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追及の手


その日はアリアも疲れていたので夕食はアリア抜きで食事をしました。

幸い病でふせっていることになっていると侍女から聞かされていたので、アリアには嬉しい知らせでした。

その夜、アリアの部屋に母ファリアが訪ねてきました。

「アリア、一体どういうことなの。」

「・・・お母様・・・。」

「説明しなさい。あなた・・想い人がいるのね?」

!?ち、違います!!お母様!いや、違わないけど!それはフリで!!

そう言えるはずもなく、アリアは仕方なしにこくんとうなずいたのでした。

しかし何も事情を知らないファリアには自分の娘がただ単に照れているようにしか見えないのでした。

「そうならそうとおっしゃいなさい。バレンシア様に申し訳ないことをしたわね。でもアリアが選んだ人だものね。一度会っておきたいわ。どこにお住まいの方なのかしら?お名前は?」

一気に質問されてアリアは困ってしまいました。というのもアリアは名前以外彼のことをまったく知らないからです。

「お、お母様!!彼のことについてはまた今度お話いたしますわ。今日はもう遅いですし、お休みになられないと・・・。」

「まぁそれもそうね。今度話を聞くことにするわ。」

こうしてファリアからの追究には逃れることができましたが、それも時間の問題だとアリアには分かっていたのでした。


次の日の朝、朝食にアリアは向かいました。

そこにはアレックス、ファリア、そしてバレンシア様もおりました。

「おお、アリア。おはよう。もう体は大丈夫なのかね?」

あの夜、脱走したアリアはビセの家へ行ったことになっていました。その事情を妻や有能な執事から聞いていたアレックスはそれを顔に出さず、さも今の今まで娘が病で伏せっていたかのようにアリアに聞きました。

「おはようございます。お父様。えぇ、心配ありませんわ。体の方は随分とよくなりました。」

アリアはにっこりとして言いました。

「アリア、こちらがバレンシア様だ。バレンシア様、娘のアリアです。」

アリアはドレスを少しつまんでかがみました。

「お初にお目にかかります、バレンシア様。アリア・ベルゼンです。」

「いや、これはかわいらしいお嬢さんだ。私はエルダー・バレンシア、どうぞエルーとお呼びください。」

そうしてアリアは表面上歓迎しているかのようにふるまい、また病で伏せっていたことを詫びました。


その後、朝食はなんなく終わり、昼下がりのティータイムのころ。

お付きの侍女からバレンシア様がティータイムに御誘いしているとの知らせを受け、ごまかす理由がなかったアリアは仕方なしに客室へと向かいました。

「アリア嬢、よくいらしてくださった。」

「バレンシア様の御誘いでしたらいつでも伺いますわ。」

にっこりと世辞を言うアリア。

「私のことはエルーですよ、アリア嬢。」

呼ぶつもりなどないがゴリ押しされてはアリアも困ってしまいました。

そして、いつの間にかお茶の準備がされていて、使用人がみないないことに気付いたのです。

「あなたとずっとお話したいと思っていたのですよ。機会ができて嬉しい限りです。」

「あ、あの・・」

目で使用人がいなくなったことを訴えました。

「あぁ、ちょっと下がってもらいました。聞かれたくないことをお話しようと思ったので。」

そう言って、胸のポケットから一枚の紙を取り出し。

「あなたが、聞かれてはまずいだろうと思いましてね。」

それは紛れもない仮面をつけたビセの写真が貼ってあり。

硬直するアリアを楽しげにエルダーが見つめて。

「彼とはどういったご関係かな?アリア嬢。」

wantedの文字が何かの間違いだろうとアリアは祈るように思ったのでした。


年の瀬ですね

来年もよろしくお願いします


良いお年を。

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