表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
魔導歴史書  作者: ルイ
76/83

レオンは魔術師の隠れ家へ向かっていた。

目的は、アレンが“飴玉”を使った際の報告だ。


森へ入ると、彼は足を止めた。

――適当な場所だ。ここなら暴れても問題ない。


「出てこい。予定があるんだ、手短に済ませたい。」


言うが早いか、魔力の弾丸が飛んできた。

レオンは一歩、後ろに下がりながらそれをかわす。


(ライカを襲った連中と同じ魔法……方角は掴んだが、距離があるな)


木の影から伸びた手が掴もうとした瞬間、掌から爆発。

アレンは避け、すかさず蹴りを入れる。

だが次の瞬間、水の玉が飛んできた。避けた先の木が燃え上がる。


(間違いない。ライカを襲った奴らだ……)


「あと二人いるのは分かってる。さっさと出てこい。」


その声に応えるように、突如として横から衝撃。

蹴り飛ばされ、大木に叩きつけられる。

吹き飛ぶ瞬間、反射的にケルベロスの魔法で反撃するが、あっさり避けられた。


(……驚いた。魔族でもない、身体強化も使っていない。素の力でこれか)


蹴り飛ばした相手を見る。

魔力の気配はある――だが、流れがない。


「ふーん……魔法使いは熟練になると他人の魔力を知覚できるようになる。

 けど稀に、自分の魔力すら知覚できない奴がいる。

 魔道具も扱えず、それでこのレベル……大したもんだな。」


追撃は来ない。静寂の中、気配が揺れた。

全身を黒いローブで覆った人間が、のんびりと歩み出てくる。


レオンは即座に構えを取る。


「すまない、話し合いに来たんだ。魔術学院の優秀な教師さんをスカウトにね。どう? 僕らの仲間に――」


ケルベロスの魔法が炸裂した。


「話だけでも聞いてくれな――」


加速魔法で一気に間合いを詰め、足に最大出力の魔力を込めて蹴り飛ばす。

相手は木に叩きつけられ、地を転がった。


「ゆっくり話、できないかな……」


ピアスを砕く音。次の瞬間、血の斬撃が走り、敵の背後の木々が切り裂かれた。


「まぁいいや。どうせ僕らが束になっても君には勝てない。“君”にはね。

 多少面倒ではあるけど、君は一人だ。いずれ限界が来る――また会おう。」


「逃がすかよ!」


レオンの叫びと同時に、水の魔法使いが水蒸気爆発を起こす。

一帯は濃い霧に包まれ、視界が真っ白に染まった。


(……消えた。足音も気配も、すべて)


思考を巡らせる。

ケルベロスの魔法も血の斬撃も、確かに命中していた。

だが――蹴り飛ばした感触。確かに肋骨を砕き、内臓を潰したはずなのに、

回復魔法の痕跡すらない。


(あのローブ……足が通り抜けた。逃げ方も異様だった。

 濃い霧ごとき、私の目には隠れ蓑にもならないのに……全員逃げ切った?)


「……まぁいい。これも含めて魔術師に相談だ。」


レオンは霧の残る森を抜け、予定通り魔術師の隠れ家へと向かった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ