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魔導歴史書  作者: ルイ
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魔王の本気

ライカといつも通り遊んでいたら、村の周辺が白く光り輝いた。

光の方向から場所を推測し、私はライカの手を振り払って向かおうとする。だが、ライカは再び腕を掴んできた。


「ライカ、あの光は私が貼った結界だ。一定以上の魔力が通過すると光る仕組みになっている。確実とは言えないが――ほぼ“あいつら”だ。だから家に帰って、じっとしていろ。」


それでもライカは手を離さなかった。少し震える手で、言葉を紡ぐ。


「私だって戦えます……それに、レオンさんが守ってくれますし……」


私は少し考える。

本当に強い魔力なら光は白ではなく赤くなる。つまり、あれは雑魚の部類だ。


私はライカを背負い、加速魔法で魔族のいる方向へ向かう。――あいつだ。


本来、人間の身体では加速の速度に限界がある。耐えられないからだ。

だが“部分的”ならどうなる?

走るのではなく、足だけに加速魔法と身体強化魔法をかけ、全力で蹴り飛ばす。


魔族は結界を通過し、再び空が光り輝いた。

そして木に激突し、ようやく動きを止める。


私はライカを下ろし、歩きながら魔族のもとへ向かった。


魔王は倒れた魔族を見下ろしながら言う。

「内臓を潰し、肋骨も砕いたが……再生は済んだようだな。勝手に“魔族”と呼んでいるが、ここまで来て何の用だ?」


魔族は警戒心を露わに、沈黙を貫く。

人の言葉を話せるはずなのに――どうやらお喋りは嫌いらしい。


魔王は思考する間もなく、襲いかかってきた魔族の“マーキング済み”の箇所に向けて、腕に加速魔法と身体強化魔法を重ね、再び木へと叩きつけた。


左手に持っていたバタフライナイフには、風の竜巻のチャージが完了している。

チャージした風を全て乗せ、風の斬撃を放つ。


魔族の体に深い傷が走り、魔力が漏れ出す。服に赤い血が滲む――だがそれは魔族のものではなく、隠し持っていたワインポットの中の血だった。

パワーアップの奥の手を封じられた魔族は、人の姿を崩し、角を生やした真の姿へと変貌する。


魔王はライカに説明するように静かに口を開いた。

「こいつらは血を力の源とする。細かい話は、自分たちがなぜ魔法を使えるかに遡るから割愛するが……これが奴の真の姿だ。角があるからか、パワーアップもする。」


残存魔力が五分の一になった魔族は、翼を生やし逃亡を図る。

だが魔王は、バタフライナイフの風の斬撃で片翼を切り離した。


切り離された羽根から大量の魔力が飛散する。

――恐らく、人間サイズでの飛行を可能にするため、体内魔力の大半を翼に集中させ、羽以外の体を軽くしているのだろう、と魔王は推測する。


ライカは唾を飲み込みながら思う。

魔術学院次席である私とレオンさんが戦えば、十回中三回は勝てる実力……。でも、私を抱えて出したあのスピードを持つ加速魔法…それ抜きでの話。

学院時代は自分に縛りを課しながらも首席――これがレオンさん本来の強さ。いや……あの地面をえぐった魔法や赤い斬撃を使っていないことを考えると、まだ底が見えない。

たぶん、ここまで圧倒して倒しているのは、私を守れると分からせるため……。だから、トドメをいつでも刺せるのに刺さないんだ。


魔王はゆっくりと歩み寄り、魔族の胸にタクティカルペンを押し当てた。

魔法が発動し、衝撃魔法が急所を貫く。

魔族の肉体は音もなく崩壊していく。


「……帰るか。」


魔王はそう言い、ライカの手を取った。

ライカはレオンの実力に少しの安心感を抱きながら、静かに帰路についた。

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