お話の始まり
よろしくお願いします。
「お待ちくださいませ、お嬢様ー!!」
後ろから執事のハインリヒ・クノーゼの声が聞こえるけど無視。
「お願いですからお待ちをー!!」
メイド長のマリア・マトルフォーの声が聞こえるけど無視。
悪いわね、皆
でもつかまってやるわけにはいかないの
だって、結婚なんか絶対嫌!!
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ここはロゼリアという世界のナリアという国のガデローという街の一画にあるベルゼン邸。
ベルゼン邸には主のアレックス・ベルゼンとその妻ファリア・ベルゼン、そして娘のアリア・ベルゼンが優雅に慎ましく暮らしておりました。
否、というのも娘のアリアはとんでもないお転婆娘のじゃじゃ馬だったのです。
いたっ!アリアに蹴られましたので、訂正いたします。
目を離したすきにちょっと街へ遊びに行ってしまい、挙句男の子たちとまじって球技やら鬼ごっこやらをやって泥んこになって帰ってくる少々お転婆のかわいらしいお嬢さんでした。
・・・・紹介も命がけですが、続けます。
アリアは金持ちの娘ということで嫌われたりもしましたが、結局アリアには鼻にかけたところがないので誰とでも仲よくなってしまうのでした。
アリアは皆に愛され、毎日楽しく幸せに暮らしておりました。
そう、この時までは。
アリアが16になって3月ほどたったころでした。
「アリア、食事が終わったら私の部屋に来なさい。」
いつも明るく優しい父が、急に厳格にそう言ったのでアリアは何事だろうと少し不安になりました。
しかし母の方をちらと見ると何やら嬉しそうに優しく微笑むので、アリアは一層わけがわからなくなりました。
食事の後のティータイムが終わったので、アリアは父の部屋へと向かいます。
「やだ、何かしら?悪いことでないといいのだけど・・。」
コンコンとノックして、「アリアでございます。」というと、中から入りなさいと返事が返ってきました。
「何でしょうか、お父様。」
「まぁまぁそんなところに立ってないでこっちに座りなさい。」
そう言われたのでアリアは座りましたが、ただならぬ雰囲気にアリアは落ち着きませんでした。
「ファリア、アレをこちらへ。」
アレ!?アレってなんですか、お父様!!
「はいはい、ただいま。」
そう言って、ファリアが持ってきたのは
手紙と肖像画。
「お父様、私急に気分が悪くなってきたので失礼します。」
にこりとしたアリア。
「ま、待ちなさい!!せめて話だけでも聞きなさい!!」
と父。
「いやっつってんでしょーが!!父さま!!私結婚なんかしません!!」
とついに本性が出た娘。
「まぁちょっとくらいいいじゃない。というか娘の恋バナききたーい。」
と母。
「いや、本音ですぎだから。お母さま、もうちょっと隠して。」
「アリア、父としても可愛い娘が嫁ぐなんて本当はいやなんだ。」
じゃあやめれば・・と言いかけた。
「でもこのままここにいてアリアの人生を潰すわけにはいかないんだ。分かるね?アリアの幸せはアリアが決めることだ。それが今は必要ないと思うなら無理強いはしない。でもいずれ必要になる。アリアが望むとおりにして構わないけど、いつどうなるとも分からないんだから、手紙ぐらいは見ておいてもいいじゃないかな?」
「・・・・・分かりました。」
アリアは手紙だけ受け取ると部屋を出ました。
でも、結婚なんて今はしたくないな・・
そう思いながら自室に向かいました。
そしてその頃父のアレックスが泣いてファリアに慰められているのはアリアには秘密です。
「ファリアー僕は悲しい!一体どうしたらいいんだ!!」
「まぁ今日はよくやりましたわね。アリアなら大丈夫!私の娘ですもの。」
「でもでも、アリアが嫁ぐなんていやだー!」
「ちっったくうるさいわね。今すぐじゃないんだから大丈夫よ。」
「いっ、今舌打ち・・!?夫泣きますけど。」
「もう泣いてるじゃありませんか。そろそろ私は寝ます。」
「えー!?夫放置!!」
そうしてベルゼン邸も静かに夜明けを待つのでした。
小説初めてなのでいろいろ拙いですが、もし誤字等ありましたらお教えください
楽しいと思ってもらえたら幸いです