前書き
はじめまして。
君は男性だろうか。それとも女性だろうか。僕には確認する手段が無いけれど、妹が好きな人、ということだけは分かる。
どれくらい好きなのかな?
僕は、まあ、タイトルの通りだよ。
早速だけど。
まずは、礼儀として商品の概要を述べる。こんな作法は存在しないけれど、僕自身に何度もイラッとした経験があるからね。
タイトルにある妹は、実妹だ。
血が繋がっていないという設定は無い。
舞台は現実世界で、僕は社会人だ。
異能力とか、そういう舞台を期待している方々には悪いけれど、これから記される物語は、ありふれた現実の物語だ。
ありふれた。この言葉は誤解を生みやすい。大人の方々には蛇足だろうけれど、あえて説明する。
常識という言葉を好んで使う人がいる。
たかだか十人かそこらのコミュニティから得たルールが、まるで八十億人が共通して持つルールであるかのように述べる人がいる。
前振りで分かる通り大きな間違いだ。
世界には漫画の主人公みたいな超人も、ハーレムラノベみたいなコミュニティも実在する。
現実は小説より奇なり。
これから記される僕の日常は、君の非日常に違いない。
さて、なかなか奇抜な導入だったけれど、この文章を読んでいるのなら、少しは興味を持ってもらえたのかな?
もしもそうなら、とても嬉しい。
僕は、どうしても、この物語を届けたい。
どうか僕の無様な失敗を笑ってほしい。
妹の稚拙な努力を見て微笑んでほしい。
ただ、留意してほしい。
この物語は喜劇ではなく悲劇だ。
だけど誰一人として立ち止まらなかった。
だから、笑ってくれ。僕が、僕達が歩んだ悲劇を笑い飛ばしてくれ。
前書きは、これで終わりだ。
早速、次のページから本編を始めるよ。
妹の為なら死ねる。
これは、ありふれた兄妹の物語だ。