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魔導歴史書  作者: ルイ
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後日談

「ライカ!」


帰ってきて早々、魔王──いや、レオンは真っ先にライカのもとへ向かった。

結婚式は盛大に行われ、この村ではまるで祭りのような賑わいだった。


魔族はほとんど滅び、魔族の王は魔王本体が極限まで弱らせたところでそろそろかと思い魔王は逃走。

弱体化した魔族の王は勇者たちの討伐隊があっさりと止めを刺したのだった。


……そして今、静かな日々が戻っている。

月日が経つほどに、ライカへの想いは深まるばかりだ。


私はライカのもとへ歩み寄り、思わず抱きしめた。

かつてはライカがよく私に抱きついていたけれど、今ではその立場が逆転している。

けれど、それも悪くない。


「体調はどうだ?」


少し不安を隠すように尋ねると、ライカはいつも通り冷静に答える。


「大丈夫ですよ」


そう言う彼女のお腹には、新しい命が宿っていた。

妊娠三ヶ月目。まだ目立ちはしないけれど、私の中ではその存在が大きくなる一方だ。


私は袋から荷物を取り出す。中には、街で買い集めた子供用の服や玩具がぎっしり詰まっている。

以前カジノに行った街まで、加速魔法を使って一日で往復したのだ。

……正直、息が上がった。


「ふふっ、あーあー。あの冷静なレオンさんはどこに行っちゃったんです?」

ライカは微笑みながら私をからかう。


「子供の名前、どうしようか……」

そんな言葉がふと漏れる。心の奥底では、焦りや不安が渦巻いていた。

本当に私に子育てなんてできるのか。無事に産まれてくれるのか。

元気に育ってくれるのか……。


その思いを押し込めるように、私はライカを強く抱きしめた。


ライカはその意図を察したのか、そっと背中に手を回して微笑む。


「大丈夫ですよ。二人なら、きっと。」


その瞬間──コンコン、と扉が叩かれた。


顔を出したのは、またしてもあの魔術師だ。


「やっほー、バカップル! 会いに来てあげたわよ」


「悪いか?」

思わず呆れ気味に返すと、魔術師は意外そうに眉を上げた。

どうやら「バカップル」と言いながらも、どこか認めている様子だ。


ふと、魔術師の視線がライカに向く。

そして魔力探知──。


「……あら? 子供がいるじゃない!」

突然の声に、ライカの目が丸くなる。


「孫が生まれるなんて嬉しいわぁ、ねぇ息子くん!」


「え!? いや……え!??」


ライカは混乱して言葉を失う。


「だって、こいつを産んだのは私だもん」


「魔物の棲む森に子供を捨てたサイコ毒親が、何をほざいてるんだ?」

私が冷たく返すと、魔術師は肩をすくめた。


ライカは頭の中が追いつかず、呆然と私と魔術師を見比べていた。


「……まぁ、細かいことは時間があるときに話そう」


「ちょっと! いいじゃない、バカップルの定期観察も必要でしょ?」

魔術師はそう言って笑い、あっけらかんと立ち去った。


静けさが戻る。


ライカはようやく落ち着きを取り戻し、少し笑みを浮かべた。


「身の上話、聞かせてくださいよ」


「……長くなるぞ?」

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