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真実の行方  作者: hiraji
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1:牛丼屋のトイレで変装した時にトイレに残したスポーツバッグ

2:牛丼屋の防犯カメラ画像

3:インターネット喫茶の防犯カメラ画像

4:インターネット喫茶で提示された中村真実名義の偽造された運転免許証

5:その人物がインターネット喫茶で操作したパソコンの操作履歴


これだけあれば恐らく渡辺和則に対して運転免許証の偽造と行使で立件出来るし

渡辺和則が海外の動画サイトにアップロードされていた中村真実の動画を削除出来た

ということは動画を投稿したのも渡辺和則であり

(動画投稿時に投稿した本人がパスワードを設定し、

そのパスワードが無ければ投稿した動画を削除出来ない)

そうなると渡辺和則自身がその動画の撮影をしたか、撮影した人物と知り合いである可能性が高い。

少なくとも中村真実の動画を入手した経緯について渡辺和則は説明しなければならないだろう。


「渡辺和則の身柄を拘束するのはまだ早い」

しかし、西武警部補の判断は慎重だった。

「動画を投稿すること自体は違法ではないし免許証の偽造や行使に関しては有罪が取れるだろうが

肝心の中村真実の行方が分からない。

児ポ法違反の時のように完全黙秘された場合、中村真実の件に関しては何の罪で立件すればいい?

誘拐か?殺人か?傷害か?強要罪か?

中村真実が今どこでどうなっているのか分からない状態で渡辺和則を逮捕するのは危険だ。

俺たちはまず中村真実の行方を突き止めなければならない。」

西武警部補の説明を受けて捜査員達は改めてこの事件の捜査の難しさを噛み締めた。


「ちょっとよろしいですか?」

七瀬巡査部長は立ち上がりながら発言の許可を求めた。

西武警部補は大きく頷きながら右手をどうぞとばかりに差し出して

ジェスチャーで発言の許可を出した。

「中村真実の行方についてですが・・・」

七瀬巡査部長はその先を話すのを少し躊躇っていた。

西武警部補は黙って七瀬巡査部長が話を続けるのを待った。

「渡辺和則には母方の祖父母から相続した家があります。

茨城県の水戸の先、七会村という山の中にあるような田舎ですが。

自分は現地に行き、その家の隣の家、隣と言っても50メートル以上離れてはいますが

その家で聞き込みをしました。

その家に住む老夫婦の話によると渡辺和則はここ何年か春分の日、

又は春分の日の前日だったり翌日だったり多少は前後するようですが

必ずその頃に七会村の別荘に帰って来てるようです。」

七瀬巡査部長は一旦話を止めて会議室の反応を見回した。

「言うまでもないですが春分の日というのは中村真実が失踪したと思われる日に当たります。

そして老夫婦によると渡辺和則が毎年来るようになったのは4~5年前、

2020年の中村真実が失踪した年からのようです。」

「その家は普段は無人なのか?人の出入りはあるのか?」

西武警部補は険しい顔をしながら七瀬巡査部長に質問をした。

「無人です。渡辺和則は老夫婦に庭の草刈りをお金を包んで頼もうとしたんですが

老夫婦の方は渡辺和則の祖父母と仲が良かったようでお金を断ったそうです。

その代わりでしょうが渡辺和則はかなり高価なお中元やお歳暮を欠かさず贈ってるようで

老夫婦は渡辺和則に良い印象を持ってるようです。」

「渡辺和則は春分の日に帰って来て何をやってるのか老夫婦は知らないのか?」

捜査会議に出席してる捜査員が七瀬巡査部長に質問した。

「渡辺和則本人は特に用事がある訳では無いと老夫婦に言っていたそうですが老夫婦の予測では

猫、又は犬の墓参りじゃないかと言ってました。

なんでも渡辺和則が訪れた後に庭の手入れに行くと線香の灰が猫、又は犬の墓と思われる石の前に落ちてるからと。」

会議室の空気がピンと張り詰めて来たのを感じながら七瀬巡査部長は続けた。

「2020年頃の春に来た時、渡辺和則は件の家の庭に車で跳ねてしまった猫の死体を埋めに来たそうです。

当初老夫婦の間で猫か犬かで記憶の食い違いがあったのですがその原因が

妻の方は渡辺和則から猫と聞いていて

夫の方は庭を掘り返した跡の大きさから

犬だと思い込んでいたからのようです。

夫の話によるとレトリーバーかなんかの犬じゃないかと。」

会議室の空気が入れ替わったかのようにやる気に満ちてきた。

「これさぁ、中村真実が失踪した直後にちゃんと捜査してればとっくの昔に解決してたんじゃないか?」

会議室にいた若手捜査員が呆れたような声で言った。

「免許証偽造及び行使の容疑で渡辺和則に逮捕状を請求、

それとあの家が偽造するための場所だった可能性がある、ということであの家の家宅捜索令状も請求する。」

西武警部補は家宅捜索の手順や段取りを考えながら必要な書類の準備を始めた。


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