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その動画が注目された理由はとあるゲームだった。
西暦2003年頃にヒットしてコアなファンが多数いるゲームが20年ぶりにリメイクされたのだが
そのゲームの出来が極めて悪くてSNSや掲示板で多数の、強い批判を受ける所謂"炎上"状態になったのだ。
オリジナルのゲームのファンで、リメイクの出来の悪さに失望と怒りを感じたとあるアメリカ人が
自らのゲームブログにリメイクの批判記事を書く時に
かつて中東に住んでいた頃に見た動画を思い出した。
アジア人の女性が泣きながら何かを語る動画だ。
あれにリメイク批判の文章の字幕を付けてあの女性がリメイク批判をしているかのような動画を作ろう。
ゲームブログ主はそう思い付いた。
が、実際に作業を始めると時間が思ったよりも掛かりそうとの判断から
彼は方針変更して動画の一部を切り取り、ほんの数秒のGIF動画として使うことにした。
『リメイクにガッカリして号泣するファン』を表現するそのGIF動画は何故か人気になり
インターネットミームとして、ゲーム批判とは無関係な話題でも『失望させられた、ガッカリした』という文脈で海外で度々引用されるようになった。
日本においては主に巨大匿名掲示板のゲームカテゴリーの住民がそのGIF動画を使用していた。
ただ海外と違った点はそのGIF動画に固有の名前が付けられた上で拡散されていったところだ。
必死な名無しさん:GIF動画の女の子、高校の時の同級生に似てる。
必死な名無しさん:マジかw
必死な名無しさん:うん、マミって子。
必死な名無しさん:じゃあこのGIF動画の子はマミちゃんってことでw
必死な名無しさん:ファインゲームスはマミちゃんにごめんなさいするべき
必死な名無しさん:マミちゃん泣かすファインゲームスは鬼畜
このやり取り以降、そのGIF動画はリメイクされたゲームがアップデートとパッチで修正されるまで
『マミちゃん』という名前で拡散していった。
そしてGIF動画としてゲームファンのみに注目されていたその動画が更に注目を集めることになったのは
リメイクされたゲームが発売されてから一年後、動画が投稿されてから4年半経ってからだった。