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透明
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「あいつら、あれをどうするつもりなんだろう?」
「やっぱり研究するんじゃねぇの。あいつらは探究心でできている様なもんだろ」
溜息が聞こえる。なんと威厳のある溜息だろう。意味のある単語を発したわけではない。しかし溜息を聞くと声たちは話すのをやめ、溜息がした方を見る。
「知ろうとする者を邪魔してはいけない。たとえ知ることが不幸になるとしてもだ。我々もまた知らない者の側なのだから。」
決して大きな声ではない。むしろ小さい方に分類される。しかし、草を、木を、森を、ビルの窓ガラスを震わせるような声だった。
「さぁ、戻ろう。我々はただ、・・・」