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よく似てるけど別人
それが中村幸代のマミちゃんと呼ばれるGIF動画に対する認識だった。
娘である中村真実が行方不明になって4年あまり。
娘からのSNSもメールも電話も全く無いのは幸代の心身を強く蝕んでいた。
娘は行方不明になる少し前に職場で不倫が発覚し、不倫相手の奥さんから慰謝料を請求されていた状況だった為
警察は単なる家出と決めつけてやる気の無さを隠そうともしてなかった。
「一応捜索願いは受理します。パトロール時の職務質問や交通違反等で
真実さんを確認出来たらその旨報告しますが
娘さん御本人をここに連れてきたり
娘さんにご家族に連絡するよう強制することはできません。ご理解下さい」
ウチの娘は慰謝料請求されたくらいで凹んだり逃げ出すようなタマじゃない！
母親自身にその確信がどれ程強くても、それが警察を動かす力にはならなかった。
独り暮らししていた部屋は荒らされてもなく
財布や預金通帳や着替えが旅行バッグと共に持ち出されている。
それでいてスマホは目立つように部屋のテーブルの真ん中に置かれたままになっていて
それは残された人達からの連絡を拒絶する決意を示しているかのようだった。
そしてそれらの状況は全て自発的な家出を示す証拠としてみなされ
結果として、中村真実が何らかの犯罪に巻き込まれたと信じているのは母親一人だけという状況だった。
そんな中、母親の親戚から
「インターネットで真実ちゃんの動画が流れてる」
として件のGIF動画を見せられたのだが
泣きながら何かをアピールしてるだけの短い動画は
攻撃的で、男女問わずに誰かを泣かすことはあっても泣かされることはない
という母親自身の娘に対する印象とあまりにも掛け離れていた為に
娘とよく似てはいるが別人だろうと母親に判断されることになった。
しかし、その後母親はそのGIF動画がマミちゃん動画と呼ばれていることを知り
実際にその動画の女性が娘であるか否かは別として
警察に娘の捜索をさせるための口実として
その動画を利用すること思いついた。
4年以上の間一度も銀行口座からお金が引き出されて無いこと。
クレジットカードの使用履歴もなく、自動車免許の更新すらしていないこと。
にも関わらず娘の動画が今出回っているのはおかしい、あの動画がいつどのように録られたものか
警察の方から確認して欲しい。
恐らく母親が一人で行ったら門前払いだったと思われるが
娘が行方不明になってから熱心に勧誘してくるようになったとある宗教団体の幹部が
宗教団体の支援で当選した県議会議員に話をしてくれて
その議員の名刺を見せたおかげかどうかは分からないが
今回は警察側も前向きに話を聞いてくれて動画に関して捜査がされることになった。
そしてそれは日本中を騒がすスキャンダルの導火線に火が付けられた瞬間でもあった。
