オトナノハツコイ
あたしに足りなかったモノ…
意地とかプライドを捨てる1%の勇気。
『行かないで』
たった一言、素直に伝えられたら何か変わってたのかな?
プルルルル…
着信音を変えていないままのあたしの携帯が鳴る。
『先輩からだ…。』
彼氏と別れてから、婚活という名のコンパのお誘いが増えたあたし。
この時間、このタイミング。きっとまた(あのお誘い)に違いない。
そう思いながら電話にでる。
『もしもし?』
『あ〜明日ね婚活あるんだけどどうする?会費制みたいなんだけど〜』
…やっぱり。でも暇だし、友達、増やしたいしなぁ。
『行きます!何時ですか?』
『ぢゃあ8時ね!』
ホントに友達作るのが目的だから、相手とか聞くことさえ忘れてた。
でも…ま、いっか。
とりあえず参加することにした。
これが始まりだった…。
会場は行きつけのBar。
人、人、人、ヒト…。
いつもこんなにヒトいったっけ?
とりあえず先輩を探す。
『めーこ〜!!こっち!』
呼ばれると受付へ案内された。
『2500円になります』
言われるがまま払うあたし。自動的にピンクのハートとペンを渡される。
『ん?なにこれ??』
『名札!あだ名でいいよ』
またまた言われるがまま、めーこと書く。
『席離れるんだけどいい?』
『え…?』
会場3分。
計算されたかのように知らない人の中で無言で始まるのを待つ。
暇なのでとりあえず人間観察。
『みんな年上かなぁ〜気合い入ってんなぁ…』
落ち着いたところで状況確認。
『これって昔で言うお見合いパーティーぢゃん!!』
チョット動揺しながら
こんな経験出来ないし…と参加続行を決意。
『では〜始めたいと思います。今日は楽しんでいってくださいね!』
司会の人が登場しスタート。まずは自己紹介かららしい。
『1番からだから…33番のあたしはまだまだやなぁ〜』
のんきに構えてたらすぐに出番がやってきた。
とりあえず可愛く愛想よく!
『めーこです。宜しくお願いします』
『次は男性おねがいしまーす!!』
何だか冴えないヒト達が
自己紹介を始める。
今回は友達もあやういかなぁ…
ひたすらジュースを飲む。
飲み放題だし、飲まなきゃもったいないでしょ!
2500円分、元とらなきゃ!
からっぽになったグラスを眺めてると、目があった。
気のせいか…
そう思い、先輩の隣へ移動する。
先輩は4、5人のグループになって盛り上がってた。
『こっち、こっち〜』
呼ばれるがまま、隣に座る。
『ゲームしま〜す』
司会のはりきった声が響く。
『2分以内にたくさん異性に話しかけて、ビンゴの紙の枠に名前を書いてくださ〜い』
ビンゴするには名前がないと始まらない。
手当たり次第に名前を尋ねて書いていく。
全部埋まったとこで
『席に戻ってくださ〜い』
戻りかけた時、背中を叩かれる。
『名前、教えてもらってい?』