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プロは当然知っている、読まれる小説の書き方講座 〜書きたい人も、書いてる人も〜  作者: 御子柴 流歌
第1章: 正しい小説の書き方(という空想)

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7/8

1-5B: コラムB・書き出し三行・実演篇【異世界10連】


 本エピソードはフィクションではございません。


--------------------


   はい、モニターの前のそこの貴方。

   ええ、そうです。貴方です。


   ぜひチャレンジを。


--------------------



 こんな煽り文句を入れておいてやらないのもアレかと思いまして


 してみむとてするなり。

 3行と言いつつ4行くらいになっているモノもありますが、それはご愛嬌ということで。




     ○



☆お題目:ファンタジー(異世界)

<共通出来事(固定)>

・王都の門前、ギルド登録初日。

・任務票(Eランク)を受け取る前に、黒フード(性別不問)に忠告される。

・任務は「竜骨線の森:外縁調査(危険度・低)」。

・異世界転移した主人公(元大学生or社会人・男)。スローライフ希望なのに、なぜか戦いに呼ばれがち。





     ○





[B-01]

 スローライフの第一歩のつもりでギルド窓口に並んだのに、鼻の奥に金属の匂いがして、門の影が遠くの森を濃く見せてくる。

 登録はE。任務は「竜骨線の森:外縁調査(危険度・低)」。紙のインクは“竜骨線”の字だけ裏へ滲んでいた。

「低いのは最初だけ、二歩目は自分の重さで沈む」――黒いフードを目深に被った其奴はそうささやいてきた。


[B-02]

 彼は署名欄に震えない手で名前を書いたが、視線はずっと門の向こうの木々の線に奪われていた。

 任務票には簡単な指示だけ??外縁を回って異常の有無を記す、それだけのはずだった。

 フードの女は笑わない声で言う、「安心していいのは一歩目だけよ、必ず誰かがそこで好きになるから」と。


[B-03]

 Eでいい、楽なやつで頼む。そう言ったはずだった。

『竜骨線の森:外縁調査』と書かれたインクの色は濃い。

「低いのは最初だけよ」とだけ言ったあの声だけは妙に軽い。

 この世界はアンバランスなことでバランスを取っているらしい。


[B-04]

 王都の門が開くたび、風が薬草の匂いを運んだ。

 新人の札、任務票、行き先となる森の外縁はここからでも微かに見える。

「あそこは二歩目から沈むのよ、気を付けて」


[B-05]

 読書用に持ってきた軽い本を鞄の底へ押し込み、代わりに新品の短剣を腰に差したとき、僕は少しだけ世界の側に立った気がした。

 受付嬢の笑顔は明るいのに、紙に記された“竜骨線”の五文字だけが雨粒みたいに重い。

「流されるなら今のうちだよ」というセリフを真に受けた僕は笑ってうなずいて、流されないつもりで歩き出した。


[B-06]

 任務は外縁、同行者なし、帰還報告は夕刻まで??三つの条件を読み上げるたび、少年の喉仏が小さく上下した。

 王都の門は想像より厚く、森の気配は想像より手前まで伸びてくる。

「やさしいのは森じゃない、最初の君だけ」

 フードの忠告は簡潔で残酷だった。


[B-07]

 門の影が長い。

 指令書は軽い。

 竜骨線の調査は――決して軽くない。


[B-08]

 紙の端が指に切り込む。

 “竜骨線”。その文字が強く滲んでいる。

 彼は歩幅を、ほんの少しだけ狭くした。


[B-09]

「暮らすために来た」と口では言ったけれど、胸の奥で別の動詞が蠢いている??踏む、切る、選ぶ。

 任務票の裏に透ける竜の骨の線は、地図じゃなくて脈の鼓動みたいだ。

 黒フードが去り際に片手を上げながら「帰り道が一番むずかしい、帰りたいと思えたら、の話だけど」などと言い残したが、その言葉は通り抜ける風に溶けていった。


[B-10]

 王都の朝靄は淡く、列に並ぶ新参者の息は白い。

 その白さの数だけ物語が始まるのだと彼は誤解していた。

 窓口で判子が捺される音は外縁調査の始まりの合図、そしてこの世界における彼の暮らしの始まりの合図でもあった。







      ○



 お疲れさまでした。


 もしかするとこのような千本ノックを耐え抜いたモノが短篇や長篇となって世に出ている――のかもしれませんね。


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