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01 姉が天使だから胸がツラい。

この世界は乙女ゲームの世界だ。

しかも私が十何年も昔にやった乙女ゲームの世界だ。

テンプレが真新しく、ありきたりが目新しい、そんな時代のゲーム。

勿論スマホもアプリゲームも存在しない時代観。

というか現代ですらないのが最大の肝か……。


中世風味のごちゃ混ぜなんちゃって剣と魔法のファンタジー世界。

その名も"お茶会の(ティーパーティー)ワルツ"。

その世界のヒロインこそ私の……姉である。


昔から姉はその極悪なヒロイン(ぢから)を発揮していた。

私は2歳下な為、姉が2歳からしかその姿を見ていないがそれはもうまず見た目が天使だった。因みにこの時代のゲームではヒロインがピンクの髪というのは珍しくない……というか鉄板の流行り設定だったとでも言うべきか。姉も例に漏れずピンクヘアーのかわいこちゃんだった。

ゲーム設定の"平凡な少女"というのが見た目ではなく地位であるというのが良くわかる。

二次元だった時は「まぁイラストだしね……。」で納得していた見た目は嘘ではなかったのだ。

私が産まれて初めて見たものは姉であるエルナーデの最強の笑顔。

自分のロリコンを心配した産後だった。


田舎のログハウスな一軒家に生まれた私達は溺愛する父と母に囲まれ幸せに暮らしていた。

此処はグラース領という土地の紅茶の産地の片田舎らしい。父が雇われの茶摘みで母は専業主婦でハーブなんかを庭に植えていた。

そんな職場環境の家庭であるから、日頃から母のブレンドティーを飲んで過ごしている姉は「お母さんのお茶がいちばん!」と笑顔だ。かわいい。

こんな姉が、10年もしたらどこぞのボンボン共に好かれてしまうのだと知っている私は「やめて、そんなに隙を見せないで……!」と不安になってしまうのだが天真爛漫な姉を見ていると何も言えなくなってしまう。

かわいいは全てが赦されるのだ。私は信じてやまない。

聞いてほしい、あれは私が0歳の頃の事だ、私が姉の可愛さにノックダウンしている時に、姉はほにゃりと笑い、


「みー?える、おねえちゃ!」


と宣言のように自己紹介したのだ。

それがもう可愛くて可愛くて可愛くて……。

エルナーデが3歳の頃にもなると、1歳のハイハイしている私のところに来ては、


「えるはねおねえちゃんだからね みーといっしょいるの!」


といって、ハイハイする私を撫でたりおむつ交換を手伝ったりと世話をしてくれていた。もう感極まるやらなにやら……。

更に1年後にはたしたし歩く私をその有り余るヒロイン力で、


「みー、おねえちゃんはこっちだよー。おいでー。」


と両手を広げて私の目標地点で待っていてくれた。最早絵画の如き愛らしさだった。

私は決めた。この姉には害虫を近寄らせないと。

近所でも評判の幼女の姉には村内だけでも害虫が多すぎた。

約10年後に迫り来る姉最大のモテ期。最大限のサポートで姉の恋を応援するのだ。


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