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インターネットを騒がす痴漢冤罪告白動画の女性は
5年前から行方不明になっていた!
「これから死にます」宣言した女性は今どこにいるのか?
痴漢冤罪の被害を受けた男性に直撃取材!
幾つかの週刊紙が中村真実の動画に関しての記事を掲載し始めた。
中村真実の同級生に取材すれば痴漢冤罪被害者とされる渡辺和則に辿り着くのは難しい事ではない。
中村真実の動画内における犯罪告白が自発的なものではなく
脅迫、強要されたものであった場合、脅迫、強要をする動機が最も強いと思われるのは
痴漢の罪を擦り付けられた渡辺和則自身だ。
週刊紙の取材は表面上は痴漢冤罪事件の被害者に同情しているような振りをしつつ
誘拐拉致監禁、ひょっとしたら殺人、死体遺棄の犯人かもしれない
という予断に満ちたものだった。
最も渡辺和則自身は「興味ありません、もう関わり合いたくないので勘弁して下さい」
と能面のような表情で繰り返すばかりで
週刊紙の取材班の悪意ある質問や煽りは完全に空回りという結果だった。
警察も中村真実のあの動画を撮る動機があるのは渡辺和則だというのは想定しているからこそ
参考人として再三出頭を要請しているわけだが参考人としての出頭要請は任意であるために
渡辺和則にはそれに応ずる義務が必ずしもなく、実際に出頭要請は拒否されている。
あの動画だけを証拠に監禁罪、強要罪の証拠として逮捕状を請求するのは難しい。
いや裁判所に逮捕状を請求すれば恐らくは降りるだろうが逮捕した後に起訴まで持っていくのは難しい。
逮捕して、自供を引き出せれば話は別だが渡辺和則は二度目の痴漢冤罪の時に徹頭徹尾痴漢を否認し続けた。
同じように今回も罪を認めなかった場合、あの動画だけで起訴まで持っていくのは不可能だ。
そもそも中村真実が殺されたり怪我をさせらていた証拠もないし、
そもそもあの動画を渡辺和則が撮影した証拠もない。動機があるだけだ。
動機があるだけで有罪に出来るなんてどこの独裁国家だ、という話になる。
しかし、そうは言っても大抵の国民が期待するのは犯罪者の処罰であって容疑者の人権擁護ではない。
ことにテレビ番組までが疑惑の事件として煽り立てた始めたらそれが顕著になる。
「声の分析によるとこの女性は極めて高いストレス環境下にあると推定されます」
「アメリカのCIAがイスラム原理主義者によるテロ捜査をした際には拷問を用いた尋問があり、
その際の映像と比べると・・・」
「画像に肩から下が映っていないのは拷問の形跡を隠す目的が・・・」
女性のプライバシーに配慮したのか動画が衝撃的過ぎるからか
ほとんどテレビ番組は中村真実の動画をそのまま使わずにイラストと文字起こししたセリフで紹介していたが
映像を分析したり解説する専門家の指摘は視聴者の想像力を大いに刺激した。
痴漢冤罪被害者の男性が動画の作成に関与していたんじゃないの?
男性本人じゃなくてもその男性の親しい人、関係者が関わってるんじゃないの?
警察は何をやってるんだろう?
警察は何故痴漢冤罪被害者の男性に事情を聞かないんだろう?
そんな声が高まりつつあるなかで警察は苦渋の決断をした。
別件逮捕である。