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魔術師の独り言
魔術師は、魔王から渡された一枚の紙を解析していた。
そこには緻密な魔法陣が描かれている。
「……自分でやればいいものを。あの狼の獣人にうつつを抜かす、恋愛脳の魔王め」
思わず独り言が漏れる。
魔法陣の内容は、毒の生成魔法。
魔王城周辺に棲む蛇の魔法を基にしたもので、この毒に噛まれると魔法が一定時間使えなくなる。
魔力そのものを破壊する性質があり、魔力で肉体を構築する魔族にとっては致命傷となる。
魔術師は、ライカという名を思い出す。
どうやって魔王の心を掴んだのか。
人間の女に興味を示さない魔王。魅了魔法すら効かず、魂が複数存在するため、ひとつが惑わされても他が均衡を保ち、目を覚まさせる。
「魔物と魔術以外、興味を持たないはずの奴が……」
その瞬間、ふとひらめく。
人間と魔物の間に生まれるのが獣人。
「……あぁ、そういうことか」
魔術師は、口元を押さえながら笑いを堪えきれず、椅子にもたれて笑い転げた。




