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魔導歴史書  作者: ルイ
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アレンとレイナの特訓

「アレン! 特訓するよ!」


放課後、教室を出ようとしていたアレンに、レイナが元気よく声をかけた。


「いや、その……」


「二人じゃ不利なんだから! やるよ!」


「でも……レオン先生と特訓の約束が……」


「え、お父さんと? なら私も混ざる!」


「えっ、でも……」


「いいから!」


勢いそのままに、レイナはアレンの腕を掴み訓練場へ向かう。



---


「レイナ!?」


レオンが驚いた表情で二人を迎えた。


「お父さん、私も混ざる!」


レオンは少し考え、やがて頷く。


「……いいだろう。ただし、いつもの特訓の前に一つ課題を増やそう。」


彼は二人に防御魔法を展開する。

淡い光の膜が、二人の体を包み込んだ。


「二人がかりで来い。アレン君、今回は“指輪を外さない”こと。いいね。」


「はい!」


「了解!」


三人はそれぞれ支給品のバタフライナイフとタクティカルペンを構える。


「いつでも来い。」


レオンが低く告げると、アレンが真っ先に踏み込んだ。


鋭い突き。カウンターを恐れない、いや──“させない”攻撃だ。

筋の通った戦い方に、レオンは心の中で頷く。


(……無駄が減った。理に叶っている。だが、隙が完全に無いわけじゃない)


反撃に出ようとした瞬間、防御に切り替えた。レイナの援護によるものだ。

風の刃が走り、アレンの隙を補うように軌道を変える。


(サポートに回る判断か。なるほど……息が合ってきたな)


適度にアドバイスを挟みながら戦い続けるうちに、二人の動きはどんどん洗練されていった。


「このまま行けば勝てる!」

レイナが嬉しそうに叫ぶ。


「……予定通り、十分たったな。完成度も上がっている。」


レオンは微かに笑みを浮かべたが──

次の瞬間、空気が弾けた。


彼の動きが、明らかに一段上がる。

攻撃が鋭くなり、圧力が増す。

そして、二人の防御魔法が同時に弾け飛んだ。


「よし。次の課題だ。」



---


「アレン君、どうせならレイナにも付き合ってもらおう。」

レオンは再び防御魔法をレイナに張りながら言う。


「次は何をするの?」


「レイナはそのまま、アレン君から三メートルほど離れて立っているだけでいい。」


「……レイナ嫌な予感はする?」


「しない。」


「なら問題ないな。」


アレンの手元を見ながら、レオンが静かに言う。


「アレン君、指輪を一つ外して、レイナは攻撃しないで私だけを狙え。」


「……本気でやるんですか?」


「やるよ、レイナは私が守る安心しろ。」


アレンは息を整え、ゆっくりと指輪を外す。

その瞬間、空気の色が変わった。


圧倒的な魔力が漏れ出し、レイナの髪を風が揺らす。


(これが……アレン……)


彼の放つ雷は、暴力的なのにどこか繊細で。

人を傷つけたくないという“ためらい”が滲んでいた。


二分後──雷光が一直線にレイナへと走る。


「っ──!」


レオンが加速魔法で瞬時に割り込み、ケルベロスの魔法を放つ。

咆哮の波動が雷撃を相殺し、衝撃波が辺りを震わせた。


「アレン君、終わりだ。」


アレンはすぐに指輪を付け直し、息を吐く。


「どうだった?」


「レイナさんを狙わない様にすると……二分が限界です。」


「分かった。“十分”耐えられたら指輪の出力を一段下げよう。それを繰り返す。今のままじゃ出力が2つとも外した時の1割って所だ。」


「はい……頑張ります。」



その日、彼女はあらためて知る。


──アレンの強さ。

──父の底知れない力。

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