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真実の行方  作者: hiraji
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三日後、浦和警察署で西武警部補は七瀬巡査部長から報告を受けていた。

といっても正式なものではなく、缶コーヒーを飲みながらの雑談のような形での報告だった。

「渡辺和則の会社の社長は電車で痴漢したと噂になって辞めたらしいですね。

その場で警察を挟まずに示談したらしいので記録は残っていませんが路線は渡辺和則が痴漢で逮捕されたのと

同じ路線と同じ時間帯のようです。

アイクロソフトは匿名掲示板等で自社のゲームハードのユーザーが

何故か痴漢とあだ名をつけられているのを気にかけていてそれだけに噂レベルであっても、

示談済みであっても許されなかったようです。」


「共犯者は社長だったのか・・・・」


西武警部補はしてやられたな、と思った。

泊まり込みで仕事をさせていたのではなく匿っていた?

渡辺和則が取り調べの時に勾留期間延長で何日も出勤できなくても

仕事をクビになることを全く恐れてる様子が無かったのは

そもそも社長が共犯だったからか?

西武警部補が自分の迂闊さに腹を立てていると柳沢検事が声を掛けてきた。

「西武警部補、難しい顔をして何か問題があったのか?」

西武警部補と七瀬巡査部長は反射的に敬礼した。

「いえ、特には・・・」

一瞬、渡辺和則が勤める会社の社長の共犯疑惑について話そうかとも思ったが

渡辺和則の裁判で完敗して恥を掻かせてしまったばかりなのを考えて

もう少し詳しく調べてからにしようと西武警部補は思った。

「そうか、俺の方は少しだけ良いことがあったよ。」

柳沢検事は聞いてくれと言わんばかりに目を輝かせて話を振ってきた。

社交辞令として七瀬巡査部長が「何かあったんですか?」と尋ねた。

よくぞ聞いてくれました、ぐらいの勢いで柳沢検事は語りだした。

「下の弟がな、7年前に相手の女性から婚約破棄されてそれ以来引きこもりがちだったんだが

やっと新しい就職先が決まってな。」

西武警部補は初めて聞く柳沢検事の弟の話と弟を大切にしてるのがよく分かる

柳沢検事の話ぶりに引かれて会話に参加した。

「良かったですね、しかし婚約破棄ですか、酷い話ですね。」

柳沢検事は当時のことを思い出したのか顔をしかめながら語りだした。

「あぁ、弟が京浜東北線で痴漢冤罪を擦り付けられてしまってな。

示談はしたんだがどういうわけか相手方にそれが伝わってしまって・・・」

驚いた表情の七瀬巡査部長を見ながら

俺も今あんな表情をしているのかな、と西武警部補は思っていた。

「弟さんの再就職先は・・・」

不安を圧し殺しながら西武警部補は声を振り絞った。

柳沢検事はニッコリと笑いながら西武警部補の目を見つめながら

「MATソフトとか言う小さなゲームソフト会社らしい。弟が立ち直ってくれて私は本当にホッとしてるよ」

と言い切ってから立ち去っていった。


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