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心中戦隊  作者: nasuda
6/10

六 さとされて、さとらされて?

「そんなにイライラするなら、仲直りすればいいじゃない」

 七海は、三杯目のジントニックを、作りながら言った。

「それは嫌」

 今日も『プラム』のお客さんは、あたし一人だ。

「あたしから仲直りしたら、あたしが悪いみたいじゃん」

 港で変死した五人が、公安で何をしていたのか? 明希はそのあたりに何かあると考えているようだ。

 ここのところ、あたしにも行き先を言わないで、署にはほとんど顔を出さなかった。

「いないから、イライラしてるんでしょ?」

「悪い?」

「子供ねぇー」

 七海は呆れたように言った。

「まさか、ここに来たら明希ちゃんに会えると思った」

「冗談でしょ?」

「図星じゃないの?」

 七海はカウンターに頬杖をつくと、聞いてきた。

「そもそもの喧嘩の原因は、何なの?」

「あたしの作るご飯、味が薄いって」

「それだけ?」

「それだけ」

 まあ、それだけじゃなくて、溜まっていた明希への不満が爆発したところもあったけど。

「で、どうして欲しいの」

「謝って欲しいの、大事にして欲しいの」

 それを聞いて、七海はヒョイっとあたしのジントニックを取り上げると、一口飲んだ。

「今日はもう帰ったら?」

「なに、聞くだけ聞いておしまいなの?」

「うちは相談所じゃないの」

 七海は、腕組みをしながら続けた。

「あんたも、明希ちゃんも事件抱えて大変なワケじゃない。明希ちゃんだって謝りたいけど、今は余裕がないのあんたが一番わかってるんじゃない?」

「でも……」

 突き放されたようで、あたしはちょっと泣きたくなる。

「大丈夫よ、明希ちゃん、最近お店にも来ないから、事件はもうすぐ解決よ」

 七海はそう言うと、ジントニックを飲み干した。

「ついでに仲直りも近いわ」

「それ……」

「なに? アタシの感よ」

「じゃなくて」

「なによ?」

 七海は心底不思議そうに、あたしを見た。

「あたしのジントニックなんだけど」

「奢りなさいよ、これくらい」

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