08 家族への愛が今試されている。
その日衝撃が走った。
エルとミルがスカート捲りの被害にあっていた。
殺すか、と考えたら嫁に頭冷やせと言われたが実は嫁も被害にあったことがあると聞いて更にトんだ。
そもそもうちの奥さんは大変モテる。砂糖菓子に群がる虫のように男が湧いて出てくる。
だが奥さんは天然のシールドを発生させて昔から逃れていたらしい。
俺は運が良かった。ルゥナさんに聞いて本当に思った。
ライラの幼なじみは結構いる。仲が良いのは女性だが、男も多い。寧ろ田舎の方が都会よりも兄弟が多いのだから当たり前か。
そのうちの3分の2はライラに惚れていた。
つまりこの数だけライラのスカートの中身を見ていたのだ。
殺すしかない。
一応俺は記憶を遡る。そもそもスカート捲りなんてする程のガキの頃、記憶に残っているのか?
……兄貴がやってオヤジに殴られてたなそういえば。
あ、これ覚えてるわ。覚えてるヤツだわ。ダメなヤツ。
有罪。
可愛い可愛いエルが可愛いくてちいさなお手てで俺の頭に濡れた布を乗せてくれる。
心配そうな目が心に痛い。大丈夫だよと言って頭を撫でてやるがあまり効果はない。これは此処で一緒に寝るかな。
おいで、とすると俺の布団の中に潜ってギュッとしがみついてくる。心配かけてごめんな。
……うちの嫁と娘たちに手を出したヤロウは絶対に潰すから安心しておやすみ。
スヤァと眠るエルを撫でていると、扉が開いた。
暗闇に二つの影。
「ミル、どうした。寝れないのか?ライラ?」
エルを起こさないようにゆっくりと手を伸ばすと、ライラが手を取った。うん?
「アナタ……まさか変な事考えてないでしょうね。」
「………………いや?」
「誤魔化しましたね?伊達に何年も一緒にいませんよ?」
「し、静かにしよう?エルが起きる。」
むっすりとしている奥さんが可愛い。信じられるかこれ俺の嫁なんだぜ。
「パパ。」
ミルがゆっくりと近付いてくる。
「今日1人シメた。褒めて。」
キラキラした目でねだってきたので頭を撫でてやる。可愛いな。
エルの隣に潜り込んできた時にライラから責めるような目を向けられた。ソッと目をそらした。追いかけてきた。ほっぺにキスした。アッパーをくらった。
「久し振りにみんなで一緒に寝るか。移動するからライラ、奥。」
「後でお話があります。」
むっすりしながらいそいそと場所を交換する。壁側にライラを詰めて、エル、ミルの順。よし。
「おやすみ、ライラ、エル、ミル。」
「おやすみなさいアナタ、ミル、エル。」
「おやすみなさい、パパ、ママ、おねえちゃん。」
静かに夜は更けていった。
「ぜったぃ……ゆるさな……つぶして……はいつくば……。」
これは俺の影響なのかなぁ……。
奥さんな視線が痛い夜が更けていった。




