敵と味方について
魔術師の家にて
「よぉ」
レオンの声に、魔術師は驚いた。
「え?今日は休みだっけ?」
「時間感覚が狂ってるのか?外を見ろ、もう真っ暗だぞ」
「ああ、集中してたんだ」
「アレンは飴玉を使った。」
「え!?見たかったのに……でも持たせておくのは失敗だったかな」
「いや、危なかったのは確かだ。上位魔族が現れたからな。もし飴玉を使わなかったら、レイナとアレンは死んでいたか、重傷を負っていた」
「そう……それで、戦ったの?その上位魔族と」
「ああ、30秒で着いたけど、その頃にはもう塵になっていた」
「倒すのが早いわね……それで残り時間は戦った、と」
「ああ。ケルベロスで魔法を相殺することはできず、軌道を逸らすのが精一杯だった。結局は本体を呼び出して時間稼ぎをする羽目になった」
「そこまでか……現代最強の威力特化の魔法を扱える魔物の魔法をね…うーーん。制御できたらなぁ……」
「まぁいい話は置いといて」
レオンは襲ってきた5人について話した。
「4人も規格外だけど、貴方なら相手にならないわね。“貴方”なら」
「似たようなことを言われたな。5人が別々に現れて同時に対処するのは無理だぞ」
「考えておくわ。それで……貴方の攻撃が効かない魔法使いだけど……いや……出来るのかしら?勇者の例もあるし、制約は恐らくあれでしょうし……タネは推測できたわ」
「ホントか」
「身に纏っていた黒いローブがヒントね。攻撃をすり抜ける……素顔を隠すだけなら過剰すぎるし、全身を覆う必要もない。そして濃い霧で逃げ出せる……シュレディンガーの猫を具現化した能力ね」
「どういうことだ?」
「観測されなければ中の状態は分からない。だから攻撃が当たっても、本体を誰も見ていなければ怪我をしたかどうかは観測できず、結果としてケガをしていないことになる。濃い霧で居なくなったのもその魔法よ。視覚から見えなくなった。そこに居るかどうかを観測できないから、居ない状態にしたの。だから貴方からも逃げ切れた」
「無敵じゃないか……」
「……貴方がそれを言う(笑)。勿論制約はあるわ。恐らく、誰か一人でも観測すれば魔法は発動できないって制約よ」
「勇者の時戻し並だな」
「ああ、あれは実は時を戻してはいないの。物体の形状記憶を辿っているだけ。だから、勇者の能力に特に制約がなくても成立するの。それでも規格外だけどね」




