スタートは友達認定から
いつも太陽のように明るく、人気者のあなた。
みんなを照らす笑顔を見せるあなたが大好きです。
*
それは本当にささいな事だった。
「大丈夫?」
高校1年、加藤 七瀬
放課後先生に頼まれて片付けていた体育倉庫で
まさかの閉じ込め事件がおきた。
相手は私に気づかずに閉めたっぽいけど…。
「…………あ、はい。ありがとうございます」
いけない。
ありえない人が現れてビックリして返事に遅れた。
「どうしてここに?」
「えっ!?あ…体育委員なので桑本先生に頼まれて…」
「くわちゃんか〜ホント良く人に物事頼むよな〜」
桑本先生の事をくわちゃんって呼ぶ人初めてみた。
ポカンとしているとまた話し出す男の子。
「それにしても何で1人でしてるの?体育委員2人だったよね?」
その言葉に驚く。
『もう1人の体育委員はあなたです』
と言いかけて辞める。
そういえば先生も
『あいつが捕まらねぇ』とボヤいていたな。と思い出した。
何してるの?と言ってるんだから先生が見つけて声をかけた訳じゃなさそう。
「…………終わったので帰ります。外から鍵を開けてくださりありがとうございます。最後の鍵閉め、お願いいたします。失礼します」
男の子に一礼をする。
はて?この人はここに何の用があったのだろう?と疑問に思った。まぁ最後の鍵閉めお願いしたし帰ろう。
そう思い、横を通りすぎる時に何故か腕を掴まれた。
「!?」
ビックリして声が出なかった。
「…………」
俯いていて何も話さない男の子。
少し沈黙が続く。
沈黙が続いてる間、掴まれた右腕があつい。
どうしようと内心アタフタしているが顔は無表情だったりする。
周りから普段は冷たい顔。冷たい目。など言われるが好きでこんな顔なわけじゃない。
生まれつきなのはもはや仕方のない事なのだ。
父親譲りの顔と表情は治しようがない。
何で母親に似なかったのか疑問に思う。
でもそろそろ離していただかないと困る。
犬が私を待っている。……散歩だけど。
「……どうしたのですか?」
もっと可愛く聞けないのか!と内心ツッコミをいれる。
「…………」
それでも何も言わない方。
私、何かした…??
「……あの…」
「………………さい」
……ん?何?何て言ったの??
「あの…なんて…っ!!!!」
そう聞き返そうとした時
くわっと俯いていた顔を上げてきた。
び…びっくりした…。
そして何故かすーはー。すーはーと深呼吸しだした。
掴まれた腕が熱いし、こんなに近くで会話もした事もないのでドキドキがやばい事になっている。
が、表情はそのままだ。
「あの!!」
「っ!!は、はい」
「お……おと……」
「音…?」
「俺とお友達から仲良くしてください!」
「………………は?」
「あぁ、いや、間違えた!いや、間違えてない!あの!俺とお友達になってほしいです!」
「……はぁ…はい」
「え!いいの!?やったー!ありがとう!!一方前身だ!あ、鍵閉めるね!!加藤さん、気をつけてね!また明日〜バイバイ」
な……何だったの……?
あまりの勢いで返事も曖昧だったが
友達認定してしまった。
「……ふ…」
つい笑ってしまうぐらい嬉しい自分がいる。
「さ、帰ろう」
男の子と今から恋が始まる予感なんて
これっぽちもないが
何かが始まる。
そんな予感がしたのだった。
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