも作ったのか?

 そんな思惑を抱きながら、俺は食堂に足を踏み入れる。


「おっ、やけに賑やかじゃないか。何してるんだ?」

「あら、秀和君。いらっしゃい」

 真っ先に反応してくれたのはやっぱり千恵子だった。うんうん、さすがは俺の彼女、心が通じ合ってるんだな。

「おうおう、未来の旦那さまぁー! また千恵子さんとあ~んなことやこ~んなことをするんですかぁ~?」

 そして茉莉愛は俺を見たとたん、いつものように悪い冗談を言い放つ。あまりにも笑えないため、俺と千恵子はガクリとうなだれて溜め息をつく。

「茉莉愛さん、言っていいことと悪いことがありますよ!」

「えっ? だって、もうみなさん知ってることじゃないですか……」

「そっ、そういう問題じゃありません!」

「……???」

 いくら千恵子が(たしな)めても、鈍感な茉莉愛には理解できなかったようだ。まったく、ある意味凄い才能だな。

「ゴホン! 二人とも、いい加減にしなさいよね!」

「も、申し訳ございません……」

「ごめんなさーい……」

 そんな二人を見かねて、名雪は咳払いで注意した。さて、この気まずい空気を何とかしないとな。


「って、話がかなりズレてたけど、君たちは一体何をしているんだ?」

「よく聞いてくれました、秀和さん。見ての通り、千羽鶴(せんばづる)を作っているんです」

 答えたのは小春だった。彼女の前にある機械が置かれており、それがまるでプリンターのように折り紙を吸い込むと、向こう側から次々と千羽鶴が出来上がっていく。

「すげえ、よく出来ているな。いつも思うんだけど、やっぱ小春って発明の天才だな」

 そんな精巧な機械を見た俺は、思わず感嘆の声を上げた。

「ふふっ、ありがとうございます。ですがこれも、資質(カリスマ)のおかげですよ」

 小春は頬杖を突きながら、嬉しそうに笑っている。

「えっ、じゃあこの機械もその資質で作ったのか?」

「はい、その通りです」

「小春ちゃんの資質はね、二つのものを混ぜられるんだよ~。すごいでしょう?」

「二つのものを混ぜる? それってどういう……」

 妙の説明を聞いても、イマイチピンと来ない。


「まあ、説明するより実際に見せるほうが早いですね。あの、千恵子さん」

「はい、何でしょうか?」

「あそこにあるスプーンとフォークを、持ってきて頂けますか?」

「はい、かしこまりました」

 千恵子は言われた通りに、スプーンとフォークを小春に渡した。

「ありがとうございます。それでは、行きますよ」

 俺たちは息を殺して、小春を見つめる。

 するとどうだろう。なんとスプーンとフォークが光り始めて、あっという間に合体した!

 出来上がった新しい食器の両端には、それぞれスプーンとフォークの先っぽになっている。

「この手品にタネも仕掛けもありません。正真正銘の魔法(マジック)です」

「いや、さっき資質って言ってたじゃん……まあ確かに魔法と似たようなもんだけど」

 小春のとんでもない能力に驚きつつ、俺の脳裏にはもう一つの疑問が浮かび上がる。

「そう言えば、なんで千羽鶴を作ることにしたんだ?」

「縁起を担ごうと思いまして。実は一昨日から作ったのですが、わたくし一人の力ではなかなか間に合いそうにありません」

「なるほど、だからみんなに手伝ってもらったのか」

「はい。最初は茉莉愛さんと名雪さんが協力してくださったのですが、やはり千羽までなかなか難しくて」

「それでちょうど私と小春ちゃんがここを通ったから、千恵子さんの悩みを解決するためにこの自動折り紙機を持ってきたんだ」

 そういうことだったのか。一人じゃできないことは、仲間の力を借りて全て解決。実に素晴らしいことじゃないか。

 しかし、一人だけ難色を示している。


「でもね、やはり折り紙は自分の手で作るものだと私は思うわよ。すべて機械にやらせたら、私たちの努力が無意味って感じがしない?」

 未だに納得しない名雪は、腕を組みながら機械と睨めっこしている。これで俺はようやく、彼女がさっき言ってた言葉の意味を知る。

「もう、名雪さんは相変わらず固いですな~。時間はもっと有意義に使わないとですよ! ほら、おいしいおやつを食べたり~」

 一方能天気な茉莉愛は、おいしそうにアイスを食べている。確かに時間が過ぎるのは意外と早いから、好きなことに使うのは一番だよな。

「あんたは気楽でいいわよね……はあ……」

 そんな茉莉愛を見て、名雪は急に溜め息をつく。

「おっ、なになに? もしかして名雪さん、おうちはしつけが厳しいけど、本当はもっと自由に生きたいとか?」

「何でそんなに嬉しそうに聞くのよ、ムカつくわね」

 茉莉愛の興味津々な聞き方に、真面目な名雪は気に入らないようだ。

「だってこの前魔法少女のアニメを観てた時、すごく夢中になってたじゃないですか! だから名雪さんも、ああなりたいんじゃないかな~って」

「……!!! そ、それは……!」

 自分の知られたくない秘密を暴かれた名雪は、突然目を見開いて慌てふためく。


「えっ、そうなの? 意外だね! ちなみにタイトルは?」

「『魔法少女戦士 ジュエル・クインテット』ですよ~」

「あっ、それ私も観てる! 面白いよね、あれ~」

 自分と同じ趣味を持つことを知り、妙は無邪気な笑顔を見せる。正に類は友を呼ぶってわけか。

「わたくしも少し拝見させて頂きましたが、世界が白黒に染まったにもかかわらず、健気に色を取り戻す主人公達の姿に感動致しました」

 新参者である千恵子も、この前に観たクライマックスの場面を思い出しながら感動に耽っている。

「わあ、何だかとても面白そうですね。今度観てみたいです」

 まだ観たことのない小春は目を輝かせながら、その作品に強い興味を示している。そう言えば、あの時はまだレッド・フォックスがいなかったよな。

「おっ、それなら今すぐでも観れますよ! ブルーレイ全巻持ってますので!」

「本当ですか? では、早速観に行きましょう」

 茉莉愛の言葉を聞いて、小春は嬉しそうにガタッと立ち上がり、ロビーに移動し始めた。

「ほら、名雪さんも一緒に!」

「わ、私は別にいいって!」

「またまた~隠さなくてもいいんですよ! ほら、もっと自分の欲望に素直に生きましょうよ!」

「な、何わけの分からないことを……!」

 こうして名雪は半ば強引に茉莉愛に押され、同じくロビーに向かうことになった。

「あっ、三人とも待ってよ~!」

 置いてけぼりにされまいと、妙も慌てて茉莉愛たちの後を追いかける。

 その時、茉莉愛はこっちを振り向き、何やら意味深なウインクをした。一体何の真似だ……?

 あっという間に茉莉愛たちがここを去り、周りが静かになった。そして俺はやがて、茉莉愛の真意を知ることになる。


「二人っきりに……なったわね」

「うん? あ、ああ、そうだな」

 千恵子の声が耳に届き、俺は慌てて応答する。

 なるほど、そういうことだったのか。茉莉愛の奴、普段は能天気そうに見えるのに、まさかここまで気を使ってくれるとはな……礼を言うぜ。

 しかし、あまりにも急な展開だったので、俺と千恵子は何を話せばいいか分からず、この痛いほどの静けさの中で口をつぐむしかなかった。

「あっ、そうだわ。実は私、さっき野菜と果物のミックスジュースを作ったみたの。よかったら飲む?」

 まるでこの気まずい空気を破ろうとするかのように、千恵子は突然立ち上がり、台所に移動する。

「そうなのか。せっかくだし、一杯もらおうか」

 千恵子が作ったものなら、断る理由がないだろう。嫌いなキュウリが入ってない限りな……まあミックスジュースだし、たとえ入ったとしても簡単には気付かないだろう。

「はい、どうぞ」

 ミックスジュースを持ってきた千恵子は、グラスをゆっくりと俺の前に置いた。俺は何の躊躇いもなく、その紫色の液体を口の中に流し込む。

 野菜のやや渋みのある味と果物の甘味がバランスよく混ざっていて、とても喉越しのいいジュースに仕上がっている。


「どう、おいしいかしら?」

「ああ、うまかったぜ。千恵子が作ってくれたものなら何でもうまい」

「まあ、そう言ってくれて嬉しいわ」

 俺に褒められた千恵子は、両手を合わせると嬉しそうな表情を浮かべる。

「いつもありがとうな、千恵子。たくさんうまい飯を作ってくれて」

「い、いいえ、そんな大したことじゃないわ。でも秀和君に気に入って頂けるよう、これからもお料理の腕を磨かなくてはならないわね」

「その心掛けはいいけど、あまり無茶はするなよ?」

「ええ、分かっているわ。いつも気を使ってくれてありがとう、秀和君」

「それはお互い様だろう? 千恵子だって俺のために色々してくれたじゃないか」

「ふふっ、それもそうよね」

 それにしても不思議だな。こんなたわいないやり取りのはずなのに、意外とつまらない感じがしないぞ。 やはり好きな子と一緒にいると、どんなことをしても楽しいのか。もしかしたら、恋っていうのはそういうものかもしれないな。


「……それにしても、いよいよ明日だよな」

 突然俺は物思いに耽り、窓の外を見る。

「ええ、そうね」

「千恵子はどんな気分だ? 不安なのか、それとも期待しているのか?」

「私かしら? そうね……不安じゃないと言えば嘘になるけれど、こういう時こそ前向きに考えないとね」

 千恵子はまっすぐ俺の目を見つめながら、こう答えた。

 俺を心配させたくないのか、彼女は依然として平気な顔をしている。眩い日差しに照らされていて、その微笑みが一層美しく見える。

「前向きか……確かにそれもそうだよな」

 俺は千恵子の言葉に賛成し、軽く頷いた。

「確か昨日先生達が言っていたわよね、普段なら決して行き着けない場所ですって」

「そうだな、あの写真も何だか外国の町っぽかったし」

 千恵子の言葉を辿り、俺は昨日の出来事を思い出す。

「つまり、外国旅行が出来るというわけね。うふふっ、何だか得したみたい」

 千恵子はクスクスと笑い、俺が予想だにしなかった言葉を口にした。

「……すごいな、まさか千恵子がこんな風に考えるようになったとは」

 そんな彼女に対して、俺は思わず褒める。いつも真面目な彼女のことだから、てっきりあそこのルールやマナー、そして食文化のことを気にするのかと思っていたからだ。


「これもきっと、秀和君のおかげかしらね」

「まあ、確かに俺も千恵子と同じことを考えてたけど、さすがにそれは買いかぶりすぎなんじゃないか?」

「そんなことはないわ。貴方に出会えなかったら、多分最初に会った時みたいに、溜め息をついていたかもしれないわ」

「そ、そうか……」

 そう言えば千恵子は、確かに最初に会った時よりよく笑うようになっている気がするな。でも俺ってそんなすげえ力を持ってるのか? イマイチ実感が湧かないな。

「もっと自信を持っていいのよ、秀和君。貴方にはそれだけの魅力があるから」

「や……やめてくれよ、照れくさいだろう」

 ったく、ここは素直に喜ぶところだろう、何でまた照れてるんだ俺は!

「ふふっ、秀和君のそういうところも可愛いわね」

「おいおい、いい加減俺をからかうのもやめてくれよ」

「ごめんなさい、あまり嬉しかったのでつい。それでは、真面目な話に戻るわね」

 千恵子は笑いを止めて、姿勢を整えると再び俺を真っ直ぐな目で見つめた。


「ねえ、秀和君……これからも、私のことを導いてくれる?」

「そんなの当たり前じゃないか。むしろ俺の方こそ千恵子に導いて欲しいぐらいだ」

「えっ、私が? でも私は別に、秀和君に教えられるようなことは何も……」

 予想外なことに、千恵子は意外そうな目つきで俺を見ている。どうやら俺は自分が他人に影響を与えていることに気付かなかったように、彼女もまた自分の影響力に気付いていないらしい。

「そう自分を見下すな。何故俺が千恵子のことが好きになったのか分かるか?」

「いいえ、何故かしら?」

「千恵子は他人を思いやる優しい心と、悪に屈しない強い心を持っているからさ」

「えっ、私にはそのようなものが……今まで全然気付かなかったわ」

「俺だって、みんなに言われるまで自分は何の取り柄もない奴だと思っていたぜ。人間って案外、自分のことをよく知らないかもな」

「ええ、確かにその通りね。でも、ちょっと意外だったわ」

「意外って、何が?」

「私はてっきり、秀和君が私の顔が綺麗だとか、スタイルがいいとか、そういう理由で私のことが好きになったのかと思ったわ」

「いや、もちろんそれもあるけどさ……けどな千恵子、人はいくら顔がキレイでも、心の中が汚けりゃ、俺はぜってえ好きになれないぜ。例えばあのくそビッ……俺たちを散々振り回したあの憎たらしい女がいい例だ」

 ここまで言うと、あの忌まわしい記憶が蘇り、くそビッチのムカつく顔も目の前に浮かんでしまう。俺は怒りのあまりに、無実な机を強く叩いた。


「もしかして、この前に菜摘さんに酷いことをした、あの恋蛇団の人を言っているのかしら?」

「ああ、そうだ。それに千恵子も被害者なんだぜ」

「私なら別に大丈夫よ。でも、やはり菜摘さんのことが心配だわ」

「どういう意味だ? やっぱりあの時のことが気になるのか?」

「ええ……菜摘さんが貴方のことが好きなのに、私が横取りしたみたいで何だか申し訳ないわ」

 罪悪感を覚えたのか、千恵子は急に顔を下に向けている。

 実は俺もまったく同じ気持ちだけど、この際はハッキリさせないとキリがねえな。

「そんなの気にするなよ、千恵子。恋ってそういうものなんだぜ」

「えっ、そうなの?」

「ああ、そうだ。そもそも恋というのはな、二人はお互いのことが好きじゃなきゃ成立しないんだろう? 千恵子は俺のことが好きで、俺も千恵子のことが好き。何の問題もないじゃないか」

「秀和君は、菜摘さんのことが好きじゃないと?」

「もちろん好きだぜ。ただあれは友達としての好きで、恋人とはまた違う感じかな」

「そうだったのね……では、お二人はお付き合いしたことは……」

「ないぜ。哲也を連れて、三人でゲーセンや遊園地とかに遊びに行くぐらいかな」

「ふう……安心したわ。あの時恋蛇団のリーダーは貴方が浮気していると言った時に、正直心臓が止まりそうだったの」

「本当いい迷惑だよな、あいつ。そうやってスキャンダルをでっちあげて、俺たちの精神にダメージを負わせやがる……もしあいつは人を殺さなかったら、きっとゴシップ誌の編集者とかやってるんだろうな。まあ、どっちもどっちだけど」

「でも、私達はそれぐらいの流言飛語で、決して引き下がったりしないわ」

「ああ、確かにその通りだな。あんな奴らの好きにさせてたまるか」

 同じ気持ちを抱く俺と千恵子は、真摯な目で顔を見合わせる。この時、俺はかつてない熱さを感じている。


「そういえば、菜摘さんはこれからどうすればいいのかしら……良い相手が見つかるといいのだけれど」

 話の本筋を思い出した千恵子は、考え込むように天井を見上げる。本当に仲間思いだな。

「それなら大丈夫だぜ。実は哲也は菜摘のことが好きなんだ」

「えっ、そうなの?」

 初耳の情報を聞いて、千恵子はまたしても驚きの色を見せる。

「ああ、そうだ。ああ見えても、彼は意外と恋愛に興味があるんだぜ。俺にアドバイスを聞いたこともあるぞ」

「全然知らなかったわ……でもあの二人なら、きっと上手くいくと信じているわ」

「そうだな。もし何か困ったことがあれば、俺たちも親友として助けてやらないとな」

「ええ、そうね」

 俺と千恵子はもう一度笑顔で、互いの目を見つめ合う。

 そしてどれぐらい時間が経ったのだろうか、俺と千恵子は時間を忘れるぐらい話し込んでいた。

「って、もうこんな時間か。やっぱり千恵子と話していると話題が尽きないな」

「ふふっ、それだけ私とのお喋りは楽しかったってことよね。とても嬉しいわ」

 千恵子は俺の言葉を好意的に解釈し、笑顔を絶やさないでいる。そんな美しい彼女を見ていると、思わずカメラに収めたくなる……ん?

 そういえば、元々俺はみんなとの思い出の写真を撮るためにここに来たんだ。しかも今は大好きな千恵子と二人っきりだから、あわよくば千恵子の個人写真を撮って、携帯の待ち受け画面に出来る。このチャンスを逃すわけにはいかない!


「あ、あのな千恵子……」

「どうしたの、秀和君? そんなに慌てて……」

 おかしいな、さっき他の人には自然に言えたのに、どうしてこういう時に限ってぎこちなくなるんだ? やはり好きな子と一緒にいると緊張しちまうんだよな。

「ちょっ、ちょっと頼みがあるんだけど……」

「ええ、何かしら?」

「写真……撮ってもいいのか? ほら、いつでも千恵子の笑顔が見られるようにさ……」

 俺はおもむろにスマホを取り出しながら、千恵子に断って許可を求める。

「それぐらいなら、お安い御用よ。もちろんいいわ」

「そうか、ありがとうな千恵子」

 安心した俺は、スマホを構えて千恵子の写真を撮ろうとする。しかし何故か彼女は急に目を逸らして、こっちを見ようとしない。もしかして照れているのか?

「どうしたんだ、千恵子? それじゃいい写真が撮れないぞ」

「ご、ごめんなさい……何故か体が勝手にカメラを拒んでいるみたいなの」

「えっ? それってどういう……あっ!」

 ふと思い出した。確か昨晩千恵子と一緒に寝てた時に、彼女は自分が悪質な客に写真を撮られたことを話していたな。まさかそれでトラウマを……?

「もしかして千恵子が昨日言ってた、あの迷惑な客のことを思い出したのか?」

「ええ……多分そうかもしれないわね。私ったら、秀和君相手にこんな余計なことを考えてしまうなんて……何だか申し訳ないわね」

 そう言うと、さっきまで明るかった千恵子の表情は急に生気を失う。

「べ、別に千恵子は悪くないだろう! なんで謝るんだよ!」

「ふふっ、ありがとう秀和君。優しいのね」

 くそっ、あの野郎のせいで千恵子がこんな風になるなんて……! ここを出たら、絶対あいつをぶん殴ってやる!


「すう……はあ……」

 千恵子は目を閉じながら、深呼吸をしている。どうやら彼女は、自らそのトラウマを克服しようと努力しているようだ。そんな彼女の健気な一面を見ると、俺は思わず感動する。

「ごめんなさい、待たせてしまったわね。もう大丈夫だから。あっ、立ったほうがよかったのかしら?」

 千恵子は自分が被写体になることを思い出して、椅子から立ち上がる。その大人しい佇まいも、彼女が用意できていることを示している。

「あのさ、千恵子……無理しなくていいんだぜ?」

「ううん、気にしないで。もし私の写真が撮れなかったら、きっと秀和君も残念に思うでしょう。さあ、どうぞ」

「千恵子……ああ、分かったぜ」

 千恵子のその気持ちを、無駄にはできない。だったら彼女の苦痛を和らげるためにも、一刻も早く撮影を終わらせないとな。

「パシャ」

 シャッターを切る音が鳴ると、俺はスマホの画面を見て写真の出来映えを確認する。

 うん、なかなかいい感じだな。これも千恵子の姿が美しいおかげだ。よし、早速待ち受け画面にしよっと。


「あの、秀和君」

「うん? どうした千恵子」

「もしよかったら、私も秀和君の写真を撮ってもいいかしら?」

 そう言うと、千恵子も自分の携帯を取り出して俺を撮影しようとする。なるほど、考えることは一緒だな。

「ああ、もちろんいいぜ。でもせっかく撮るなら格好いいポーズを取らないとな。何かリクエストとかある?」

 千恵子に恥ずかしい姿を見せられないと思い、俺は襟を直すとスーパーヒーローっぽいポーズを取った。

「ふふっ、気合いを入れすぎよ、秀和君。普通な感じで大丈夫だから」

「あ、ああ、そうか……悪いな」

 あまりにもはっちゃけたポーズを取った俺は、かえって恥ずかしく思いをした。けど千恵子が笑ったんだし、よしとするか。

 俺は片手を腰に当て、千恵子の携帯のカメラを見つめている。「はい、チーズ」のかけ声と共に、俺の写真がこうして永久に千恵子の携帯に保存された。

「ふふっ、ありがとう秀和君。この写真、大事にするわね」

「ああ、俺も千恵子のこの写真を大事にするぜ」

 俺と千恵子は、自分が撮った写真を互いに見せ合った。

 たとえ離れていても、写真を見れば側にいる気がする。感情っていうのはすごいものだよな。


「そうだ、せっかくだから二人で一緒に撮ろうぜ」

「あら、いいアイデアね。そうしましょうか」

 俺はスマホのタイマー機能を起動させ、さっき使ったグラスでスマホを支えると千恵子と肩を並べた。

 こうして、また1枚の記念写真が生まれた。俺はスマホを手に取り、フィギュアを観賞するかのように画面を何度も見つめる。

 その後俺は千恵子の携帯を使い、さっきと同じように二人で写真を撮った。タイマー機能がない分自撮りするのが難しかったが、かといって誰かを呼んでくるとこのいいムードが台無しになってしまう。やれやれ、人生って楽なことばかりじゃないよな。

「お疲れ様、秀和君。大変だったでしょう」

「いや、どうってことないさ。慣れないことに挑戦すると、そのうち上達するかもしれないだろう?」

「それもそうね。秀和君のそういうポジティブなところ、私は好きよ」

「そ、そうか……ありがとうな」

「ふふっ、どういたしまして」

 俺からすれば大したことでもないのに、千恵子の目には違うふうに映っている。実に面白いことだ。

「そうだ、茉莉愛たちはまだ撮ってなかったな。それじゃ失礼するぜ」

 俺は体を翻し、ロビーに移動しようとする。


「あっ、待って!」

「ん? まだ何か?」

 急に千恵子に呼び止められて、俺は急いで足の動きを止める。

「あ、あの……その……」

 何故か千恵子はもじもじして、言いよどんでいる。

「急にどうしたんだ? 千恵子らしくないぞ」

「えっと……お別れする前に、キス……していかない?」

「えっ?」

 千恵子のあまりにも唐突な要求に、俺は思わず目を見開く。

「やはり……迷惑だったかしら? じゃあ今言ったこと、忘れていいわ……」

 俺の反応を見て、千恵子はガッカリしたように少し俯いた。

 もちろん、俺は大切な恋人にそんな思いをさせたくない。彼女の側に近寄って、優しく抱き締める。

「バカ、迷惑なはずないだろう。そう言えばこの前は二回も邪魔が入ったし、きっと辛かったんだろう」

「秀和君……」

 千恵子の顔をよく見つめると、その頬が赤くなり、両目もウルウルしている。

 ああ、なんて美しいんだ。有名な女優やモデルも顔負けしそうなぐらいだぜ。このままずっと見つめていたいが、また邪魔が入るかもしれないと思うと、俺は躊躇(ちゅうちょ)せず自分の口を近付け、その柔らかい(くちびる)に触れる。


「んん……何だか体が痺れてしまいそうだわ」

「おいおい、大袈裟だな。そんなに俺とキスするのが気持ちよかったのか?」

 俺は格好付けようと余裕ぶっているが、心臓はとっくに爆発しそうだった。

「ふふっ、もしかしたら秀和君の精神粒子が『千里の一本槍』に変化して、私の口に移ったのかもしれないわね」

「ははっ、面白い冗談だな。じゃあ今度は千恵子は『蒼碧の清水漣』で俺の火照った体を冷やしてくれよ」

「ええ、考えておくわね」

 内輪ネタで盛り上がっている俺と千恵子は、我を忘れて大笑いする。周りに他の人もいなかったこともあり、更に拍車(はくしゃ)をかけている。

「おっといけねえ、肝心な用事を忘れるところだった」

「そういえば、こっちも千羽鶴が出来上がったわね。後は束ねる作業をするだけね」

「悪いな、役に立てなくて」

「ううん、気にしなくていいのよ。秀和君は、自分のやりたいことをやればいいわ」

「ありがとうな、千恵子。それじゃ、行ってくるぜ!」

「はい、行ってらっしゃいませ、秀和君」

 千恵子は暖かい目で、俺を見送ってくれる。


 やれやれ、何かに夢中になるのは、ある意味恐ろしいことだな。一番分かりやすい例で言えば、部屋の片付けをする時に昔のアルバムを見つけると、アルバム観賞に没頭して片付けを忘れることだ。

 これをやってしまうと、大体の人は時間の短さを嘆き、時間をもっと増やせなんて無理な要求をする。まあ俺もその一員だけどな。

 幸い食堂からロビーまではそんなに遠くないので、俺は早くあそこに着くことができた。

 扉を開けると、アニメ観賞に夢中になる茉莉愛たちは俺の存在にまったく気付かず、その内容に気を取られて大声を出している。

「いっけー、ミラクルガーネット! その熱いパンチで悪いやつらをぶっ飛ばすのですよ!」

「頑張って、ミラクルサファイア! 得意技のサファイアウェーブで汚れを清めちゃって!」

 すでに作品を知り尽くしている茉莉愛と妙は、拳を握り締めながら、瞬きもせずに画面を凝視している。何度も観たはずの作品にもかかわらず、その反応はまるで初めて観ているようだった。面白い作品というのは、何度も楽しめる価値があるんだよな。


「ねえねえ、どうですか小春さん? このアニメ、結構面白いでしょう?」

「ええ、女の子たちが彩る世界を守るために奮い立っている姿は、とっても青春を感じますね。すっかり気に入りましたよ」

 にっこりと笑っている小春は茉莉愛の質問に答えているが、視線はテレビから一瞬たりとも逸らさなかった。すげえ魅力だな、おい。

「そうだ、小春ちゃんは誰推しなのかな? 気になるな~」

「そうですね……まだ観たばかりなので何とも言えませんが、あの紫色の髪の子がいいかもしれませんね」

「あっ、もしかして村埼(むらさき)(ゆかり)さんのことですか? なかなか見る目ありますな~あの人は知的で大人っぽくて、何度も人気投票で1位の座を取ったのですよ!」

 茉莉愛は素早く小春の言葉を分析し、必要な情報を引き出した。その作品のファンでもない限り、このような早業ができるわけがないだろう。

「何だか、雰囲気は千恵子さんみたいです」

「そうそう、よく気付きましたな! 髪型もサラサラなストレートロングですし、見た目も似たようなクールビューティー! ワタシもかなりのお気に入りですよ~」

 千恵子という言葉に反応し、俺は無意識にテレビを見やる。ちょうどその時に、話題の紫が画面に映っている。


年貢(ねんぐ)の納め時よ、悪者どもめ」

 彼女が手のひらを開くと、そこからダークパープル色の球体が発生し、白黒の敵に向かって飛んでいく。その攻撃をマトモに喰らった敵は、全身の色が虹色に染まっていき、虹の橋に変化して天に昇っていく。

 次の瞬間、画面に映っているのは彼女の顔アップだ。その凛々しい表情は、戦っている時の千恵子にそっくりだ。俺は一時、二人の顔が重なって見えてしまう。

「でも意外だね、てっきり小春ちゃんは琥珀ちゃんの方が好きかな~って」

「小春だけに、ですか? ふふっ、妙さんは相変わらず面白いことを言いますね」

「あははは! これは一本取られましたな! だ、ダメだ、腹筋が崩壊しそう……」

 こうして三人の楽しい会話はまだまだ続き、未だに終わりそうにない。

 そういえば、名雪も一緒にいるはずなんだけど、さっきから全然喋ってないな。もしかして退屈すぎて寝てるのか?

 俺は名雪の近くに移動すると、とんでもない光景を目にしてしまった。


「なるほど、ここの口上はこうなのね……人差し指と中指の間は、きっちり30度……」

 って、なんかメモってる! もしかしてキャラクターの動きを真似する気か!? 彼女は今まで何度も興味なさそうな素振りを見せてきたけど、とても興味がないようには見えないぞ?

「おやおや~? 名雪さん、何をメモってるんですかぁ~?」

 突然、茉莉愛は名雪の隣に近付き、からかうような口調で質問をする。どうやら茉莉愛も気付いたようだな。

「べっ、別に関係ないでしょう!」

 もちろん名雪は自分の秘密を他人に見せたくないので、慌ててノートを閉じた。

「もう~、隠さなくてもいいじゃないですか! ワタシと名雪さんの仲ですから~」

「ちょっ、馴れ馴れしいわね! あんたとそこまで仲良くなった覚えはないわよ! って、推さないでよ……うわあああ!」

 体勢が崩れてソファの上に倒れた名雪は、必死に足を上げて茉莉愛の顔を踏みつけ、その接近を阻止しようとする。

 しかし、その体勢には一つ大きな弱点がある。


「おお、パンツ見えてますよ、名雪さん! それにしてもずいぶんと大胆な色ですな~」

「きゃあ!?」

 乙女の秘密の花園が(あら)わになり、名雪は慌てて足を下ろし、両手でスカートを押さえる。

 やれやれ、そろそろこの茶番を終わらせようか。


「何やってんだよ、君たちは」

「おお!? く、組長!?」

「秀和!? いつからそこに!?」

 ようやく俺の存在に気付いた茉莉愛と名雪は、驚きを隠せなかった。

「そうだな……全員揃ったジュエル・クインテットが、敵と戦っている場面からだな」

「あっ、その前に4話観てたから、今は第5話で……ええっ、もうこんな時間!?」

 壁にある飾り時計を目にした妙は、あまりにも早い時間の流れに仰天する。

「あらまあ……楽しい時間は、あっという間なんですよね」

 妙に釣られて同じく視線を時計に移した小春も、片手を頬に当てながら感嘆の声を上げた。

「んじゃあ、この楽しい時間を刻むためにも、一緒に記念写真を撮らないか?」

 俺はスマホを取り出すと、茉莉愛たちを撮影に誘う。

「写真ですか? いいですよ。それでは妙さん、いつものアレやりませんか?」

「いつものアレ? 使う場面はちょっと違うと思うけど……」

「何も泣き面を見せることはありません。笑顔で大丈夫ですよ」

「そっか、それなら別にいいけどね」

 イマイチ納得できなかったようだが、妙は首を縦に振って同意した。


「じゃあそこの二人、君たちの意見を聞かせてもらえるかな?」

 俺は顔を茉莉愛と名雪に向けて、彼女たちに尋ねた。

「OK、いつでもいいですことよ~!」

「へ、変なことに使うんじゃないでしょうね? 色々合成してネットにアップロードしたりするとか……」

 快く了承してくれる茉莉愛に対し、名雪は疑心暗鬼になりジト目で俺を見ている。

「そんなことしねえって。直己と一緒にするなよ」

「まあ、それもそうね。今回は信じてあげる。もし変なことに使ったら……分かってるわよね?」

 名雪はわざとトーンを落とし、俺を威嚇しようとする。土具魔ほどじゃないけど、それなりに効いたのもまた事実だ。

「わっ、分かってるって。ほら、もうちょっと嬉しそうな顔をしようぜ。一応写真撮ってるからさ」

 俺は何とか名雪をなだめて、撮影を始めた。みんないい笑顔をしているおかげで、なかなかいい写真が出来上がった。中でも妙と小春の持ちネタである「万策尽きたか」が一番お気に入りだ。二人で手を取り合っているポーズは、とても微笑ましい。


「よし、いい感じだな。みんなありがとうな」

「いいえ、どういたしまして。秀和さんの記憶にいい思い出を残せたら、ワタシとしても光栄ですよ」

「うんうん、また誘ってね~」

 小春と妙も、満足そうに明るい表情を浮かべている。

「うーん、やっぱ普段着だとあまりインパクトがないな~今度はコスプレでもしてみよっか!」

 俺の撮った写真を見て残念がる茉莉愛は、新たな決意を胸に抱く。

「ぜったーいに、変なことに使っちゃ駄目だからね? 絶対にね?」

「へいへい、分かってるって」

 心配性な名雪は、何度も念を押してくる。本当に参ったぜ。

「それじゃ、俺はこれで失礼するぜ。君たちを邪魔するのもよくないからな」

「バイバーイ、またね~」

 まだ写真を撮ってないメンバーは大勢いる。時間を節約するため、俺は適当な理由を付けて茉莉愛たちと別れることにした。


 さて、寮内は一通り回ったことだし、そろそろ外に出ようかな。

 爽やかな空気に誘われ、俺は日差しに照らされたオレンジ色の道に歩み始める。

名雪「そう言えば、さっきからずっと気になってるんだけど……」

茉莉愛「うん? なんですかな?」

名雪「あんたもノートを持ってるじゃない。ちょっと中身を見せなさいよ」

茉莉愛「ええ~? そ、それはちょっと……」

名雪「さっきあんたが私のを読もうとしたでしょう! 私だってあんたの読んでもいいじゃない! ケチ!」

茉莉愛「いやいやいや、これだけは……アッ!」

(茉莉愛のノートが飛んで、秀和の手に止まる)


秀和「うん? 何だこれは……『人気のない校舎裏で、赤い髪の少年が青い髪の少女に壁ドンをした。少女は成す術もなく、ただなされるがままにその豊満な胸を揉まれ、とろけた表情を浮かべながら桃色の吐息を漏らし続ける』……なんじゃこりゃ!?」

妙「あのノートに書かれた人物って、もしかして秀和くんと千恵子さんのことかな?」

小春「まあ、お熱い仲ですね、お二人とも」

名雪「ちょっとあんた、調子に乗りすぎよ! まさかこんな破廉恥なことをするなんて……!」

秀和「してねえよ! 大体、髪の色だけで俺と千恵子だと決め付けるなよ! おい茉莉愛、これはどういうことか説明しろ!」


茉莉愛「ああ、あれはワタシが書いた妄想小説ですよ~。こうもお二人の仲がいいと、薄い本も厚くなりますな~」

名雪「薄い本? 何の話?」

妙「あはは、名雪さんは知らないほうがいいと思うよ~」

秀和「だからって俺と千恵子を主役にするのを止めてくれよ……千恵子にバレたら、お前絶対ひでえ目に遭うぞ」

茉莉愛「大丈夫ですよ~! 千恵子さんに話さなければ、バレたりしないって!」


千恵子「何がバレたりしないのですか?」

茉莉愛「うわあっ! ちちちち千恵子さん!? なんでここに?」

千恵子「千羽鶴が出来ましたので、皆さんに見せようと思いまして。いかがでしょうか?」

秀和「あ、ああ……いいんじゃないかな?」

茉莉愛「う、うん! さすがは千恵子さんですな~」

千恵子「どうかなさいましたか、お二人とも? そんなに慌てて……」

名雪「茉莉愛はね、あんたのはずか……んんんん!」

千恵子「はずか……何ですか?」

茉莉愛「な、何でもないですことよ、オホホホホー! さあさあ、早くジュエル・クインテットの続きを観ましょうよ~」

名雪「んんんんん~!!!」


秀和(ううう……穴があったら入りてえ……)

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