死にかけのレオン
レオンは戦士と組み合っていた。
「どうなってるんだ、こいつは……回復魔法なしでその馬力を引き出せば、身体が引きちぎれるぞ」
その疑問は、カウンターで彼の拳を受けた瞬間に氷解した。硬い――鉄のようだ。
恐らく幼少期から特殊な脳を持っていたのだろう。魔力を感知できない代わりに、身体の電気信号を操れるのか。過剰に流すこともでき、それに合わせて身体が変化したのだろう。
「魔王本体を呼ぶか……?いや、あれは最終手段だ」
おいそれと使えるものではない。前に出向いた時も、一歩間違えれば討伐隊が組まれていた。黒い魔法使いに見られて逃げられたら最悪だ。つまり、人間の身体でこいつを倒すしかない。
ケルベロスの魔法や血の斬撃をカウンターで当てようとすれば、さらにカウンターで仕留めに来る。何より、この相手は魔法が使えない──故に魔力の流れから動きが予測できないのだ。
賭けに出るか……人間の身体でできるか?
戦い方を少し変えた。相手は違和感を覚えたようだが、すぐには気づかなかった。己の馬鹿らしさに少し苦笑しつつ、私は自分の胸に相手の一撃を貫かせた。
瞬間、相手の胸を貫いていた腕が千切れた。怯んだ相手を蹴り飛ばし、ピアスを粉砕して血の斬撃で切り刻む。硬すぎる……だが、相手は動けないだろう。心臓が破壊された状態での血の斬撃だから、威力が下がるのは当然だ。
「暫く動けんな……」
私は自覚する。魔術師のように多くの魔法を扱えるが、一番得意なのは——固有魔族を除けば——物質操作だ。言い換えれば、魔力の濃度が最も高い物質、血の操作が得意なのだ。だからこそ、心臓が破壊されても死なないが……魔王本体ではない以上、心臓を回復魔法で再生するまでは動けない。
私は意識を落とした。眠っているのとは違う。ケルベロスや魔王本体の肉体から魔法を発動させ、心臓の回復と血の巡りを同時に行う。ライカ、レイナ、アレン……大丈夫だろうか。




