初授業
初授業──少し、緊張するな。
レオンはそう思いながら教室を見渡した。
授業内容は講師の裁量に任されている。要件はただ一つ。
「生徒を強くしろ」
「えーと、ここにいるということは――固有魔術が戦闘向きじゃない、そして……できれば使いたくない、そんなところかな?」
レオンはレイナとアレンを横目に見ながら言葉を続けた。
「魔法使いと同等になるということは、“魔法を使う相手に勝て”という意味だ。」
上空に指を向ける。
ケルベロスの魔法が発動し、炎が雷をまとい、天を割るような暴風が巻き起こった。
「はいはい、ストップ! 皆さん、これは特例中の特例です!」
ライカが呆れ顔で言う。
「まぁ、まだ習っていないだろうが――魔法の発動をキャンセルする術もこの学校では学ぶ。ただ、魔法が使えない魔法使いに勝てないようでは、話にならないわけだ。」
「ライカ。」
「はい。」
レオンはライカに防御魔法をかける。
「今かけた魔法は、一定以上の攻撃なら一撃で壊れる。ただし、一撃ならどんな打撃や魔法でも防げる。……破った方が勝ち。
お互い、魔法・魔道具なし。――始め!」
ライカが一瞬で距離を詰め、蹴りを放つ。レオンは軽く避けるが、その瞬間、ライカは蹴り足を地に叩きつけ、軸にして回し蹴り。
範囲が広く、カウンターの隙がない。
「それ、学生時代に私が編み出した技だよな。」
「えぇ、もちろんコピーさせてもらいました。」
レオンも同じ技を繰り出す。3連続で。
三撃目で命中。ライカの防御魔法が弾け、空気が震える。
男だからってわけじゃないが、この身体は成長魔法で鍛えてある。体幹がいるこの技も、連続で出せるようにした。
息を整え、レオンは生徒たちを見渡す。
「――はい、みんな。これを目指してね。」
教室に「無理だろ…!」という空気が流れる。
レオンは苦笑して、淡々と生徒たちの体を見て回り、男女で同レベルのペアを作った。
「一人余るから……アレン君、悪いけどライカ先生とペアね。」
「えー!」
「内容は好きに喧嘩していい。防御魔法は全員にかけた。負けたら私のところに来な。」
全員が頷き、それぞれ戦い始める。
レオンは31人全員を同時に観察した。少々疲れるが、仕方ない。
最初に来たのはアレンとライカ。
「ライカ、手加減しろよ。」
「しましたよ!」
レオンはアレンの姿勢を見て言う。
「攻撃が単発で終わってるし、避けられた後のカウンターを意識できてないな。
攻撃に集中するのはいいけど、“攻撃される”ことも考えよう。受け流しや回避、まだ苦手でしょ?」
アレンは悔しそうに頷く。
「よし、アレン君。今日から毎日放課後この訓練場に来い。保護者は了承済みだけど、君自身は大丈夫か?」
「……はい。」
その後、31人全員に個別の助言をして、初授業は終わった。




