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真実の行方  作者: hiraji
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渡辺和則の高校生時代の同級生や隣人への聞き込み

渡辺和則の現在の職場の同僚や隣人への聞き込み

中村真実の高校生時代の同級生や隣人への聞き込み

中村真実の失踪当時の職場の同級生や隣人への聞き込み

それらと並行して渡辺和則のアパートから押収したパソコンやDVD等及び

インターネットに拡散した『真実ちゃん動画』の詳細な分析も行われた。

殺人事件と断定されていない為に公式に捜査本部とはなっていないが

投入されている人員や予算はいつの間にか殺人事件の捜査本部と遜色ないものになっていた。

日本中の注目を集めてしまっている事件だけに埼玉県警からも何人も人員が派遣されてきていた。


「こうして見ると渡辺和則は物凄く良い人に見えるな。」

上がってきた聞き込みの結果をまとめた報告書を読みながら西武警部補は思った。

家宅捜索の時やその後の取り調べの時の全く警察の権威を恐れずに

無表情で黙秘を貫く頑なな態度とは裏腹に

職場に於ける渡辺和則は周りの人に親切で微笑みを絶やさない人物であるらしい。

高校生の頃も同様であったらしく、殆どの同級生が

「アイツが中村真実を痴漢したなんて信じられない」と口を揃えて証言していた。

渡辺和則に批判的だったのは中村真実と親しく付き合っていた何人かの女子生徒のみであった。

渡辺和則の無罪を信じて具体的に動いた同級生も何人かいて

その同級生達の要望であった駅前の本屋の防犯カメラが同級生達の要望通りに調べられていたら

渡辺和則の痴漢冤罪は証明されていたかもしれなかった。

が、学校側は罪を認めない渡辺和則の態度を反省の色がないと決めつけて退学処分にしようとした。

渡辺和則の母親が学校に抗議に行った時には逆に母親が泣かされて追い返されたという。

母子家庭で育った渡辺和則はその件でかなりショックを受けたようで

そのことがあった後に高校を自主退学し、大検を受けて高校卒業資格を得て

アルバイトをしながらプログラマー専門学校を出てゲームソフトを制作する会社に入社した。

大手の下請けといった会社だったが幾つかのヒット作に携わり

ゲームマニアの間では技術力のあるディベロッパーとして知られるようになり

渡辺和則は順調にキャリアを積んで暮らし向きは豊かになっていった。

やがて結婚をし、子供も産まれ、結婚相手の実家がある茨城県に中古の一戸建てを買った。

が、中村真実に対する痴漢で有罪判決を受けた後にそれらを全て失っている。

尚、『真実ちゃん動画』では触れられていないが渡辺和則が実刑判決を受けて収監されている間に

渡辺和則の母親は自殺している。

そして懲役を終えて出所して数ヵ月後、今のゲーム会社に拾われるように就職して今に至る。

渡辺和則の会社の同僚は仕事の打ち上げの酒の席で

「痴漢で捕まって、文字通り全てを無くしてガチで自殺しようと思ってた時に

この会社の社長に拾ってもらった。

だからもう寿命で死ぬか、社長に出て行けと言われるまでこの会社の為に働くつもりだよ。」

と語っていたと証言した。

実際に社長が絶対に無理だろうというスケジュールの仕事を振っても

不満の顔をちらりとも見せずに引き受け、何日も徹夜をして仕上げたり

それでも間に合わなくて社長にドヤされても真摯に謝罪して反論すらしない。

そしてそんな状況でも同僚の仕事の内容や進捗のチェックも欠かさず

必要なら同僚の仕事のフォローも忘れなかった。

同僚の仕事を手伝ったり相談にのっても嫌な顔もしないし恩着せがましい態度も取らず

穏やかに微笑みながら仕事を回す。

「この会社は渡辺和則さんがいなかったら5回くらい倒産してると思います。」

「自分等が人並みの仕事量で済んでるのは渡辺和則さんがいるから。」

社長がおかしい、無茶な納期の仕事受けて皺寄せが全部渡辺さんに行ってる、

みたいな話になると

「俺には仕事以外にやることないからこれくらいで丁度良いんだよ、

その分お前らが私生活を充実感させればいい。だから辞めないでくれよ?」

等、良く言えば聖人君子、悪く言えば社畜の鑑と言いたくなるような利他的な仕事ぶりだったようだ。

その逆に社長を褒める声は殆ど聞かれず、渡辺和則の質問から始まって社長への愚痴で終わるのが

渡辺和則の同僚への聞き込みでは御約束になっていた。

社長本人への聞き込みは未だに出来ていない。

電話しても早く渡辺和則を釈放してくれないと困る、これで会社が潰れたらどうしてくれるんだっ!

と怒鳴り散らされるばかりで

まともな話が出来る状況ではなかった。

そしてそれとは対称的に中村真実の方の聞き込みの方から浮かび上がる彼女の性格は最悪だった。


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