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真実の行方  作者: hiraji
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渡辺和則のアパートの前で張り込みしていたマスコミは数人だった。

手錠を掛けられ、捜査員の車に乗せられる姿の写真が何枚も撮られただろうが

渡辺和則は全く気にした様子がなかった。

浦和警察署前はテレビカメラも交えた取材陣が大挙して押し寄せていて

中村真実失踪事件の進展を日本中に伝えようと待ち構えていた。

家宅捜査から逮捕までのシナリオを誰かがマスコミにリークしたとしか思えない状況だった。

「多分、西武警部補なんだろうな」

七瀬巡査部長はそう思いつつ前を走る渡辺和則を乗せた車が浦和警察署の裏口ではなく正門から入るのを

見送った。

「この車は裏口から入ろう」

七瀬巡査部長は運転手に指示しつつフラッシュを浴びまくる渡辺和則の車から目を逸らせた。


取調室についても渡辺和則は平静なままだった。

「先に言うことがあるんじゃないですか?」

取り調べを始めた捜査員の発言に被せるように渡辺和則は発言した。

眉間に皺を寄せて渡辺和則を睨み付けた捜査員に全く臆することなく渡辺和則は続けた。

「刑事訴訟法第198条2項、取調に際しては、被疑者に対し、

あらかじめ、自己の意思に反して供述をする必要がない旨を告げなければならない。

任意の事情聴取ならともかく逮捕されてからの取り調べなら黙秘権の告知が義務でしょう?」

捜査員は不機嫌さを隠そうともせずに黙秘権があることを棒読みで渡辺和則に告げた。

「分かりました。では僕は黙秘権を行使します。」

捜査員の黙秘権の告知が終わるや否や渡辺和則はそう答えて黙りこんだ。


取調室の隣にある部屋

マジックミラーで取調室の様子を見ることが出来る部屋には

西武警部補と七瀬巡査部長の他に二人ほどの捜査員が取り調べの様子を見ていた。

「いつまで持つかなw」

「稀にいるよな、あぁいうタイプ」

二人の捜査員が小声でやり取りしているのが聞こえるが西武警部補も七瀬巡査部長も無言だった。

ヤバい橋を渡ってるという自覚のある西武警部補と七瀬巡査部長にとって

渡辺和則が自供するかどうかは死活問題であり気楽に予想を楽しめる立場ではなかった。

児童ポルノの単純所持自体は自供無しでも有罪に出来ると多くの捜査員が考えている。

何しろ現行犯で現物があるのだから。

彼らの興味は既に中村真実失踪に関与したことを認めるか否かに移っているし

仮に中村真実失踪への関与が証明できなくても最悪児童ポルノ単純所持で起訴すればいいとしか考えてない。

しかし、西武警部補と七瀬巡査部長の二人は児童ポルノ単純所持の証拠が偽造されたものだと知っている。

一刻も早く中村真実失踪に関与したかどうかに関しての取り調べをしたいのに

その前座である児童ポルノ法違反の段階から取り調べが進まないのは

かなり不味い状況だった。

なるべく早く押収したパソコンやDVDの解析から渡辺和則を揺さぶるような証拠を見つけて

それを渡辺和則に叩きつけてやらなければならない。

西武警部補はマジックミラーの部屋を出て

押収したパソコンやDVDを解析するために捜査チームに割り当てられた部屋に向かった。

「西武警部補、どう思います?」

西武警部補を追い掛けるようにして来た七瀬巡査部長は質問した。

「アイツは中村真実を殺してる。間違いない」

西武警部補は七瀬巡査部長にだけ聞こえるように答えた。

あまりにもキッパリと断言する西武警部補に七瀬巡査部長は驚いて聞き返した、

「何か根拠があるんですか?」

西武警部補は直ぐに返答せず、暫く無言のまま廊下を歩いた。

目的地であった捜査チームに割り当てられた部屋の前に着いた時

西武警部補はドアを開けるかどうか迷った後に

結局ドアを開けずに七瀬巡査部長に向かって声をかけた。

「少し、屋上で話をするか?」

七瀬巡査部長は屋上で西武警部補が渡辺和則が中村真実を殺したと考える根拠を教えてくれるのかと考えて

大人しく西武警部補と共に浦和警察署の屋上へ向かった。

屋上に出ると西武警部補は東北本線を走る電車を見ながら七瀬巡査部長に告げた。

「信じられないだろうし証明も出来ないんだが俺は人殺しをした奴が"分かる"んだ。

霊感とか超能力とかそういう類いの力だ。」


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