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自由すぎるハバナ国第一王女

キルギス国-フィリップ目線

3日間の船旅が終わり、やっとキルギス国へ帰ってきた。

こんなに精神的に疲れた旅は人生の中で初めてだ。

ヘレナがくれた船酔いの薬はとてもよく効いた、それは感謝する。


しかし、あいつは私が船酔いで動けない間にやりたい放題してくれた。


見張り台に登るのは何となくわかっていたが、まさか甲板から魚釣りをして、釣れた魚をシェフと一緒にBBQしたり、ハバナ国のパイナップル酒をかけたトランプ大会を開催して、その後大宴会を開いてた。


ヘレナについてきた侍女とハバナ国の乗組員はいつもの事と涼しい顔をして、のりのりでトランプ大会に参加していた。我が国の乗組員は初めはかなり戸惑っていたが、船旅が終わる頃にはかなり打ち解けて、私よりヘレナと親しげになっていた。


今は王宮に行く馬車に乗ってるが、ヘレナは馬車の窓にベッタリ張り付いて外を見ている。


街を見たいから歩いて王宮に行きたいと言うのを止めるのも大変だった。

その代わり街歩きは後日、私が連れて行くことになってしまった。


今は春から夏の季節。4ヶ月しかないこの季節は作物の栽培、薬草の収穫、氷の魔石も採掘などで大忙しだ。


本当はこの時期に婚約式をする時間はなかったが、暑いハバナ国から真冬のキルギス国へ来る、または向こうに行くには王女達に負担だろうと寒暖差が比較的に少ないこの時期に決まった。


しかしソフィアはまだしも、こいつなら真冬に来ても大丈夫だったろうと、窓の外を見てはしゃぐヘレナの背中を見ながら思った。


「フィリップ様、雪はまだ降らないのですか?私は雪を見たことがないので、凄く楽しみにしているんです」


「今は春と夏の季節のちょうど真ん中なので、後2ヶ月もしたら雪が降るだろう。そんなに楽しみにするものでもないが」


「何を言ってるんですか?絵本で見た雪景色はとても美しかったですよ。雪だるまを作ったり、雪合戦をするのが夢だったんです。あ、かまくらを作って中でココアを飲むとか、もう今から楽しみで楽しみで」


王女が雪合戦。もう私はヘレナは止めても無駄だと言う事をこの3日間の船旅で学習した。


私は女性はソフィアの様に冬の間は部屋で読書をしたり、刺繍や編み物をして過ごすものだと思っていたが。


私にはヘレナが大人しくお茶を飲みながら、刺繍をしている姿が想像できない。それどころか部屋にじっとしている事もできないだろう。


王宮に着いたら、私は仕事が山積みだろうし、ヘレナには王太子妃教育が待っている。

ヘレナの弟、ハバナ国の王太子ロバートもかなり自由な性格だと聞いている。ソフィアは彼と上手くやっていけるのか?


そんな事考えていたら、王宮に到着した。


「うわー凄いですね、あれは温室かしら?王宮を探検するが楽しみです」


探検か。。。やっぱり部屋で大人しくする気はないようだ。本気でこの婚姻は大丈夫なのか心配になってきた。




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