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魔導歴史書  作者: ルイ
77/83

敵と味方について

魔術師の家にて


「よぉ」

レオンの声に、魔術師は驚いた。


「え?今日は休みだっけ?」


「時間感覚が狂ってるのか?外を見ろ、もう真っ暗だぞ」


「ああ、集中してたんだ」


「アレンは飴玉を使った。」


「え!?見たかったのに……でも持たせておくのは失敗だったかな」


「いや、危なかったのは確かだ。上位魔族が現れたからな。もし飴玉を使わなかったら、レイナとアレンは死んでいたか、重傷を負っていた」


「そう……それで、戦ったの?その上位魔族と」


「ああ、30秒で着いたけど、その頃にはもう塵になっていた」


「倒すのが早いわね……それで残り時間は戦った、と」


「ああ。ケルベロスで魔法を相殺することはできず、軌道を逸らすのが精一杯だった。結局は本体を呼び出して時間稼ぎをする羽目になった」


「そこまでか……現代最強の威力特化の魔法を扱える魔物の魔法をね…うーーん。制御できたらなぁ……」


「まぁいい話は置いといて」


レオンは襲ってきた5人について話した。


「4人も規格外だけど、貴方なら相手にならないわね。“貴方”なら」


「似たようなことを言われたな。5人が別々に現れて同時に対処するのは無理だぞ」


「考えておくわ。それで……貴方の攻撃が効かない魔法使いだけど……いや……出来るのかしら?勇者の例もあるし、制約は恐らくあれでしょうし……タネは推測できたわ」


「ホントか」


「身に纏っていた黒いローブがヒントね。攻撃をすり抜ける……素顔を隠すだけなら過剰すぎるし、全身を覆う必要もない。そして濃い霧で逃げ出せる……シュレディンガーの猫を具現化した能力ね」


「どういうことだ?」


「観測されなければ中の状態は分からない。だから攻撃が当たっても、本体を誰も見ていなければ怪我をしたかどうかは観測できず、結果としてケガをしていないことになる。濃い霧で居なくなったのもその魔法よ。視覚から見えなくなった。そこに居るかどうかを観測できないから、居ない状態にしたの。だから貴方からも逃げ切れた」


「無敵じゃないか……」


「……貴方がそれを言う(笑)。勿論制約はあるわ。恐らく、誰か一人でも観測すれば魔法は発動できないって制約よ」


「勇者の時戻し並だな」


「ああ、あれは実は時を戻してはいないの。物体の形状記憶を辿っているだけ。だから、勇者の能力に特に制約がなくても成立するの。それでも規格外だけどね」

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