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反逆正義(リベリオン・ジャスティス)Phase One——Ten days in heaven(or in hell)  作者: 九十九 零
第4章 怒りの反撃編・信念の分岐点
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リボルト#17 束の間の憩い Part4 頼もしい相棒

 当てもなく廊下を歩き回ると、俺は「二零五」と書かれている扉を目の当たりにする。

 確かにここは、哲也の部屋だ。最近色々あったせいで、あいつとあんまり話してなかったよな。まさか一人で部屋の中で拗ねたりしてないよな? いや、彼に限ってそんなことをするはずがないだろう。

 まあ、冗談はこれぐらいにして、少し邪魔するとしようかな。と、その前に……


「悪いユーシア、ここからは二人っきりで話したいから、一旦機械の中に戻ってくれないかな?」

「はい、分かりました!」

 幸いユーシアは聞き分けがよく、素直に俺の言う通りに動いてくれた。もし相手が涼華みたいな奴だったら、きっとまたからかわれるんだろうな……

 俺はスクリーンに映っているユーシアの姿を捉えると、哲也の部屋の扉を軽くノックした。

「哲也、いるか?」

「その声は……秀和なのかい?」

 扉の向こうから、微かに哲也の声が聞こえる。どうやら部屋にいるようだな。

「ああ、俺だ。ちょっと話がしたくてな。時間は大丈夫か?」

「ああ、構わないさ。今行くから、少し待ってくれ」

 するとあっという間に扉は開かれ、そこに哲也が姿を現した。


「よう、お邪魔するぜ」

「わざわざ僕を訪ねてくるなんて、今日はどういう風の吹き回しだい?」

「おいおい、俺とお前の仲だろう。最近あまり話せてないから、時間があるうちに少しお話ししようと思ってさ」

「ああ、なるほどね。確かにその方がいいかもしれないな。立ち話もなんだし、中に入ろうか」

「それじゃ、お言葉に甘えさせてもらうぜ」

 俺は哲也に付いていくと、まるで自室にいるかのようにベッドに座り込む。

「何か飲むか?」

 哲也はケースの近くでしゃがみ込んでそれを開けると、俺に尋ねた。

 そういえば、さっきたくさんお喋りをして何も飲んでなかったな。そのせいで喉がもうカラカラだぜ。よく分かってくれてるじゃないか、哲也。

「そうだな、ジンジャーエールで頼むぜ」

「あいにく、僕は炭酸飲料を飲まないのでね。お茶しか入れていないんだ。確か君は、ウーロン茶も飲めるはずだよね?」

「ああ、それで大丈夫。それにしても、俺の好みをよく分かってるよな」

「君もさっき言ったじゃないか。『俺とお前の仲だ』ってさ」

「はは、確かにそうだったな」

 哲也の温かい言葉に、俺は思わずくすっと笑みを(こぼ)す。

「はい、これ」

 哲也が渡してきたペットボトルを、俺は手に取った。そして俺は何の躊躇(ためら)いもなく、(ふた)を開けてがぶりと中身を飲み込む。ふうー、喉が潤った瞬間の気分は実にいいぜ。

 哲也も隣の椅子に座ると、緑茶を一口啜った。彼は俺を見つめて、話を切り出す。


「それで、話って何だい?」

「いや、それなんだけどさ……哲也と話をしようとは思ってるんだけど、具体的に何を話せばいいかまでは考えてなかったな」

 哲也に聞かれて、俺は初めて自分の計画の浅はかさに気付いてしまった。まあ、なるようになるさ。

「相変わらずマイペースだね……実に君らしい行動だ」

 哲也は納得したかのように、軽く笑い飛ばした。

「それって褒めてるのか?」

「もちろん褒めているさ。考えるより先に動くのって、僕にはなかなかできないことだからな。でも場合によって君はちゃんと考えてから動く時もあるから、一概には言えないけどね」

 哲也は的確な分析を述べ、いつものようにメガネを押し上げる。

「そ、そうなのか……それは、ありがとうな」

 また褒められて恐縮しているのか、俺はぎこちなく返事をした。もっと胸を張ってもいいんだよな、俺?


「何を話せばいいか分からないなら、昔話でもしようじゃないか。何しろ一年間も会わなかったからね」

「ああ、それも悪くないよな」

 俺はコクリと頷いて、哲也の提案を受け入れる。

「はっきり言わせてもらうが、正直最初に君に会った時は本当は変な奴だと思っていたよ。毎回小テストの問題を自分の書きたい通りに解答しているし、本番のテストでもギリギリで合格点を取っていたじゃないか」

 哲也の口から、とんでもないカミングアウトが飛び出てくる。それを聞いた俺は、思わず目を見開く。

 そう言えば、昔はよくテストのことで哲也と言い争ってたな。優等生である哲也は毎回1位を取っていたにもかかわらず、いつも機嫌が悪そうな顔していた。 一方俺は最下位までとは言わないが、あまりいい成績を取っていなかった。答えが分かる問題でも、俺はあえて自分の考えを通そうと別の解答を書いたこともよくあった。もちろんほとんど不正解扱いされ、点数を獲得することもなかった。


 けどあんな数字など、俺にとってどうでもよかったんだ。

 みんなが同じ教育を受けて、同じ「模範解答」しか考えられないようじゃ、あんなのまるで工場で作られたロボットと何の変わりはない。

 そんな大人の都合(くだらないもの)で自分を見失わないためにも、俺は俺のままでいなければならない。

 あの時の哲也は、俺が悪い点数を取っているのに何食わぬ顔をしてたのが気に食わなかったようで、いちいち突っかかってくる。まあ、席が近かったせいでもあるけど。

 俺も最初は哲也のことを頭が堅い奴だと思っていたが、何度も思想のぶつけ合いを繰り返したおかげで、俺たちもだんだんお互いのことを受け入れられるようになった。

 それにしても、何故哲也は急にこのことを話すんだ? あいつのことだ、きっと何か深い意味があるだろう。


「おいおい、(やぶ)から棒だな。また俺を槍玉(やりだま)()げるつもりか?」

「違う、そうじゃない。僕はただ、もし君に出会っていなければ、僕はきっと何の進歩もなく、あの頭の堅い哲也のままでいるだろう」

「というと?」

「君には感謝しているのさ、秀和。僕に新たな可能性を示してくれて」

 やれやれ、千恵子と同じこと言ってるな。俺は気付かないうちに、こんなにたくさんの人を変えてたのか? 自分のことは自分が一番分かるはずだが、案外そうでもなかったようだな。

「俺は別に何もしてないぜ? 哲也は自分の意志で変われたんだと思う」

「それも君の導きあってのことだ、秀和。もう少し、自分に自信を持つといい」

 あまりの恐縮に俺は思わず謙遜(けんそん)するが、哲也は俺を褒め続けている。

 このまま一方的に褒められても、哲也にはフェアじゃない気がする。俺も何か返さないとな。

「ああ、ありがとうな。けど俺も哲也に知り合ってから、落ち着いて物事を考えられるようになったんだ。じゃないと俺は何の成長もなく、ただ不良のままで終わっていたのかもしれない」


 以前土具魔が話していた通り、俺は中二の学園祭の時に大掛かりな出し物をやろうとしたが、誰にも認めてくれない上に、あれから哲也以外のクラスメイトたちに無視される羽目になった。

 怒りの()け口が見つからない俺は非行に走りその快感に浸っていたが、ある日哲也と共に菜摘をイジメっ子から助け出したのが足を洗うきっかけになった。

「そう言えば、あの時は色々あったな。一時君は人の道を踏み外すんじゃないかって心配していたが、こうして君は立派な人間になっていて、僕も誇らしく思うよ」

「俺のことを見捨てなくて、本当に助かるぜ。いくら感謝しても感謝しきれない」

「今更何を言うんだい、秀和。僕達は親友じゃないか」

「ああ、そうだな。それにしても……ったく、なんて言えばいいか分からなくなっちまった」

「何だい? 気にしないで言ってみてくれ」

 哲也は真摯な目で、言い(よど)む俺を励ます。俺は悩みをぶっ飛ばすようにウーロン茶をもう一口飲み込み、話を続けた。


「よく考えてみると、俺がここでやってたことが本当に正しいのかなって……あの時は勢いで色々格好いいこと言ってたけど、本当はみんなが、俺が余計なことをしてるんじゃないかって」

「どうしたんだい急に? 弱音を吐くなんて、君らしくないじゃないか」

「俺だって分からねえぜ……ただ心のどこかで、俺を責めてる声が聞こえるような……」

「はあ……君はいつもこうだ。もしかして君はまだ、神威隊(かむいたい)の言ってることが気になるのかい?」

「……!!! 言われるまで全然気付かなかったぜ……」

「いや、待ってくれ。その前にも、君は似たようなことを言っていた気がするね。どうしてそんな罪悪感を抱くようになったんだ? 僕からすれば、そんなことをする必要は全くないと思うが」

 重くなっていく空気の中で、哲也は腕を組んで真剣に質問する。

 確かに、どうしてだろう。人に褒められたら、素直に喜ぶのが普通だが……こうなる可能性は、多分これしかないだろう。


「俺は自分が悪い人間だと思っているから、じゃないのかな? だからみんなに優しいとか言われると、自分には相応しくないって、つい頭がこう考えずにいられないんだよ……」

「なるほどね。君は褒められる度に、自然的にあの時の悪い自分を思い浮かぶ。つまりそういうことだ」

「どういうことだ?」

「君は恐れているんだ。もし自分の悪い一面がみんなに見られたら、また嫌われるんじゃないかって。だからこれ以上みんなに過度な期待をさせないためにも、あえて相手の評価を否定する。違うかな?」

「い、言われてみれば、確かにそうかもな」

 哲也の凄まじい分析を聞いた俺は、思わず頷く。

「でも秀和、それはもう過ぎたことなんだ。君は今、心強い仲間がたくさん付いているじゃないか。この前にみんなの前であのデカい怪物を呼び出しても、誰も君のことを恐れていないだろう?」

「デカい怪物って……あの山羊のような、赤い炎の奴のことか?」

「ああ、それだ。君はあの時少し戸惑っていたように見えるが、きっと『またみんなに嫌われたらどうしよう』って思っていただろう?」

「まあ、思ってないって言ったら嘘になるよな」

「でも実際に、誰も君のことを嫌ったりしない。だから何の心配も要らないってことさ」

「そっか、それを聞いて安心したぜ……って、なんか話がすごくズレた気がするな」

 最初はただの雑談だと思っていたが、気が付けば話の本筋が忘れそうになるぐらい話し込んでいた。


「大丈夫さ。話がズレたら、元に戻せばいい。確かに君が聞きたいのは、君がここに来てからやっていたことは正しいかどうか、だったかな?」

「ああ、それそれ。哲也がさっき神威隊を言ったから思い出したけど、本当ならここで何事もなく気楽に過ごせるのに、俺が余計なことをしたせいでみんなを危険な目に巻き込んでしまった。もし万が一仲間たちに何かあったら、俺は恨まれたりするのか? はっきり言って、このリーダーの責任は俺には重すぎたのかもしれない」

「なるほど、君は相当プレッシャーを抱えているようだね。全然気付かなかったよ」

 普段俺の余裕そうな振る舞いがそういうイメージを与えたのか、哲也は意外そうな目付きで俺を凝視している。

 どうやらいくら親友とはいえ、何もかも分かるわけじゃないよな。話してみてよかった。

「こう見えても、俺は色々心配してるんだぜ。何しろ俺はリーダーだからな」

「そうなんだね。でも僕が見た限り、味方の中では君の行動に異議を唱える人は誰一人いないじゃないか」

「そ、それはそうだけど……」

 哲也の言ってることはごもっともだが、心の中にはやはり少し不安が残る。もしかしたら、あの時の雰囲気に流されて反論できなかった人もいるのかもしれない。


「確かに理論的に言えば、君の行動は極めて非常識だ。先生達に反抗的な行為を繰り返し、彼らが出してきた困難な条件を飲み、その上に先生以外の強敵と何度も戦い続ける……正直、命がいくつあっても足りないぐらいさ」

「や、やっぱりそう思ってるのか……」

 哲也の正論に、俺は何も言い返せない。穴があったら入りたい気分って、まさにこのことだよな。

 しかし、哲也の話はまだ終わっていないようだ。

「まあ、そう気を落とさないでくれ。もし僕は昔のままだったら、きっと真っ先に君の意見に反対していただろう。でも僕はそうしなかった。何故か分かるかい?」

「よく分からないけど……友達だから?」

「まあ、間違ってはいないね。でも正確に言うと、君という人間をある程度把握しているからさ。どうせ僕が止めても、君は止めるつもりはないだろう?」

「た、確かに……」

「それにみんながここから出たいのは、きっと何か成し遂げたいことや叶えたい夢があるからだろう。それもここにいることより、よほど大切なものに違いないさ」

 そう言えば、さっき俺が出会ったトリニティノートや宵夜たちは、みんな何かしら未来への憧れを持っている。そんな人はこんなところで、自らダメ人間になろうとは思えない。

「だったら、俺はこれからどうすればいいんだ?」

 まだ先のことが見えず、僅かな不安が俺の胸に残る。


「そんなの簡単じゃないか。君はいつも通りで、僕達を導いてくれればいい」

「たったそれだけでいいのか?」

「しかし、簡単そうに聞こえるけど、実際にそれをうまくやるのはとても大変だぞ? きっとこれからは、僕達の前で大きな壁が立ち塞がるに違いないだろう」

「そ、そうだな……」

「でも僕は君を信じている。僕達をこの窮地から救い出せるのは、君しかいないんだ。これからもよろしくな、秀和」

 そう言うと、哲也はそっと自分の手を俺の肩に置いた。

 ふんっ、やっぱ俺はいい友を持っているな。心が暖かくなりそうだぜ。

「ありがとう、哲也。おかげで少し気が楽になったぜ」

「気にすることはないさ。親友だから、これぐらいは当然じゃないか」

 哲也は友好の証として、軽く笑顔を浮かべている。 この楽しい一時は、まるでうまいご飯を食べたのような気分だった。イヤなことは全部忘れてしまいそうだ。


「それにしても、俺の話だけをしてもつまらないよな。そろそろ哲也の話でもするか」

「僕のことかい? 別に構わないが……」

「哲也はそろそろ、菜摘に告白でもしたらどうだ?」

「……!!! ゴホゴホ!」

 俺が適当に口にした質問に、何故か哲也は急に目を見開き、危うく飲んでいるお茶を吹きそうになる。

「な、何なんだいきなり! 何故ここで菜摘の名前が出てくるんだ!」

「いや、だって哲也は前から菜摘のことが気になるのに、全然何もしてないじゃん。それでちょっと気になってさ……っていうか、なんでそんなに慌ててるんだ? 君らしくないぞ」

「そ、それはだな……菜摘はずっと君を追っかけているじゃないか。いくら僕は告白したところで、何の意味もないだろう?」

「でも俺にはもう千恵子がいるんだぜ? 哲也にはいいチャンスじゃないか。寂しがってる菜摘の心を癒すためにも……」

「い、今の僕には時期尚早(じきしょうそう)だ! まずはちゃんとした仕事を見付けて、給料を稼いでおかないと、彼女を幸せにできない!」

 頬を赤めている哲也は、目を閉じながらそう答えた。やれやれ、相変わらず恋愛に疎いな。

「そんなこと言っていいのか? そのままだと、菜摘は君の気持ちも気付かずに、他の誰かと付き合うかもしれないんだぜ?」

「ぐっ……!! そ、それだけは避けたい……」

 先ほどの会話の流れが逆転し、今度は哲也が動揺している。本当に何が起きるかは分からないもんだな。


「確かにお金も大事だけど、菜摘ならお金より側にいてやることがもっと大事だと思うけどな。それに恋愛と仕事も両立できるしさ」

「うーん……そういうものなのかい?」

「さあ? よく分からないけど、多分そういう感じじゃないのか? いちいち悩んでもしょうがないし」

「……そうだね。でも君のようにそう簡単に割り切れるのも、ある意味羨ましい限りだよ」

「人生は悩みだらけだからな。これぐらいはできないと、後は辛いだけだぜ?」

「ははっ、それもそうだね」

 俺の意見に賛成しているのか、哲也は爽やかな声で笑っている。

「で、手助けが必要だったらいつでも言ってくれよ? 力になるからさ」

「そうかい。その時は遠慮なく頼らせてもらうよ」

「ああ、そうしてくれ。大事な親友たちが結ばれるほど、喜ばしいことはないからな」

 哲也と菜摘の結婚式か……想像するだけでワクワクするぜ。一体どんな風になってるのか楽しみだぜ。


 ふと携帯の画面を見ると、なんと約1時間が過ぎていた。時間を忘れるぐらい話し込んでたのか……なんて恐ろしい早さだ。

「おっといけねえ、もうこんな時間だったのか」

「どうしたんだい秀和? 何か用事でもあるのかい?」

「まあな。今日はせっかくの休みだし、みんなと思い出の写真を撮ろうと思ってさ。そうだ、哲也も1枚どうだ?」

「僕とかい? 別に構わないけど」

 そう言うと哲也は椅子から立ち上がり、俺の隣に立つ。

 そして俺は慣れた手付きでスマホを操作し、タイマーを設定して写真を撮った。

「うん、格好よく決まったぜ。俺たちは、まるでホームズとワトソンみたいだな」

「正に的を射た結論だね。僕もそう思うよ」

 哲也は頷いて、俺の意見に賛成する。


「それじゃ、俺はそろそろ行くぜ。悪いな、わざわざ時間を割いてくれて」

「気にすることないさ。むしろ久しぶりに君と話せて、とても有意義な時間を過ごせたんだ」

「そうか、それならよかった。また時間があったら一緒にお喋りしようぜ」

「ああ、約束するよ。ところで秀和」

「ん? 何だ?」

「ウーロン茶、一本持っていくかい? また喉が乾いたら大変だと思うぞ」

 哲也が投げてきたペットボトルを、俺はすかさずキャッチする。

「そうだったな! 気が利くじゃないか、哲也」

「親友だから、これぐらいは当然さ。それじゃ、残された僅かな時間を楽しめるよう祈っているよ、秀和」

「ああ、サンキュー。君もな、哲也!」

 こうして俺は哲也に別れの挨拶を述べると、またしても次の場所を探し始めた。

秀和「そうだ、菜摘はスイーツが好きだから、ケーキバイキングとかに誘ってみるのはいいと思うぜ」

哲也「スイーツか……あいにく僕は、甘いのがあまり好きじゃないんだ」

秀和「じゃあアイスクリームはどうだ? それなら哲也も食べられるだろう?」

哲也「まあ、それも一つの手かな。それにデートスポットはどこがいいかい?」

秀和「そうだな……やっぱりテーマパークなんじゃないか? おとぎ話とかは好きみたいだし」

哲也「ふむ、なるほど……」

秀和「行くならやっぱスペース・アトリエ・ジャパンがいいな。あそこなら色んな作品を取り入れてるし」

哲也「そうなんだ。君がそこまで言うのなら、言ってみる価値がありそうだな」

秀和「そして夜の打ち上げ花火を見ている時に、さりげなーく婚約指輪を出して、プロポーズするのが一番だぜ!」

哲也「なるほど、その手が……って婚約指輪!? まだ気が早すぎじゃないのかい?」

秀和「おいおい、分かってないな哲也。ああいう雰囲気の中でプロポーズするのが、よりいい効果が出るんだよ! 高いチケット代を無駄にしたくないだろう?」

哲也「いや、そういう問題じゃないと思うが……」

秀和「細かいことはいいんだよ! そうだ、確かにあそこには評判のパンケーキ屋が……」

哲也「やれやれ、やはり君には敵わないな、秀和。ある意味、いつもの君らしくて安心したよ」

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