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おうちへ帰りましょう

アリアの脱走の行方は?

「どうにかするってどうするのよ?」

「まぁ考えがあんだよ。」

「考え・・・?」

「そ。あぁ、一応聞くけどあんた恋人とか婚約者とかそういうのいないよな?}

「え?えぇ・・まぁ。」

「よし、じゃあこれならいけるだろ。」

なんだかよく分からないままアリアは一旦屋敷へ帰ることになりました。

「やっぱり嫌だなー」

「仕方ねーだろ。どの道ずっと屋敷でるわけにいかねぇしよ。」

「それは・・・まぁそうだけど。」

「じゃあそういうことだから。帰るぞ。」

言うなりアリアを抱き上げました。

「わっ、ちょっと、自分で歩けるわ!おろして!!」

「うわ、お前軽すぎ。ちゃんと食ってんのか?」

「食べてるわよ!っていうか人の話聞いて。」

「まぁこの方が早いから。掴まっとけよ。」

「ギャー!!」

「だ、大丈夫だから静かにしろっ、屋敷の奴らにばれるぞ!!」

そういわれてアリアは静かにしましたが、荷物のように担がれて少々不満なのでした。

こういうときってだいたい普通はお姫様だっこじゃないの?

「はぁ~もういっか。」

「なんか言ったか?」

「なんでもないわ。」

そして古い小屋の屋根をアリアを担いだまま上り、(これにはアリアも少々驚き、はたしてこの男を信用していいものか悩みましたが)屋根から屋根をつたってベルゼン邸までつきました。

下には、庭からなにから使用人たちがアリアを探しています。

なるほど・・。下からいかなかったのはこういうわけなのね・・・。

「いいか、絶対しゃべるな。使用人に気づかれたらめんどうだからな。」

アリアはこくこくと頷きました。

そしてアリアの部屋のバルコニーに降り立ってアリアの部屋へ到着です。

「にしても不用心だな。簡単に部屋に入れるなんて。」

「でもそのおかげで私たちもはいれたんだし、いいじゃない。」

「まったくだな。」

ビセは苦笑しました。

「それで、この後どうするんだ?」

「まぁとりあえず服を着替えろ。なるべく綺麗目っぽいやつ。俺はあっちにいるから。」

アリアは理由がよく分かりませんでしたがとりあえず着替えることにしました。

しかし綺麗めなものというとドレスしかなく、しかしドレスを着るのは大変だと思いました。

「まぁどのみちバレンシア様とお会いするのだし、やっぱりドレスよね。」

そうしてアリアは淡いブルーのドレスを選びました。

一人で着るのは大変でした。そして一番困ったのは後ろのファスナーです。

「う・・と、届かない・・・」

いつもはお付きの侍女がするのですが、今呼ぶわけにはいかないとなると。

「おーい、まだかー?」

「ビ、ビセ・・。」

「そっち行くぞー。」

「えっ!?あ、待ってっ・・・!!」

しかしそういったときにはもう遅く、ビセはこちらに来ていました。

「あっ!」

一瞬でアリアは背を向けましたが、ビセは淡いブルーのドレスをきたアリアが別人のように思えてしばらく呆けていたのでした。

「化けるもんだな、女ってのは。」

「あ、あのさ、髪で隠れて分かんないかもだけど、ふぁ、ファスナーが閉められないの。手が届かなくて。」

「うっ・・・。」

「悪いけど、閉めてくれない?」

「お、おい、あんたこんなこと他の男にやらせるなよ。一応言っておくが。」

「や、やらせないわよ!普段は侍女が着付けするんだから!でも今は侍女がいないしあなたしかできないでしょ?」

なんだかんだ言いつつもビセはアリアのファスナーを閉めてやりました。

「あ、ありがと・。」

「いや、いい。」

アリアが赤面しながら礼を言うと、ビセは照れくさそうにそう言いました。

「で?この後どうするのよ?」

ビセはにっと笑って仮面をとりました。

「あ・・・いいの?」

「まぁお前に隠しても仕方ないしな。」

仮面をとると意外に若いことが分かりました。年はアリアとあまり変わらないようです。

銀色の髪にブルーの瞳、端正な顔立ちでした。

あまりの綺麗さにアリアはみとれました。

「あなたの目きれいね。髪も銀色なんて月みたいだわ。」

「なんだ、口説いてるのか?」

「ば、馬鹿言わないで!私はただ思ったことを・・」

抗議するアリアをビセがにっと笑って遮りました。

「まぁそれくらいがちょうどいいんだが。」

「え・・・?」

なんのことか分からぬうちにアリアはバルコニーに連れ出されました。

「ちょ、ビセ!見つかっちゃう!!」

その言葉に応えるように下から使用人たちがアリア様だ!と叫びました。

「ど、どうしよう、ビセ!逃げた方が・・・」

「アリア。」

「え?」

初めて名前を呼ばれてアリアは驚き顔をあげました。

目の前に端正な顔があり、ゆっくりとアリアに近づいてきます。

え・・・?ど、どうしよう・・!?

アリアは恥ずかしくて赤面しながらギュと目をつぶりました。

額に柔らかな感触がありました。

使用人は驚いてみな呆けています。

「アリア嬢。私はこれにて失礼します。どうか今宵のあなたの夢に私がでられますよう。それではまた。」

そう言って、あの笑みを浮かべ、木をつたい去っていきました。

アリアは恥ずかしさのあまりしばらく放心状態でした。しかしアリアは賢かったのでビセの意図が分かりました。

恋人同士のフリってことね・・・。

「あぁ、愛しい私のビセ。早くまたあなたに会いたいわ。」

そうつぶやいいかにも恋する乙女の悩ましげな表情を作りました。

これには使用人たちも驚きましたが認めざるをえないのでした。

お嬢様には想い人がいる・・・・と。


さっそく一連の出来事を見ていた執事のハインリヒは主のアレックスに報告しました。

「なに?それは本当なのか?」

「はい。大勢の使用人たちが目撃しております。」

「・・・そうか。それならアリアも言えばよかろうに・・・。」

そしてこの出来事をバレンシア様には言わぬように口止めを命令しました。


しかしバレンシア様の耳に入らないはずがありません。

騒がしいと思い外に出たバレンシア様の使用人がその出来事を見てしまっていたのです。

「ふーん、そうか。ふふ、なかなか面白いことになってきたね。」

バレンシア様はそう独り言をつぶやき笑みを浮かべました。

次回にバレンシア動くかも・・・?

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