アレン
ある少年、名前はアレン。ごく普通の家庭から生まれた。
なのに、異常だった。凶暴で残虐なことを好み、家で飼っていたペットも殺し、同い年の子供も親が止めなければ殺す寸前だった。
親にも歯向かい、「いつか殺してやる」という目をしていた。
彼は、自身の凶暴性を抑える理性が欠如していた。理性が無いので、自分の膨れ上がる感情を止められない。
五歳になる頃、親に森で捨てられた。
いつか大量に人を殺すだろうと、親は最後まで悩み……苦しみ……けれど我が子を自分の手で殺せず、森に捨てたのだ。
両親はその後、「どうせ今頃死んでいる」と悲観し、自分が殺したのだと嘆き、自殺した。
だが彼は違った。
魔物を見るや、生存本能なのか自身の固有魔法を扱う。
多種多様な魔法だが、一つの魔法だ。
感情を表現する魔法、と言えば良いのだろうか。
残虐性、高揚感、痛めつける際に及ぶ快楽も魔法に変換する。
魔物は、五歳の少年に皆殺しにされていたのだ。
後ろから声が聞こえる。
「へぇ、特殊な魔法ね! 一種類の魔法陣から多様な魔術になってる……。凶暴性からするに、見覚えがあるわね。精神魔法の魔法陣と似ても似つかない感じ! 素敵ね。」
少年は後ろを振り返り、魔法を放とうとしたが、女と目が合う。
女は少年の目を見ながら手を繋ぎ、精神鎮圧の魔法をかける。
少年は目が覚めた。
「あれ? ここは?」
「ん? 言葉が話せるし、頭がスッキリする。なんでだろう。」
「目が覚めた?」
女――いや、魔術師が少年に問いただす。
「おねぇさん? 誰?」
「ふふ、一応言っておくけど、指にはめた指輪は外さないことね。様子はガラッと変わったわね。結構強めに精神安定の魔術をかけた甲斐があったわ! 私の名前は……うーん、代替わりしすぎて名前がありすぎてごっちゃ! 魔術師で良いわよ。貴方の名前は?」
「アレン……えっと、お姉さん? ここ、何処?」
「お姉さんか……五百年以上生きてるんだけどなぁー。ここは森の中の私の隠れ家よ? 察するに、凶暴性から捨てられたのかしら? まぁ、私も過去に同じことしたし、人のことは言えないわね。今日から面倒を見てあげるわね!」
アレンは、初めて人と会話をした感覚で、少し変な感覚を覚える。




