No1
帝国が消えてから数日後
元帝国ではお祭り騒ぎだった。
そんな中、喫茶店で優雅にコーヒーを飲んでいる男がいた。男の名はクロハと言う。
クロハは黒髪黒目で、顔は普通よりはいいと自負している。
この男、実は帝国を滅ぼした一人である。
「今回の仕事も簡単に終わったな。」
クロハはコーヒーを飲みながら街に目を向けた。
窓の外では街で騒いでいる男達がいた。
「まさか黒の住人が帝国を滅ぼすとは思わなかったな。」
「確かにな、でもあの貴族どもを潰してくれたからいいじゃねえか。」
クロハはそんな男達の雑談を、微笑を浮かべた顔で聞いていた。
「でもまさか、黒の住人に他国から刺客を放つとは思わなかったな。」
クロハは男の言葉に唖然とした。
(何故だ。確かに人を殺しているのだからそれぐらいはあると思っていたが、まさか他国からとはな。)
クロハは久しぶりに動揺していた。
しかしクロハはすぐに冷静になり、帝国を出ていく事に決めた。
「とりあえず次の狙いはクリミスチル王国かな。勇者召喚するって噂だし。そこを潰すとするか。」
まさかそこで運命を左右する女と出会うとは思わなかったクロハであった。