第10話「運命を書き換えて」
鍵が外されてから、私の世界は少しずつ変わった。
自由に庭を歩ける。
本を選べる。
外の空気を吸える。
……そして。
エドワード様は、少しずつ“縛らない愛し方”を覚えていった。
「今日は、街へ行ってみる?」
ある朝、彼がそう言った。
「……いいんですか?」
「うん。一緒なら」
一緒。
その言葉が、嬉しかった。
王城では、私たちの関係が噂になり始めていた。
「王太子殿下が、婚約者を幽閉していたらしい」
「最近は、溺愛すぎるだけらしい」
「むしろ仲良しだとか」
……最後、誰情報?
そんなある日。
私たちは、国王夫妻に呼び出された。
――謁見の間。
玉座に座る国王と王妃。
厳かな空気。
「エドワード」
国王が静かに口を開く。
「……お前は、婚約者を閉じ込めていたそうだな」
私は、ぎゅっと拳を握った。
しかし。
「はい」
彼は、まっすぐ答えた。
「……未熟でした」
ざわ、と空気が揺れる。
「彼女を愛するあまり、恐れてしまった」
そして、私を見る。
「……二度と、同じ過ちは繰り返しません」
私は、はっとした。
――逃げずに、向き合っている。
国王は、しばらく沈黙した後、言った。
「……ヴィクトリア」
「は、はい!」
「お前は、どう思う?」
……来た。
最重要選択肢。
私は、一歩前に出た。
「……殿下は、過ちました」
正直に言う。
「でも……変わろうとしてくれました」
「私を、選ばせてくれました」
私は、エドワード様の手を取る。
「だから……私は、この人と生きたいです」
静寂。
そして。
王妃が、ふっと微笑んだ。
「……素敵な答えね」
国王も、小さく頷く。
「……よかろう」
「二人の婚約を、正式に認める」
その瞬間。
胸の奥で、何かがほどけた。
――運命が、書き換わった。
春。
王城の庭園で、婚約式が行われた。
白い花々。
祝福の拍手。
私は、純白のドレスに包まれていた。
「……逃げなくて、よかった」
ぽつりと呟くと。
彼は、そっと笑った。
「……捕まえてて、よかった」
「それは反省してないですよね?」
「少しはしてる」
少し。
私は、呆れつつ笑う。
指輪をはめられながら、彼は囁いた。
「……今度は、君が逃げても追わない」
「え?」
「……一緒に、走る」
私は、涙ぐみながら頷いた。
「……はい」
――こうして。
悪役令嬢は、破滅を回避し、
ヤンデレ王太子は、正しい溺愛を覚え、
二人は、運命を書き換えた。
これは。
“逃げる物語”ではなく、
“選び合う物語”だったのだ。
――完。
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余談ですが小説の出来に途中で納得いかなくなり、もう少し読みやすくするため改稿版を出すことにいたしました。ストーリーの内容は変えないで書いてみたため、そちらのほうも読んでいだだきたいと思います。




