十 納得しないけど、良しとしますか
「うーん」
目を覚ますと、枕元の時計はお昼も近い十一時だった。
あれから数ヶ月。
大島は逮捕され、起訴されるようだ。裁判でも余計なことを言わないように、公安の監視下に置かれるそうだ。
あたしと明希、そして岩尾君はそれなりに褒められた後、口外無用とこれまた釘を刺された。
ひどくない? 苦労したのに。
あたしなんで、二、三日入院してまでしたのに。全然その後のことは、教えてもらっていない。
まあ、ボーナスが出たのでそれ以上は文句は言いませんでしたけど。
諸々の後始末が済んだ後に、あたしと明希はそろって休暇を取った。
拘束されたんだし、色々貸しも出来たので、これくらいは無茶を言っても文句は出なかった。
そして、休暇の初日。
昨日の夜から遅くまで、明希と二人で色々と楽しんだら、お昼近くまで寝てしまった。
「明希?」
あたしは、寝ぼけまなこで、一緒に寝ていた明希を探した。けど、先に起きたのか姿が見えない。
散らかっていたはずの服も、明希が片付けたのか見当たらなあった。
「んー、どこ行ったのかな?」
あたしは下着とルームウェアを出そうと、ベットからよろよろ這い出した。
ベットから出ると、焦げ臭い臭いが鼻をついた。
「ん? なんか? こげ臭い?」
まさか火事!
慌てたあたしは、裸のまま寝室を飛び出して、リビングに向かった。
「おはよう、環」
「おはようって、明希、なんか焦げてる?」
リビングに行くと、明希が二人分のお皿を持って立っていた。
「いや、その、朝食をね」
明希が恥ずかしそうに、お皿をテーブルに乗せた。
「火加減が分からなくて」
焦げたトーストとベーコンエッグが、お皿に収まっていた。
「食べてくれないかな?」
そう言うと、明希はそっとあたしにキスをした。
「うん」
あたしも嬉しくて、キスを返す。
「その前に、服を着させてね」
終
更新が遅くなって、申し訳ありません。
次回は11月ごろに新作を公開予定です。




