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悪役令嬢ですが、監禁エンドだけは回避したい  作者: ayami


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1/10

第1話「断罪エンドを思い出しました」

今から読み始める方は改稿版のほうを読むことをお勧めします。

――最悪だ。


 よりにもよって、思い出すなら今じゃなくていいでしょう。


 私は鏡の前で、自分の顔をじっと見つめていた。


 銀がかった金髪に、淡いローズ色の瞳。

 高級そうなドレスに、やたら広い部屋。


 ……はい。どう見ても一般OLの部屋じゃない。


「つまりここは……乙女ゲー世界?」


 ぽつりと呟いた声は、やけに可愛らしく響いた。


 私はヴィクトリア・フォン・ローゼンベルク。

 侯爵家令嬢。王太子の婚約者。


 そして――


「断罪&監禁エンド担当の悪役令嬢……!」


 思わず頭を抱える。


 前世で何周もプレイした乙女ゲーム

『聖なる薔薇と運命の恋』。


 私はそこで、ヒロインをいじめ、最後に破滅する役だった。


 しかも問題はそこじゃない。


 問題は――


 エドワード王太子ルートのバッドエンド。


 裏切られ、断罪され、地下離宮に幽閉。


 優しく微笑みながら言われるのだ。


『君は、僕のものだから』


 ……怖すぎる。


「いやいやいや、無理無理無理!」


 私は全力で首を振った。


 あんな甘い顔であんなこと言うヤンデレ王太子に

閉じ込められる人生なんて、絶対に嫌だ。


「よし。決めた」


 私は鏡に向かって拳を握った。


「目標:断罪回避! 監禁回避! 平穏人生!」


 まずやるべきことは一つ。


 ――エドワード様と距離を取る。


 原作では、私は彼に執着しまくって嫌われ役を全うしていた。


 なら逆にすればいい。


 近づかない。関わらない。期待しない。


 完璧だ。


 私は満足げに頷いた。


 ……このときはまだ。


 その作戦が、最悪の方向に転ぶことを、

まったく理解していなかった。


 翌日。


 王立学園の中庭。


 私はいつもならエドワード様の隣を歩いている。


 ……が、今日は違う。


 わざと距離を三メートル空けて歩いていた。


「……ヴィクトリア?」


 後ろから、低くて優しい声。


 ひぃ。


 反射的に背筋が伸びる。


「な、なんでしょうか。王太子殿下」


 完璧な他人行儀。


 振り返ると、そこには相変わらずの美形がいた。


 金髪碧眼、王子スマイル完備。


 これで中身が激重執着系なのだから、詐欺である。


「今日は……少し距離があるね?」


「そ、そうですか? 気のせいでは?」


 にこっと営業スマイル。


 逃げろ私。ここでデレたら終わる。


 すると、エドワード様は少しだけ目を細めた。


「……昨日、何かあった?」


「い、いいえ! 何も!」


 即答。


 すると彼は、ふっと微笑んだ。


「なら、いい」


 そのまま私の手を取る。


「え?」


「離れる必要はないよ」


 ぎゅ。


 しっかり指を絡められた。


 ……え、作戦失敗してない?


 心臓が跳ねる。


「殿下、あの、その……」


「ヴィクトリアが遠いと、不安になる」


 静かな声。


 けれど、重い。


 めちゃくちゃ重い。


「だから、離れないで」


 私は笑顔のまま、心の中で絶叫した。


(もう始まってるーーー!!)

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