涙すら出ないよ
金に支配された人々のその醜い様相
漏れなく、僕もその一人ということを忘れて
俯瞰したつもりでいた
醜さの塊以外の何者でもない
有り触れたその世界の君と
僕と今までを忘れて
涙すら出ないから
薄情さも醜さも貴方らしさも
ここには何もない
濡れたアスファルトの隙間から咲くのは
この世のものとは思えない惨めな私
六月、まだ早い風鈴の音
反射した光が苛むのは希望
コーラの瓶の蓋が
乾いた音を立てて叫んだ声が
もういきたくないと聞こえたのは
きっと僕が命を吹き込んだから
自分が全ての支配者になったつもりで
少し上から俯瞰しているつもりで
そこが全ての底辺ということも忘れて
喚き散らすのはどうして、どうして