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魔導歴史書  作者: ルイ
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ライカの部屋と媚薬

魔王は、しばらくライカの部屋に住むことになった。

もちろん、最初に反対したのは父親だった。

娘を溺愛している彼にとって、娘と男が同じ部屋で過ごすなど悪夢のような話だ。


> 「だ、だめだライカ! 男と同じ部屋なんて……! 絶対にダメだ!」




しかしライカは、父の袖を引きながら小さく言った。


> 「お父さん……レオンさんが居ないと、怖いの。」




その一言で、父親の顔から色が引いた。

魔王は静かに説明した。


> 「あいつ、警察に居た頃もよく私の家に泊まっていました。

それに……トラウマがあって、私から離れると不安定になるんです。」




父親はその場で固まり、拳を握りしめた。

まるで「娘を任せたくない」気持ちと「娘の心を救ってくれるなら」という願いがぶつかっているようだった。

母親はそんな二人の様子を見て、にこにこと微笑んだ。


> 「じゃあ、私は買い出しに行ってくるわね〜。

二人とも仲良くね♪」




その瞬間、父親の肩がさらに落ちた。


──夜。


魔導具を分解して構造を調べていると、背後から柔らかな気配。

ライカが腕を回して抱きついてきた。


> 「レオンさん! 一緒にこれ飲みましょ!

お母さんが高いジュース買ってきてくれたんです!」




差し出されたグラスを見た瞬間、魔王の眉がぴくりと動く。

琥珀色の液体に漂う、微かな“魔の気配”。

彼はライカが口をつける前に止めた。


> 「待て、それ……魔物の血が混ざっているぞ。」




ライカは目を丸くする。

魔王は匂いと残留魔力を分析し、すぐに答えを導き出した。


> 「強いヘビと、亀の魔物の血だ。毒ではないが……飲まない方がいい。」




> 「え? 毒じゃないのに、なんでですか?」




> 「……強力な媚薬になる。」




ライカの頬が一瞬で真っ赤になる。

そのまま小さな悲鳴を上げ、母親のいる部屋へ駆け出していった。


廊下の向こうからは、ライカの焦った声と、反省している気配のまったくない母親の笑い声が聞こえてくる。


魔王は一人、静かに息を吐いた。


> 「……魔族が居る場所より、ここがマシなのか?」




その呟きは、どこか寂しげに響いた。

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