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大切な人

作者: デュラ




「お嬢様は神や前世……または運命と言うものを信じますか?」





 昔の話しです。遠い昔の話しです。

ある男がいました。

その男はどうも罪を犯してしまったらしいのです。

それがどれほどの罪なのかは分かりません。

男は罪を犯し、その罪を償う前に死にました。


ですが、運命の悪戯か神の御裁きか男は女として、記憶を保ったまま再び生を与えられたのです。

ただ、男は……彼女は初めから記憶を引き継いでいたわけではありませんでした。

徐々に、徐々に記憶を取り戻していったのです。


 そうして彼女は気付きました。

いつからこんな暮らしをしているのか……彼女は覚えていませんが、こんな暮らしが普通ではありえないことに。

この世界(スラム街)は力が支配していました。

気付いたときには父はなく、母は日々の糧を得るために身を売る始末。

そうしてやっと一人分の糧を得るのです。

母は彼女に分け与え、彼女を暴力に晒されぬよう自らの暴力に晒された体で掻き抱き一日を終えるのです。




 それまで生きてこられたのは、ただ単に運が良かったのでしょう。

彼女の記憶がほぼ完全に戻った時、彼女と母の関係は終わりを迎えました。

力が絶対の世界で、非力な女と子供だけで生き残っていける道理はありません。

彼女の目の前で母は犯されながら身を切り裂かれ、彼女自身も体と心に消えぬ傷を負わされました。

体を引きずりながら母の元へ行き、その亡骸を前に彼女は思いました。

(オレの罪はそれほどまでに思いのか? 関係のない母を殺してしまうほどに?)


 広い世界で彼女はただひとり放り出されました。

生きる気力なんて既に無くなっていた彼女ですが、死にたくはなかったのです。

可笑しな話かもしれませんが、彼女は生きたくもなければ死にたくもなかったのです。


このまま母の亡骸の近くにいては、死人から奪えるものは全て奪うハイエナ達に、彼女の命も奪われてしまう事を彼女は経験上知っていました。

彼女は亡骸を埋葬することもせず、その場を去りました。




 さて、本当ならこれで終わってしまう物語だったんです。

当然ですよね?

だって、何の力も知識も持たない女の子が一人で生きていけるはずもありません。

でも、彼女は違ったんです。

前世の記憶を引き継いでしまった彼女には知識だけはありました。

彼女はその知識で生きながらえたのです。

喉が渇いた時に水がなければ自らの尿で渇きを誤魔化し、お腹が空けば誰かから奪い、眠くなれば大人が入って来れないような瓦礫の隙間の奥深くで寝ました。


人を騙し、奪い、殺し、自らの体を武器に誘い、犯され、恵んでもらいました。

それが罪だと言うならそうなのでしょう。

でもそうでもしないと彼女は生き残れなかった。

そういう世界だったのですから。




 生きていくうえで彼女の気に入ったものが二つありました。

一つは殺しでした。

後のことを考えなくていいからです。

騙すにしても奪うにしても、その後に必ず報復という不安が付いてきます。

ですが、殺してしまえばその相手からの報復を受けることは当然ながらありません。

それに殺しの最中は脳内の快楽物質が働くためか非常に気分が良いのです。

人として、彼女は終わっていました。

それが禁忌だと理解していましたが、だからと言って何とも思っていないのです。


もう一つ気に入っていたのが、性行為でした。

これは単に良いものが手に入るからです。

力が支配する世界で、唯一強者からモノを手に入れる方法でした。

当然、力の強いものはより質の良いモノを持っています。

彼女は知識の中から自分に出来る限りのことをします。

遊女のように喘ぎを上げ、男が喜ぶような言葉を発し、童女のように男のものに奉仕する。

どんな男も彼女をそこそこ以上には気に入りました。

彼女は元男なのに抵抗はなかったのか、なんて野暮な話しです。

ここでは、可愛ければ男だろうと女だろうと関係なんてありませんでしたから。


頭がおかしい、そう言ってしまうのは簡単です。

ですが、ここにいる人達はどこか壊れている人しかいなかったのです。

そういう意味ではここに人など居なかったのでしょう。

彼女も例外ではありませんでした。

彼女もまたこの世界では正しく壊れてしまったのです。


 



 どれぐらい、そうして過ごしたでしょうか。

ある時、彼女は風邪を引いてしまったのです。

たかが風邪、けれどこの世界では致命傷でした。

彼女の周りに味方はおらず、薬なんてものはありません。

その日その日を生きていくだけで精一杯だった彼女に食料の備蓄もありません。

熱に体力を奪われ、殺しもままなりません。

うつされるのを嫌がり性行為も出来ません。

待つのは餓死か殺される事だけ。

それでも、彼女は何とか生きていました。


 そんな矢先、ここには似合わない小奇麗な男が彼女に話かけました。

「どうしたんだい?」

 彼女は答えません。

男は彼女に近づき容態を見ようと手を伸ばします。

しかし、彼女からしてみればついに来た殺される瞬間だと思ったのです。

彼女は生きるため、隠し持っていたナイフで男を切りつけました。

否、切りつけようとしました。

熱に犯された頭で視界はボヤケ、あらぬ方向へと彼女はナイフを振るったのです。

そして、その一撃に全ての力を当てていた彼女はそのまま倒れてしまいました。


 男は困りました。

実はこの男、この世界(スラム街)の住人ではなかったのです。

何故ここにやってきたのか、どうして彼女に声を掛けたのか。

そこはさして重要ではなく、また知る由もありません。

重要なのは男が彼女を自分の家に持ち帰ってしまったことにありました。




 男はそこそこ裕福な家庭でした。

これで、彼女はようやく安心して暮らせる?

いえいえ、彼女に救いはまだ来ません。

だって、どこの馬の骨ともしれない女を育ててくれる家なんてあるはずもありません。

彼女は地下牢に閉じ込められ、両手と両腕を拘束されて放置されました。


男は彼女に普通の暮らしをさせるよう命じましたが、そう上手くはいきませんでした。

地下牢というのは家の中でもある程度の地位にいる男に対しての、最大の譲歩だったのでしょう。

劣悪な環境だったにも関わらず彼女が生き残れたのには、食料だけは貰えた事が大きかったのでしょう。




地下牢に閉じとめられてから1週間ぐらいでしょうか?

その頃には彼女の風邪も治り僅かながら体力も回復していました。

そんなおりに彼女が捕らえられて、初めて男が顔を出しました。

そんな男に彼女は言います。

「何をしに、きたの?」


 男は何かに怯んだように口をつぐみます。

なんの事はありません。

彼女は捕らえられている間、小も大も垂れ流し状態だったのですから、普通の人からすれば引かれてもしかたがありません。


すると彼女は突然ガチャガチャと手足の鎖を引きちぎらんばかりに抵抗したのです。

いったい何が彼女の琴線に触れたのか?

簡単な話です。

男の目が彼女を()に見ていたのです。

彼女には我慢できないことでした。

()に見られるイコール死だった生活のせいでしょうか?

それは彼女しか知りません。


「そんな、目で……そんな……そんな目で見るなぁ!!」

「ちょっ、どうしたんだい!」

「ぁぁあああああああ!!!! 殺す、殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す!!!」

 目を血走らせ唇の端から唾を撒き散らし彼女は叫びます。

男が何を言っても同じ言葉しか返さない彼女に男は諦め部屋を後にしました。





 次の日、懲りずにやってきた男は彼女を見て驚きました。

彼女が男を見て笑ったからです。

そして彼女が口を開きます。

「昨日はごめんなさい。あやまるから、私と遊んで?」


 再び男は驚きました。

バカの一つ覚え見たいに同じ事しか言わなかった彼女が、こんなことをいったのですから。

「いいよ。何をして遊ぼうか?」

 男は微笑みを湛え(たたえ)言いました。

彼女は答えます。


セックス(・・・・)しましょう? 体が疼いてしかたないの」

 彼女は嬉しそうに言いました。

「……なんだって?」

 男は聞き間違いかと思いました。

当然、彼女は良い間違いなどしていません。

「マンコが疼くの。いいでしょ? 入れてよ」


 そう言って彼女は舌なめずりをし、男の股間を注視しました。

男は絶句に彼女に諭します。

「こんなことしちゃ駄目だ」

 とか

「好きな人とするべきだ」

 とか、男は自らの知識を総動員して彼女を説得しました。


しかし、彼女は男を求めました。

彼女は男が言っている事が正しいことは理解できます。

でも、こう思ったのです。

だから何(・・・・)?)

 と。

彼女にとって最早、倫理や道徳など何の価値もなかったのです。

普通、人が禁忌を犯そうとすると理性などが働き抑止力となります。

しかし、彼女は経験からそんなものが役に立たないことを知っていました。

男がいくら良い募っても暖簾に腕押しです。

男はその日も諦めて帰りました。







 そんな日が幾日も続いたある日の事です。

懲りずにやってきた男が入ってきても彼女は無言でした。

男が近づいても、男の方を見る事もなく彼女は無反応です。

「調子はどうだい?」

 男が尋ねます。

彼女は答えません。

男が訝しげに彼女を覗き込みます。

すると彼女が口を小さく開き何か言っているのが分かりました。

男は彼女の口元に耳を近づけました。

「……ッ!」


 男の耳が目の前まで来た彼女は、男の首元に噛み付いたのです。

男は痛みに呻きましたが、堪えられないほどでないと分かると、首を噛まれたままだというのに彼女の頭を抱きかかえました。

彼女はビクリと体を震わせ更に強く噛み付きます。

男は彼女の髪の毛をそっと撫でました。

何度も、何度も撫でました。

男の首からは血が滴り始め、男の顔は段々苦痛に歪み始めました。

それでも、男の手つきは変わらず彼女の髪を撫で付けます。




 男の血が彼女の顎を伝い床に小さな花を咲かせた時、彼女は男に問いかけました。

「……どうして、私を連れて来たの?」

 男は少しボーっとする頭で答えます。

「……分からない」

「わからない?」

「うん……自分でも分からない。でも、そうしなくちゃ……って。そう、思ったんだ」

 男が彼女を連れてきた理由は分かりません。

一目惚れ? 哀れみ?

いえ、はっきりとは分かりませんが違います。

ですが、彼女は男から何かを感じ取りました。

それが何なのかは彼女にも説明できません。

ただ、彼女と男はこの瞬間、何かで繋がりました。

否、もしかすると今まで感じなかっただけで、出遭って直ぐ繋がっていたのかもしれません。……何て、考えても意味なんてありませんけどね。




「……ごめんなさい」

 彼女はそう言って、男の首筋に舌を這わせました。

自らの歯型の付いた部分をなぞり、血の雫を丁寧に舐め上げました。

男は彼女の舌が傷口に触れる度、口から微かに声を漏らしましたが彼女のしたいようにさせてあげました。

チュ……レロ……ぅん……んくっ……チュ……んむ……レル……チュルル……はむ……

暫く、彼女が舌を這わす音と時折カチャカチャと鎖の音が混ざる他、何の音もありませんでした。


 やがて彼女の舌が彼の頬を舐めました。

男は驚きましたが、やはり彼女の好きなようにさせる事にしました。

彼女は男の唇の端をわざと掠るように舐め、その度に男の顔色を確認していました。

何度か男の顔色を確認した後、彼女は少し躊躇うように男の顔を見ながら唇に唇を重ねました。

男はみたび驚きましたが拒否はしませんでした。

彼女はそのことに勢い付き何度も唇を重ねました。

彼女が他人と唇を重ねるのは前世を含めても初めての事でした。

ですから、男が彼女の唇を割ってきた時には彼女は驚きで硬直してしまいました。

その間に、男の舌が彼女の口腔を縦横無尽に泳ぎまわります。

歯をなぞり、上顎を突付き、舌を絡ませました。

硬直がとけると、彼女は男が舌を絡めてくるのに合わせて、自らの舌も絡み付かせました。




……話しが脱線してますね。

まぁ、濡れ場、というやつです。

彼女は行為の後、初めて心が温かい気持ちで満たされました。

あぁ、もちろん男は最後までしてくれましたよ?

もうお気づきかもしれませんが、彼女は男に恋をしていたのです。


 その次の日……いえ、その日から彼女は大人しくなりました。

彼女は毎日男が来るのを楽しみにし、男とのお喋りに頬を赤くし、男の去り際にキスをせがみました。

やがて大人しくなった彼女に男は安心したのか、彼女を使用人として地上に出したのです。

当然、周囲は反対しましたが、男の意思は強く、彼女も男の言う事に素直だったので、結局なし崩し的に彼女を使用人として迎え入れる事になりました。

反発の声も大きかったのですが、知識や技術が全く無いと思われていた彼女の以外な学に、その声も次第に聞こえなくなりました。


 それから暫くは本当に平和でした。

彼女は仲良くお喋りの出来る同僚も出来ましたし、男は親の後を継ぎ立派になりました。

この頃になると男には跡取りのためにお嫁さんが必要になってきます。

しかし、彼女は立候補することが出来ません。

当然です。

戸籍もないような女と結婚しても幸せなど掴めないことは自明の理です。

もしかすると、優しい男の事ですから拒否しなかったかもしれません。

しかし、彼女は男には幸せになって貰いたかったので、男と距離を取っていました。

やがて男は結婚し子供も生まれお家も安泰となりました。

信じられないかもしれませんが、彼女は使用人として男の近くにいるだけで幸せだったのです。


 幸せに満ちていました、あの時までは。

そう、男が殺されたのです。

男の家族と使用人は嘆き悲しみました。

彼女とて例外ではありません。

男の殺害に関わった人間は全部で3人、彼女はその事を突き止めると行動を起こします。

次の日、男と全く同じ傷を負った3つの遺体が発見されたのは……有名な話しですし言うまでもないことですね。

彼女は殺すことを躊躇いませんでした。

そこに男の結婚相手(・・・・)が含まれていようとも。


 彼女は悩みました。

男が残したただ一人の子供をどうしようかと。

その子供は同時にあの女の忘れ形見でもあるのです。

でも、別にその子が憎かったわけではありません。

ただ怖かったのです。

復讐されることが、ではありません。

彼女としては復讐されるなら、それはそれで構わなかったのです。

恐れたことは子供が死んで(・・・)しまうことでした。

気付いたのです。

彼女が大事に思った人が皆、死んでいくことに。

それなら、運命に殺されてしまう前に彼女が殺そうと考えました。

そうすれば、子供は永遠に彼女を心に刻み付けたまま停止するのですから。

でも、彼女はそれで本当にいいのか悩みました。

そこで、悩んだ末に彼女(わたし)子供(あなた)に聞いてみることにしたのです。


ねぇ(・・)お嬢様(・・・)どう(・・)思いますか(・・・・・)?」







~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~




「お嬢様は神や前世……または運命と言うものを信じますか?」


 私は目を覚ますと彼女は唐突に語り出した。

彼女は私の家の使用人で、パパが一番大切だと言っていた人。

ママがいるのに変だとは思わなかった。

だって私も彼女の事が大好きだったから。

私が悪さをしたら困った笑顔、彼女を驚かしたらビックリした笑顔、嬉しいことがあったら満面の笑顔、そう私は彼女の微笑み以外を見たことがない。


だから、彼女が初め何の話をしているのか分からなかった。

淡々と話す彼女の言葉をじっと聞き入っていた。

途中、男との……パパとの、その、…………ゴニョゴニョ……の所で二人して顔を赤くしたけど、それ以外は彼女はずっと淡々と話し続けた。

私は彼女の壮絶な過去に驚いた。


パパが死んだ時は凄く悲しかったのを覚えている。

彼女の話から、その事件にママが関わっていたことが分かって辛かった。

私の事が憎くないと言われた時、息が止まるほど嬉しかった。

彼女は辛そうに顔を歪めて、私を殺すと言った。

そして今、彼女は私に問いかけた。




「ねぇ、お嬢様。どう思いますか?」




 私は彼女に向かって歩き出す。

「良いよ。あなたの好きにしていい」


 私は両手を広げて彼女を迎え入れる。

彼女は大きく目を見開き驚いた顔をした。

しかし、一つ目を閉じると背中からそっとナイフを取り出す。

そうして、そのナイフを私に向けた。

私は彼女の一歩手前で止まる。

彼女が一歩踏み出せば、そのナイフが私の胸に突き刺さる、そんな距離。




「どうしたの?」

 彼女は私の目を見ていて気付かなかったのかもしれないけれど、彼女が持つナイフは小刻みに震えていた。

彼女は一体、どれ程悩んだのだろう。

私には分からない。

でも、私には関係ない。

ただ一つ分かれば良い。

私は彼女と離れたくない。

それだけ分かれば十分。

……十分過ぎる。




 踏み出さない彼女に向かって私は強引に一歩、彼女に近づいた。

「お、お嬢様!?」

 ナイフの先端が私に当たり、そして落ちた。

力の入っていなかった彼女の手からナイフが滑り落ちて地面にぶつかる。

カランと硬質な音が響いた。




「……ナイフ、落ちたね?」

「お、おおお落ちたね? じゃありません! 刺さったらどうするおつもりです!!」

「だって、私を殺すんでしょう?」

「ッ! そ、れは………」


 彼女は動揺したのか言っている事が滅茶苦茶だ。

初めてこんな彼女を見たかもしれないなぁと余計な事を考える自分に

(以外と余裕あるじゃん、私)

 と苦笑する。

私は足元に落ちたナイフを拾い、彼女の手にしっかりと握らせる。

その上で彼女に強く(・・)抱きついた。

彼女の悲鳴が聞こえるけれど、咄嗟にナイフをねかせたのか痛みはない。




「あなたの好きにして良い、私を殺したいならそうしたらいい。でも、私は死なない。死んでやらない(・・・・・・・)

「お、嬢様?」

「神? ごめんね、私無宗教なのよ。前世? それが今のあなたと何の関係があるの? 運命? 今私は生きて(・・・)いる、それが全てじゃない?」

「……詭弁です」

「詭弁? 別にいいじゃない」




 俯く彼女の髪をそっと撫でる。

彼女が話してくれたパパがしたように、何度も、何度も。

「あなた、私を殺せなかった時、家を出て行くつもりだったでしょう?」

「……………………」

 彼女は答えなかったけど、その肩がピクリと震えた。


「ハァ、やっぱりね。死なないって信じられない? 私が何とかしてあげる。別に私を信じろなんて言わない。ただ、あなたの愛した人を、その娘を信じて」

「……その言い方は……反則です」

「反則結構。人殺し上等。詭弁承知。……でもね。私、嘘は言ってない」

「なんですか、それ。全然……全然、説得力ない、です」


 そう言う彼女は私の胸に顔を埋め静かに肩を震わせている。

胸に伝わる冷たい感触で、彼女がどんな状態かが分かる。


「そっかぁ。説得力ないか……でもさ、それに騙されてくれない(・・・・・・・・)?」

「……………………仕方がないですから……騙されてあげます」


 暫く返事がなくて、失敗したかな?

と思っていた矢先に、彼女から返答があった。

私は一際きつく抱きしめた後、彼女が落ち着くまでずっと髪を撫で続けた。


眠さで頭をやられたのか、書き終えて直ぐ頭に

「そして、3日後私は息を引き取った」

ってフレーズが頭に浮かびましたorz

バットエンドにも程がある。

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