初特訓
魔術師の隠れ家を、アレンとレオンは出た。
いつもは魔術師が付き添ってアレンの家まで送るのだが、今日は珍しくレオンと二人だ。
夕暮れの森を歩いていると、前方から低い唸り声が響いた。
「……魔物か。アレン君、試してみようか。指輪、外してみな。」
「……はい。」
アレンは小さく息を吐き、指輪を一つ外す。
瞬間、空気が震え、雷光が幾筋も走った。
雷の魔法は正確に群れへと撃ち込まれ、魔物たちは次々と地に伏した。
威力は弱まって居たが一撃で気絶、暫く上がることはないだろう。
だが、そのうちの一体が――いや、一人が、避けた。
「……あの、アレン君? そのー……大丈夫?」
声をかけたのは、雷の閃光をギリギリで回避したレオンだった。
焦げた袖を軽く払う。
アレンははっとした表情で指輪をつけ直す。
「すみません……!」
「無差別だよねー、やっぱり。」
レオンは苦笑しながらも、その声はどこか優しかった。
「でも、それも訓練のうち。魔物だけを狙えるように――明日、やってみよっか。」
アレンは小さく頷く。
雷で焦げた草の匂いが、夜風に混じって消えていった。
レオンはその背を見送りながら、小さく呟く。
「……この子、きっと制御できるようになる。」
アレンを家まで送り届け、静かな夜道を戻っていくレオンであった。




