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魔剣~魔女と剣士が旅をする物語~  作者: 氷刃竜
出会いから始まりへ
13/22

剣士の怒り

大変、お待たせしました。自分なりに“一人称”に執筆しました。

 う、う~ん………。ぽーっと意識が戻ってきた。目を開けて見たものは………天井だ。背中が柔らかい……ということはベッドの上で寝ているのか?

「あっ、気が付いた」

 そこに小さな女の子が覗いてきた。あれ、この子は………呪いで苦しんでいた子だ。

「お父さん、お母さん、お兄ちゃんが目覚めたよ」

 その子の呼ぶ声でご両親が慌てて駆け付けてくれた。

「ああっ、目覚めた」

「よかった」

 俺が目覚めたことで喜んでいる。この親子がいると言うことは………この親子の家ということか。ここで世話になるのは二度目だ。

「あのう、ここは………俺はここで寝ているんですか? 俺は森の中で……」

 自分の状況が理解できていない俺は単刀直入に親子に尋ねてみた。

 すると、親子は困った表情になって口を噤んでしまう。すると、子どもが恐る恐る話してくれた。

「森で倒れたお兄ちゃんを見つけて、お父さんに頼んで運んでもらうように頼んだの」

「ありがとうございます。寝ながらで申し訳ありません」

「ああっ、構いませんよ。娘の命の恩人ですから」

 その後から話は続かなかった。それで俺は感づいた。この人達は何かを知っていて隠しているんだ。

「あのう、どうして俺が森にいたことを聞かないのですか?」

 夫婦が動揺した。やはり知っているんだ。

「俺は魔女と共に森に戻ってみると、魔女の家が火事で燃えてました。そして、大きな剣を持った、黒い剣士とガラの悪い男達がいました。奴らは魔女を狙っていたので、俺は闘いましたが、黒い剣士に負けて倒れました」

 話を詳しく話したら、更に動揺した。やはり知っているな。

「………黒い剣士と男達を知っているんですね? なら、教えてください」

 俺はどうしても知りたい。知って………魔女を助けたい。だから、教えてほしい。

 そんな俺の想いが通じたのか、夫の方が口を開いてくれた。

「…………村長をお呼びします。村長から事情を聴いてください」

 しばらくしてから、村長や村人達が家に押しかけてくる。その間に俺の体力は戻っていく。

 事情を知った村長はため息を吐いてから黒い剣士と男達の事を語り始めてくれた。

「その男達は………この地を治める領主様の家来です」

「領主の家来だったのか」

「家来達は森に住む魔女さんを捕まえる為にやってきました」

「何で、そんなことを?」

「子供が難病にしたという」

「それって、あの子が呪いにかかったことか? 事情を説明しましたか?」

「もちろん説明しました。魔女さんは無実で治してくれましたと。しかし、信じてくれませんでした。止めようとしましたが、『逆らうと逮捕する』と脅されました」

 なんて乱暴な。けど、魔女が良い人なんて信じてもらえないのは仕方がないかもしれない。

「それで、黒い剣士は」

「あの黒い剣士の方は領主様の部下ではありません。ただ雇われたみたいです。しかし、噂があります。多くの魔物を退治してきた、恐ろしく強い“黒い剣士”が新たなる魔物を求めて各地を渡り歩いていると」

 ……そういえば、そんな噂を俺も聞いたことがあったな。何で気付かなかったのだろう。

 それよりも、魔女のことが気がかりでしょうがない。

 あの馬鹿、俺を助ける為に自分を犠牲にするなんて…………。それで喜ぶと思っているのか!

「その領主の住む屋敷を知っていますか?」

「聞いて、どうなさるおつもりですか?」

「その領主に魔女を助けるように交渉します」

 俺の言葉に村人達が驚愕して慌てて止めてきた。

「駄目です! そんなことをしたら貴方まで捕らわれてしまいます! 領主様は大変に恐ろしい方なのです!」

「納めなければならない年貢が高い上に逆らえば家来達に捕らわれてしまい、即重労働させられます」

 なるほど、そんな領主だから、事情を説明しづらかったのか。確かに、あの男達はガラが悪かったからな。

「そんな領主なら、尚更いかないと……貴方方には迷惑をかけるつもりはありません。お願いします、教えてください」

「しかし……そんなことをすれば貴方の身が危険が及びます」

「そんなことはどうでもいいです。俺は…………魔女に腹が立っているんです」

「えっ」と村人達が呆気に取られていた。

「自分を犠牲にして、俺を助けるなんて、俺は嬉しくもなんともありません!」

「…………貴方は娘を助けるために身代わりに呪いを移したんですよね」

「人のことを言えませんね」

あっ、皆が笑っている。笑わせるつもりなんてないのに。

「ああ、そういえば、貴方の呪いは?」

「ご心配なく、無事に解けました」

「本当ですか? それは良かった…………」

夫婦が一安心してくれた。お騒がせてすみません。

「…………わかりました、教えてあげましょう」

「村長、よろしいのですか?」

「なんだか、この人に任せても大丈夫のような気がする」

「……俺もそんな気がする」

「……私も」

「……任せてみよう」

村人達が俺を見て、安心な表情になっていく。

「先ずはご領主様の事を教えます」

俺は村長からご領主の事をじっくりと聞いた。待っていろよ、魔女。


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